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統計研修受講記(令和元年度 No.1)

令和元年度 特別コース「教育関係者向けセミナー」を受講して

宮城県古川黎明高等学校 教諭 山田 直人

私は公立高等学校で数学を教えています。高校数学で学ぶ統計学は、数学?T「データの分析」と数学B「確率分布と統計的な推測」です。後者は選択単元なので教える機会が少なく、前者で基礎知識や簡単なデータの扱い方を学んでいる現状です。平成30年7月告示の高等学校学習指導要領において、より数学Bの統計分野に重きが置かれることになり、今後どう指導しようか思案していました。そこで統計学を通して、生徒の知的好奇心をくすぐり、統計学へのワクワク感を高めることを目指し、総務省統計研究研修所で開講される研修を受講しました。
講義『「統計的考え方」の導入』では、統計学の面白さを学びました。当然のように登場する箱ひげ図ですが、なぜヒストグラムではなく箱ひげ図を使うのか。この「なぜ」が授業で抜け落ちて当たり前のように箱ひげ図を生徒に使わせていました。3つ程度のデータであればヒストグラムが見やすいが、多くのデータを扱うときは箱ひげ図の方が概況を理解しやすい。このようなメリットを伝えることで、どのグラフを用いればよいか判断する力を身につけさせられることに気づきました。また、四分位数のみならず九分位数や三分位数を扱うことや、外れ値のあるデータの代表値を扱うことなど、統計学へのワクワク感が高まる「目から鱗の教材」をご教授いただきました。
講義『統計指導の意義や重要性等』では、前半部分で様々なグラフをご提示いただきました。その中にFIFA ワールドカップ2018 日本対コロンビア戦のある数値の変化を表した折れ線グラフがありました。横軸が時間、縦軸がある数値になっており、私は見た瞬間に「視聴率かな?」と思いました。しかし、ハーフタイムに入った直後と試合終了直後に縦軸の数値が急激に上がっていました。次に考えたのは出店の売り上げでしたが、答えは「水道の使用量」でした。グラフ一つで知的好奇心が急激に刺激され、もっと学びたいと感じました。後半部分のグループワークでは、弁当の売れ行きに関するデータが提示され、そのデータの授業における活用法を検討しました。各グループとも活発に意見交換され、品切れを防ぐ経営学から食料廃棄問題を考える食育まで幅広いアイデアが出されました。各グループの発表を 聞き、立場や環境が違う方々の様々な価値観に触れ、よい刺激となりました。
1日という限られた時間でしたが、現場ですぐ使えるアイデアや生徒のワクワク感を高めるヒントなどを得ることができました。研修で学んだことを生徒に還元し、さらに自己研鑽を積み重ねていく所存です。熱心にご講義いただいた講師の先生方、研修中に細やかなご高配をいただいた統計研究研修所の皆様、グループワークや昼食時間等で有意義な意見交換をしていただいた出席者の皆様にこの場をお借りして厚く御礼申し上げます。

(統計調査ニュース 令和元年11月号より)

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