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統計研修受講記(平成26年度 No.3)
「本科(総合課程)」(第116期)を受講して
国税庁関東信越国税局課税第二部統括国税調査官(諸税担当)付 須藤 慈子
本科研修を受講にするに当たり、知識面での不安はありましたが、充実した講義内容だったため杞憂に終わり、有意義な三か月を過ごすことができました。
研修科目は、経済活動の基礎的な要素である人口や労働に関する科目、生産主体である企業や産業に関する科目、消費主体である家計に関する科目、国民経済計算など経済全体に関する科目のほか、分析対象となる統計を得るための調査企画・実施に関する「統計調査」、抽出方法・結果の推計の考え方を学ぶ「標本調査」など、各種統計の特徴を理解し、正しい使い方を習得できるカリキュラムでした。
分析に関する講義時間も十分設けられており、データを要約し集団の特徴を記述する「記述統計」、一部の標本を調査して母集団全体について推論する「推測統計」、また「多変量解析」では、重回帰分析や主成分分析等を統計解析ソフト「R」を用いて分析しました。多様な講義がありましたが、各講義は他科目と関連しており、体系的に理解を深めることができたと思います。
グループ学習では、社会経済・行政施策に関連したテーマを設定して、統計調査の必要性を検討し、調査票の設計、集計、結果表の作成までの一連の統計調査の流れを実習しました。調査票を作成する際には、調査で明らかにする内容(目的)に即しているか、それに応じた調査事項や調査規模、調査対象の把握方法など、調査の枠組みを設定する際の検討すべき事項の多さを知るとともに、調査した結果や実務に携わっている方々からの指摘で、調査を設計する際に至らなかった点に気づき、統計調査の難しさを実感しました。
個人研究においては、統計の実践的な応用となるレポート作成を通じて、比較し、関係や傾向を見て分析する手段を知っていることで、察知できる事実が増えるとともに、数値で裏付けした説明力が得られると感じました。レポートは、採取できる統計データ量の制約と分析での必要数との兼ね合い、分析手法や結果の解釈の妥当性等深く考慮しなければならない点も多く、講義内容を見直し、講師の先生に御教授いただきながら試行錯誤して結論に至る過程で、統計的な見方と分析手法を身につけられたと思います。
本研修を受講し、データに基づいて客観的に判断するよう意識するようになりました。また、説明したい事項を構成する要因を幅広く無駄や重複がないよう特性要因図を用いて列挙する方法を始め、分析において使用した思考過程は今後も業務で活用していきたいと考えています。
最後になりますが、講師の先生方やお世話になりました統計研修所の皆様、また、研修の機会を与えてくださった皆様に深く御礼申し上げます。
(統計調査ニュース 平成27年3月号より)