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統計研修受講記(平成23年度 No.4)
特別講座「行政評価のための統計的手法」を受講して
茨城県企画部統計課 才田 博子
私が所属する統計課では、人口統計や産業統計を始めとする様々な統計調査を実施し、 調査結果の集計・公表・分析を行っておりますが、県の機関や市町村等からの問い合わせもよくあります。そのため、統計が行政にどのように活用されているのか幅広く学びたいと考え、本講座を受講しました。
1. 「政策評価の現状と課題」では、政策評価制度が政策の効率性改善と行政の説明責任の確保のために導入された経緯と、費用便益分析・プログラム評価・業績測定などの分析方法を学びました。また、評価結果を政策に反映させることが難しい現状と課題について、法律やガイドライン等を参照しながら学び、政策評価も統計調査同様、実施すること以上にその結果を有効に利活用していくことが重要だと思いました。
2. 「行政評価と統計」では、アメリカや日本の省庁・自治体の取組、評価指標の妥当性や比較可能性、アンケート調査の活用と注意点等について多くの評価事例やグラフを通して学びました。特に統計データの見方・使い方について、クイズ形式で正誤を判断する演習を行いましたが、このクイズがそれぞれ実際の公共工事や市民アンケート等を基にしているので、背景の事情も含めてとても現実味があり興味深かったです。統計データは、客観的で比較しやすいというメリットがありますが、意図的なデータも客観的にみえるというデメリットもあり、調査結果を公表することによる影響を考えると、信頼できる統計を作成すること、適正なデータを正しく見極めて、分析することの大切さを再認識することができました。
3. 「アンケートの調査・集計・解析」では、行政評価の指標の一つとして利用されるアンケートの設問作成から分析に至るまで、講義や演習を通して学びました。 Excelを使った集計・分析演習については、相関関係や回帰分析等、技術的に不安がありましたが、先生の周到な準備と熱心な講義により、ついていくことができました。データを把握する際には、視覚的な散布図と理論的な相関係数というように、グラフと数値の両方の面から確認すると異常値に気付きやすく確実であること、また、データをパソコンで分析すると、どのような数値も関数に従って計算されてしまうため、入力する数値が本当に必要なデータを分析しているのかよく検討すること等、今後の業務で気を付けたいポイントが幾つもありました。
4日間の研修日程の中で、統計を利用した多数の行政評価に関する事例や演習に加え、統計を作成し公表する上での心構えも学ぶことができ、大変有意義な研修でした。実務に関わっている先生方の経験と研究に基づく講義は、とても説得力があり参考になりました。丁寧な講義をしてくださった先生方、研修環境に細やかな配慮をしてくださった事務局の 皆様に厚く御礼申し上げます。
(統計調査ニュース 平成24年2月号より)