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統計研修受講記(平成20年度 No.1)
特別講座「短期集中課程〈GIS(地理情報システム)と地域分析入門」を受講して
大田区まちづくり推進部建築調整課 山下 潤二
私が現在所属する課では、建築基準法上の指定道路に関し、道路図面及び道路の位置・幅員・ 延長・認定年月日など記載した調書、いわゆる指定道路台帳の整備が急務となっており、その関連で平成22年度に当区で導入予定の統合型 GIS にこの指定道路台帳を搭載する予定になっています。そこで今回私は、課としての要望を集約し、業者や区の統合型 GIS 構築担当に伝える橋渡し役を任されました。
GIS について、私は以前からカーナビやインターネットで接していましたが、漠然としか分かりませんでしたので、今回こちらの講座を受講してみようと思いました。ただ、受講する前までは不安もありました。統計については日常業務にかかわりがなく、全くの専門外です。「統計研修」であるから場違いなところでは?とも思い込んでいました。個人的には地図を眺めるのは嫌いではないので、それだけを救い(?)にして受講しました。しかし、結果的にはこのような私に はぴったりの内容でした。
講義においては、GIS がコンピュータの普及が発展途上であった20世紀半ばには既に開発に向 け動き出していたこと、また一つの「面」としてのシステムを作り上げるためには、必要な情報を取得し、それをデータとして管理し、そのデータを要因別に分析し、最終的に分かりやすく伝達する、といった一つ一つの「点」を蓄積していく地道な作業が必要になってくること、など 様々な点で GIS の奥の深さのようなものを、少しではありますが感じ取れた気がします。
また、実際のGISソフトを利用した実習では、主として人口統計を用いて行われましたが、GIS の作成過程を実際に肌で感じ、GIS のイメージをとらえることは、これからの実務上非常に有意義であったとともに、数字のデータを地図上の空間に取り込んでいく作業は本来大変な労力なのでしょうが、ソフトを用いることによって私のような素人でも容易にできてしまうことには驚きでした。ただ、GIS を作り上げていくには、取り込む基盤となるデータの正確性が前提となること、それはつまりデータを作り上げる人間の「力」が不可欠であることも改めて思い知らされました。
今回この講座は、GIS の概論から実際のソフトの操作まで、3日間盛りだくさんの内容でしたが、GIS の基本を知るには良い機会でした。最後に今回講師を務めていただいた皆様、またこの講座を企画していただいた統計研修所には感謝しております。ありがとうございました。
(統計調査ニュース 平成20年10月号より)