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統計Today No.154
我が国の経済の変化を毎年捉える!
〜 「2019年経済構造実態調査」の結果を初めて公表 〜
総務省統計局統計調査部経済統計課長 重里 佳宏
はじめに
公的統計改革の流れの中、「経済センサス‐活動調査」(経済構造を把握するため、我が国全ての事業所・企業を対象として5年に1度実施する大規模調査)の実施年以外の年においても、経済構造を産業横断的に把握することが必要とされたことを受け、総務省と経済産業省は、未整備となっていたサービス産業の付加価値等の構造を明らかにし、また、国民経済計算における推計の一層の精度向上を図ることを目的として、新しい時代「令和」の始まりとともに「経済構造実態調査」を初めて実施いたしました。
令和2年3月31日に、初めての集計結果である「2019年経済構造実態調査 一次集計」を公表いたしましたので概要を紹介いたします。
結果の概要
2018年の産業大分類別の売上(収入)金額は、「卸売業,小売業」で498.0兆円、「製造業」で413.2兆円、「金融業,保険業」で118.3兆円などとなっています。また、今回の結果(2018年)と経済センサス−活動調査の結果(2015年)を比較すると、最も増加率の大きかった産業は「不動産業,物品賃貸業」で12.2%。最も減少率の大きい産業は「生活関連サービス業,娯楽業」で▲さんかく14.5%となっています。最も増加率の大きかった「不動産業,物品賃貸業」をさらに細かく見てみると、「建物売買業,土地売買業」、「不動産賃貸業(貸家業,貸間業を除く)」などが増加していますが、これは首都圏をはじめとしてオフィス需要が堅調に推移していることや、東京オリンピックに向けたホテル需要増加への対応などのためと考えられます。
表 産業大分類別売上高
(参考)
産業大分類 | 売上高 (百万円) |
増減率※(注記) (%) |
---|---|---|
製造業 | 413,224,430 | 4.7 |
電気・ガス・熱供給・水道業 | 27,031,353 | 3.0 |
情報通信業 | 63,591,218 | 6.1 |
運輸業,郵便業 | 69,564,904 | 7.5 |
卸売業,小売業 | 497,980,974 | 1.5 |
金融業,保険業 | 118,348,463 | ▲さんかく5.4 |
不動産業,物品賃貸業 | 50,468,271 | 12.2 |
学術研究,専門・技術サービス業 | 44,097,503 | 11.7 |
宿泊業,飲食サービス業 | 22,257,902 | 2.3 |
生活関連サービス業,娯楽業 | 37,651,943 | ▲さんかく14.5 |
教育,学習支援業 | 15,287,542 | 1.5 |
医療,福祉 | 115,499,066 | 9.2 |
複合サービス事業 | 9,035,677 | ▲さんかく5.7 |
サービス業(他に分類されないもの) | 36,617,403 | 3.5 |
※(注記)2015年の売上高(平成28年経済センサス‐活動調査結果)との比較 |
このように、一次集計結果では、産業ごとの売上高のみを公表したところですが、令和2年7月には、二次集計として、費用項目、付加価値額及び事業活動ごとの売上高など、より詳細な集計結果の公表が控えております。また、令和2年10月の三次公表では都道府県別の売上高なども公表いたします。より利用価値の高い統計が順次公表されますので、引き続きご注目いただけましたら幸いです。
おわりに
本調査は、正確な景気判断や経済構造の把握に基づく行政施策の立案や企業の経営判断等に資する特に重要な調査と考えております。このため、新型コロナウイルス感染症の感染拡大が続いている現状ではございますが、調査対象となられる皆様のご事情に配慮しつつ、昨年に引き続き、本年6月に2回目となる「令和2年(2020年)経済構造実態調査」を実施いたします。ご理解・ご協力のほど何卒よろしくお願い申し上げます。
(参考)経済構造実態調査の意義等は、調査創設時の統計today 「時代の変わり目に始まる新たな統計調査」を御参照ください。
(令和2年4月24日)