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統計Today No.61

非正規雇用等の実態がより詳しく分かるようになりました
−労働力調査 平成25年(2013年)1月分結果より−

総務省統計局統計調査部国勢統計課労働力人口統計室企画官 佐藤 朋彦


雇用構造の変化等に対応した調査内容の一部変更を実施

我が国では近年、少子高齢化による労働力人口の減少や非正規雇用の増加に見られる雇用構造の変化など社会経済の情勢が大きく変わってきています。そこで、労働力調査では、これらの変化に対応するとともに、政府の「公的統計の整備に関する基本的な計画」等の指摘事項を踏まえ、雇用及び失業の実態把握に資する統計データの充実を図るため、平成25年 (2013年)1月調査から調査事項の変更等(PDF:510KB)を行いました。

この変更後、初めての結果となる基本集計の平成25年(2013年)1月分を3月1日に公表しましたので、その中から注目すべき内容を幾つか御紹介いたします。


雇用形態にかかわらず、実際に働いている産業で分類した就業者数が分かります

今回の変更では、「労働者派遣事業所の派遣社員」については、派遣先の「勤め先・業主などの名称」及び「事業の内容」が把握できるように調査票に明記しました。これにより、雇用形態にかかわらず、実際に働いている産業で分類した就業者数及び就業者数の内訳である雇用者数を把握できるようになりました。

平成25年1月分結果から労働者派遣事業所の派遣社員(121万人)を産業別にみると、「製造業」が32万人で最も多く、次いで「卸売業,小売業」が14万人、「サービス業(他に分類されないもの)」が13万人、「医療,福祉」が11万人となっています。さらに、男女別に見ると、男性(46万人)は「製造業」が19万人、「運輸業,郵便業」及び「サービス業(他に分類されないもの)」が共に5万人となっています。一方、女性(75万人)は「製造業」が13万人、「卸売業,小売業」及び「医療,福祉」が共に10万人となっており、男女で違いがあります。

また、この結果から派遣社員を加えた「製造業」の就業者数は、1019万人であることが分かります。この派遣社員を加えた各産業の就業者数は、産業別の労働投入量を正確に推計する際のデータとして役立つものと考えられます。(表1)


[画像:表1 主な産業別就業者数及び労働者派遣事業所の派遣社員数]


有期契約の雇用者数全体が分かります

次に、「従業上の地位」という調査項目において、これまでは「雇用契約期間の定めがない(定年までを含む)」と「雇用契約期間が1年超」の両者を「常雇」としていましたが、今回の変更では前者を「常雇(無期の契約)」、後者を「常雇(有期の契約)」として新たに区分し、それぞれの定義を調査票上に明記しました。

その結果(注1)をみると、2013年1月の雇用者(5502万人[農林業を含む])のうち、雇用契約期間の定めがない「無期契約の常雇」が3741万人、雇用契約期間が1年超の「有期契約の常雇」が892万人(男性が345万人、女性が547万人)となっています。(表2)

また、「有期契約の常雇」について、雇用形態(勤め先における呼称)別にみると、男性は契約社員が111万人と最も多く、全体の32.2%を占めています。一方、女性は家事や育児のかたわらに仕事に就く割合が高いことから、やはりパートが285万人と最も多く、全体の52.1%となっており、男女で違いがあります。(表3)

さらに、「有期契約の常雇」(892万人)に「臨時雇」(444万人)と「日雇」(90万人)を加えた有期契約の雇用者数は全体で1426万人となり、雇用者(5502万人)の25.9%になることが分かりました。

このように雇用契約期間が1年を超える有期契約の常雇数及びその雇用形態別人数とともに、働く期間が定められている有期契約の雇用者数が新たに明らかになりました。この結果は、今後、有期契約労働者に関する政策立案等における基礎データとして利用されるとみられます。


[画像:表2 従業上の地位、男女別雇用者数]


[画像:表3 雇用形態、男女別有期雇用契約の常雇数]


非正規の仕事についた理由は5月中旬に公表

以上の結果は、毎月継続的に公表していきますので、雇用情勢や雇用契約の状況(注2)を把握する上で、今後はその動向にも注視していく必要があります。

今回の変更では、このほかに特定調査票において「正規の仕事がないから」など非正規の仕事についた理由を新たに調査しており、この結果は5月中旬公表予定の「詳細集計 平成25年1〜3月期平均(速報)」において明らかになります。


(注1)「基本集計 平成25年(2013年)1月分 速報」(PDF:345KB)の公表冊子に掲載されている従業上の地位別雇用者数は、農林業を除いた雇用者数となっていますが、ここでは農林業を含めた雇用者数で御紹介します。

(注2)「改正労働契約法」(厚生労働省)別ウィンドウで開きます。が4月1日に施行されます(一部については、平成24年8月10日に施行)。この改正では、有期労働契約が反復更新されて通算5年を超えたときは、労働者の申込みにより、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換できることを定めています。


(平成25年3月8日)


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