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III 高齢者の暮らし

1 別世帯の子との近居世帯は高齢単身者世帯が16.6%,高齢夫婦世帯が19.0%

平成10年10月1日現在で実施した「住宅・土地統計調査」によると,高齢者のいる世帯は1390万世帯(世帯全体の31.5%)となっている。高齢者のいる世帯の内訳は,高齢単身者世帯が 243万世帯,高齢夫婦世帯が353万世帯,その他の高齢者世帯が794万世帯で,それぞれ高齢者のいる世帯の17.4%,25.4%,57.1%を占めている。
高齢単身者世帯(243万世帯)について, 別世帯の子供がどこに住んでいるかをみると,同じ建物や同じ敷地内などに住んでいる世帯が14万世帯で,高齢単身者世帯の5.9%,これに徒歩5分程度を加えると40万世帯となり,単身で生活している高齢者の16.6%が近居型居住スタイルをとっている。(図4)
次に,高齢夫婦世帯(353万世帯)では, 別世帯の子供が同じ建物や同じ敷地内などに住んでいる世帯が27万世帯で,高齢夫婦世帯の7.8%,これに徒歩5分程度を加えると67万世帯となり,高齢夫婦世帯の19.0%が子世帯と近居型である。 (図4)

(注)高齢者のいる世帯............ 65歳以上の者のいる世帯で,次の三つの型に区分している。

  • 高齢単身者世帯............65歳以上の単身者のみの世帯
  • 高齢夫婦世帯...............夫婦とも若しくはいずれか一方が65歳以上の夫婦一組のみの世帯
  • その他の高齢者世帯......高齢者のいる世帯から上記の二つを除いたもの

図4 高齢単身世帯と高齢夫婦世帯の別世帯の子の住んでいる場所別割合-全国(平成10年)

2 高齢者のいる世帯が住んでいる住宅では手すりがあるのがほぼ4割

我が国の居住世帯のある住宅4392万戸のうち高齢者等に配慮した住宅設備についてみると,「手すりがある」住宅は,全住宅の26.1%を占めている。手すり以外の設備では,「またぎやすい高さの浴槽」がある住宅が18.3%,「廊下などが車椅子で通行可能」な住宅が10.2%,「段差のない屋内」となっている住宅が9.7%,「道路から玄関まで車椅子で通行可能」な住宅が10.1%となっている。
これらの高齢者等に配慮した住宅設備を高齢者のいる世帯が住んでいる住宅1386万戸についてみると,住宅全体での設置状況に比べすべて高い割合を示している。特に,「手すりがある」住宅は,39.3%と,4割に近くなっている。(図5)

図5 高齢者等に配慮した設備がある住宅の割合-全国(平成10年)

高齢者のいる世帯が住んでいる住宅について,高齢者等に配慮した住宅設備の普及率を建築の時期別にみると,最近建築された住宅で高くなっている。中でも「段差のない屋内」の普及率が際立っており,平成2年以前に建築された住宅では7.6%であるのに対し,平成8年以降に建築された住宅では56.6%と,大きな差がある。(図6)

図6 建築の時期別にみた高齢者等に配慮した設備がある住宅の割合(高齢者のいる世帯が住んでいる住宅)-全国(平成10年)

資料「平成10年住宅・土地統計調査」

3 高齢無職世帯の収入の85%は社会保障給付

二人以上の世帯について,世帯主が65歳以上で無職の世帯(世帯主が65歳以上の世帯全体の64.7%, 平均世帯人員2.32人,世帯主の平均年齢71.8歳)の平成11年の実収入をみると,1世帯当たり1か月平均260,814円となっている。内訳をみると,公的年金などの社会保障給付(221,232円)が実収入の84.8%を占めている。
消費支出は,254,803円で,可処分所得(237,851円)を16,953円上回っており,不足分は貯蓄の取り崩しなどで賄っている。(図7)

図7世帯主が65歳以上の無職世帯の実収入及び消費支出(平成11年)

図7 世帯主が65歳以上の無職世帯の実収入及び消費支出(平成11年)

資料:「家計調査」

4 高齢勤労者世帯の主な収入は世帯主の勤め先収入が50%, 社会保障給付が36%

世帯主が65歳以上の勤労者世帯(世帯主が65歳以上の世帯全体の13.2%, 平均世帯人員2.57人,世帯主の平均年齢68.0歳)の平成11年の実収入をみると,1世帯当たり1か月平均455,460円となっている。内訳をみると, 世帯主の勤め先収入(227,584円)が実収入の50.0%を,社会保障給付(163,839 円)が36.0%を占めている。
可処分所得は407,441 円で,そのうち消費支出は322,277円,貯蓄などの黒字は85,164円となっている。(図8)

図8 世帯主が65歳以上の勤労者世帯の実収入及び消費支出(平成11年)

図8 世帯主が65歳以上の勤労者世帯の実収入及び消費支出(平成11年)

資料:「家計調査」

5 高齢者世帯の貯蓄現在高は有業者世帯で約2700万円,無職世帯で約2400万円

二人以上の世帯について,世帯主が65歳以上の世帯の1世帯当たり貯蓄現在高をみると,平成11年12月31日現在で有業者世帯(全世帯から世帯主が無職の世帯を除いたもの)が2668万円,無職世帯が2449万円となっている。これを世帯主が65歳未満の世帯の貯蓄現在高1505万円と比べると、有業者世帯で約1.8倍,無職世帯で約1.6倍となっている。
また,内訳を比べると,定期性預貯金が有業者世帯で約2.0倍,無職世帯で約2.1倍,有価証券が有業者世帯で約2.8倍,無職世帯で約2.5倍となっている。(図9)

図9 世帯主の年齢階級,貯蓄の種類別現在高(平成11年)

図9 世帯主の年齢階級、貯蓄の種類別現在高(平成11年)

資料:「貯蓄動向調査」

6 一般家具や温水洗浄便座の普及率が高い高齢者世帯

二人以上の世帯について,世帯主が65歳以上の世帯の主要耐久財の普及率(注)をみると,和だんす,応接用座卓,応接セットなどの一般家具や温水洗浄便座の普及率が世帯主が65歳未満の世帯よりも高くなっている。
一方,携帯電話,ゴルフ用具一式,ビデオカメラ,パソコン,ファクシミリなどは65歳未満の世帯より低くなっている。(表5)

表5 世帯主の年齢階級別主要耐久消費財の普及率

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