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家計調査の概要
1 調査の目的
家計調査は、統計法に基づく基幹統計「家計統計」を作成するための統計調査であり、国民生活における家計収支の実態を把握し、国の経済政策・社会政策の立案のための基礎資料を提供することを目的とする。
2 調査の対象
家計調査は、全国の世帯を調査対象としている。
ただし、下記に掲げる世帯等は世帯としての収入と支出を正確に計ることが難しいことなどの理由から、調査を行っていない。
(1) 学生の単身世帯
(2) 病院・療養所の入院者、矯正施設の入所者等の世帯
(3) 料理飲食店、旅館又は下宿屋(寄宿舎を含む。)を営む併用住宅の世帯
(4) 賄い付きの同居人がいる世帯
(5) 住み込みの営業上の使用人が4人以上いる世帯
(6) 世帯主が長期間(3か月以上)不在の世帯
(7) 外国人世帯
3 調査世帯の選定
家計調査は標本調査であり、層化3段抽出法(第1段―市町村、第2段―単位区、第3段―世帯)により世帯を選定している。選定にあたっては特定の世帯が続けて調査の対象にならないように配慮している。市町村の抽出の仕方は次のとおりである。都道府県庁所在市及び政令指定都市については各市を1層とし52層に分けた。その他の人口5万以上の市については直近の国勢調査の結果に基づき、地方、都市階級に分けた後、
(1) 人口集中地区人口比率
(2) 人口増減率
(3) 産業的特色
(4) 世帯主の年齢構成
を考慮して74層に分けた。また、人口5万未満の市及び町村は、地方で分けた後、(1)地理的位置(海沿い、山地等)、(2)世帯主の年齢構成を用いて、計42層に分けた。このようにして分けられた全国計168層の各層から1市町村ずつ抽出した。
調査世帯数の割当て
地域 | 調査市町村数 | 二人以上の調査世帯数 | 単身調査世帯数 |
---|---|---|---|
全国 | 168 | 8,076 | 673 |
都道府県庁所在市及び大都市 | 52 | 5,472 | 456 |
人口5万以上の市(上記の市を除く) | 74 | 2,100 | 175 |
人口5万未満の市及び町村 | 42 | 504 | 42 |
※(注記) 単身世帯については、寮・寄宿舎単位区として上記のほか12単位区72世帯を調査している。
次に、各調査市町村内を直近の国勢調査の調査区を基に、調査区を2調査区ずつまとめて単位区とする。
調査員は、1人で2単位区を受け持って、それぞれの単位区の全居住世帯の名簿を作成する。指導員はその名簿を基に、二人以上の世帯については各単位区の調査対象世帯の中から6世帯を、単身世帯については交互の単位区から1世帯を無作為に選定する。
なお、調査単位区は、1年間継続して調査し、毎月12分の1ずつが新たに選定した単位区と交替する。調査世帯は、二人以上の世帯については6か月、単身世帯については3か月継続して調査され、順次、新たに選定された世帯と交替する仕組みになっている。
単身の寮・寄宿舎単位区については、1単位区から3か月ごとに6世帯を抽出し、3か月継続して調査する。
4 調査事項
勤労者世帯及び無職世帯については、日々の家計上の収入及び支出が、個人営業世帯などの勤労者・無職以外の世帯については、支出のみが「家計簿」により調査される。世帯及び世帯員の属性、住居の状態に関する事項等は、すべての調査世帯について「世帯票」により調査される。すべての調査世帯について、記入開始月を含む過去1年間の収入が「年間収入調査票」により調査される。また、二人以上の世帯に対して、貯蓄・負債の保有状況及び住宅などの土地建物の購入計画について「貯蓄等調査票」により調査される。 家計簿、年間収入調査票及び貯蓄等調査票は、調査世帯が記入する自計申告により、世帯票は、調査員の質問調査による。
5 調査の時期
調査は毎月実施する。
6 調査の方法
調査は次のような流れで行われています。
調査内容 | 作業者 |
---|---|
(1) 調査票の設計、調査方法などの企画・設計、調査地域の選定 | 総務省統計局 |
(2) 調査員の選任・指導、調査世帯の選定 | 都道府県・指導員 |
(3) 調査地域の世帯名簿の作成、調査の依頼、調査票の配布 | 調査員 |
(4) 調査票(家計簿など)の記入 | 世帯 |
(5) 調査票の回収 | 調査員 |
(6) 調査票の提出・整理 | 都道府県・指導員 |
(7) 調査結果の集計・公表 | 総務省統計局 |
7 結果の公表
二人以上の世帯の調査結果は、主に、地域・世帯・収入区分ごとに1世帯当たり1か月間の収支金額(品目別では購入数量を含める。)にまとめ、原則として、調査月翌々月上旬に公表する。また、年平均(品目別は年計)の結果をまとめた「家計調査年報」を翌年6月ごろに刊行する。
単身世帯及び総世帯の家計収支に関する結果並びに二人以上の世帯の貯蓄・負債に関する結果は、四半期ごとに公表する。
8 調査の沿革
戦後の家計調査は、昭和21年7月に始められた「消費者価格調査」から発展したものである。「消費者価格調査」は都市に居住する単身世帯を除く非農林漁家世帯を対象として、日々の買物について、その価格、購入数量、支出金額を調査したもので、収入に関しては、この調査からは得られなかった。昭和25年9月からは、家計の収支両面が把握できるように改正し、名称も26年11月から「消費実態調査」と改めた。また、昭和28年1月には調査方法と費目分類も若干改正し、名称も28年4月から「家計調査」と改めた。さらに、昭和37年7月には、従来の調査対象が28都市、約4,200世帯で、その母集団地域が24年4月現在の市制施行地(現在の人口5万以上の市にほぼ見合う。)に限られていたのを改め、母集団地域を全国に、調査対象を168市町村、約8,000世帯に拡大するとともに、調査方法も若干改正した。
沖縄県の家計調査は、昭和47年7月から開始したが、47年中の全国集計にはこれを算入しないで別途集計を行い、48年1月分から全国集計に算入した。
また、昭和56年1月からは収支項目分類を大幅に改正した。改正の主たる内容は、消費支出の5大費目分類を10大費目分類としたことである。このため、従来の5大費目分類による結果は、56年1月以降一部の項目を除き接続しない。そこで、新収支項目分類の結果の利活用を図るため、年次については昭和38年以降、月次については45年以降の基本的な結果を新分類に組み替えて作成し、その主要な結果については、「昭和38年〜55年の家計―新収支項目分類による遡及結果」に掲載してある。
平成11年7月からは農林漁家世帯を調査の対象に取り込み、12年1月から、それまでの「農林漁家世帯を除く」集計に加え、「農林漁家世帯を含む」集計も開始した。
平成14年1月からは、調査対象を単身世帯を含む約9,000世帯に拡大した。また、二人以上の世帯では、食料品の重量の調査を調査開始から1か月間のみ行う方法に変更するとともに、新たに貯蓄・負債の保有状況及び住宅などの土地建物の購入計画に関する調査を開始した。これに伴い、単身世帯収支調査及び貯蓄動向調査を廃止した。
平成30年1月からは農林漁家世帯の世帯区分を廃止するとともに、オンライン調査を順次導入し、令和元年12月からは全地域でオンライン調査を実施している。
9 調査の法的根拠
家計調査は、国が行う重要な統計として、「統計法(e-Gov)別ウィンドウで開きます。(平成19年法律第53号)」による「基幹統計」に指定され、統計法に基づいて公布された「家計調査規則(e-Gov)別ウィンドウで開きます。(昭和50年11月12日総理府令第71号)」に従って調査を実施している。
10 備考
その他、家計調査の詳細については、家計調査年報を参照されたい。