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貸出増加支援資金供給が貸出残高に及ぼした影響

2024年11月1日
伊藤雄一郎*1
河西桂靖*2
平田篤己*3

要旨

本稿では、銀行毎の財務データをもとに、日本銀行が2012年10月に導入を決定した「貸出増加を支援するための資金供給(貸出増加支援資金供給)」が、銀行の貸出残高に及ぼした影響について、定量的な分析を行った。分析にあたっては、当制度の利用が任意であるという選択バイアスに対応するために、傾向スコアマッチングを用いて政策効果を推計した。推計結果は、当制度の利用先と非利用先の間で、貸出残高に統計的に有意な差があることを示しており、貸出増加支援資金供給が、貸出の増加につながっていたことが示唆された。

JEL 分類番号
E50、E51、E52、E58、G21、C23

キーワード
非伝統的金融政策、貸出ファシリティ、銀行貸出、傾向スコアマッチング

本稿の作成に当たっては、開発壮平氏、加藤直也氏、土川顕氏、中島上智氏、長野哲平氏および日本銀行のスタッフから有益なコメントを頂戴した。また、貸出増加支援資金供給の制度概要や海外における制度の導入状況では、久保倉康弘氏と宿谷麻衣氏にご協力を頂いた。記して感謝の意を表したい。ただし、本稿のあり得べき誤りは、全て筆者たち個人に属する。なお、本稿に示される内容や意見は、筆者たち個人に属するものであり、日本銀行の公式見解を示すものではない。

  1. *1日本銀行企画局 E-mail : yuuichirou.itou@boj.or.jp
  2. *2日本銀行企画局 E-mail : yoshiyasu.kasai@boj.or.jp
  3. *3日本銀行企画局(現・調査統計局) E-mail : atsuki.hirata@boj.or.jp

日本銀行から

日本銀行ワーキングペーパーシリーズは、日本銀行員および外部研究者の研究成果をとりまとめたもので、内外の研究機関、研究者等の有識者から幅広くコメントを頂戴することを意図しています。ただし、論文の中で示された内容や意見は、日本銀行の公式見解を示すものではありません。
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