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価格調査における調査価格変更と品質調整の現状 ― 2008年におけるCGPIとCSPIの実績を踏まえて ―

2009年10月14日
日本銀行調査統計局

本稿は、日本銀行が作成する物価指数において、なぜ多くの調査価格で品質調整を上手く行うことができないのかについて論点整理を行うとともに、この問題への対応策を検討することを目的としている。

日本銀行は、市場における「代表的な商品」を価格調査の対象として選び、その商品の価格を継続的に調査している。もっとも、市場における商品の代表性が他の商品へシフトした場合は、調査対象商品を変更する(「調査価格変更」)。この際、新旧商品で品質に違いがある場合は、新旧商品の価格差のうち「品質の違いによる価格差」を評価して、指数を作成しなければならない(「品質調整」)。しかし実際には、何らかの理由で品質調整を断念せざるを得ないケースが多い(「比較困難」)。この場合、品質の変化に伴う価格変化を考慮できないため、物価指数に計測誤差が生じ得る。2008年における「比較困難」の割合は、企業物価指数(CGPI)で42%、企業向けサービス価格指数(CSPI)で65%にのぼる。

本稿の結果を踏まえると、物価指数の精度向上を図るためには、以下の3点が今後の課題として重要である。(1)同一の調査先企業から継続的に調査する。とりわけ、価格調査へのご協力が十分に得られないことが原因で、調査先企業を変更するケースをできるだけ減らす。(2)比較困難を招きやすい商品と取引相手先の同時変更を回避し、変更タイミングを分離する。(3)きめ細かく商品の変更を行い、品質の比較が困難となる商品の大幅な変更を未然に防ぐ、外部データから品質に関する情報を入手して品質調整を行うなど、品質調整方法を工夫することである。

本件についての照会先

日本銀行 調査統計局 物価統計担当

03-3277-2902

日本銀行から

本稿の内容について、商用目的で転載・複製を行う場合は、予め日本銀行調査統計局までご相談ください。
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