金融機関における業務継続体制の整備について
2003年 7月25日
日本銀行
以下には、(はじめに)を掲載しています。全文は、こちら (fsk0307a.pdf 62KB) から入手できます。
はじめに
金融機関にとって重要な業務が、自然災害、テロ、コンピュータ・トラブルなどによって中断を余儀なくされることがある。こうした場合、それらを速やかに再開するために、予め対応計画を策定するなど、業務継続体制を整備しておくことが求められる。このような体制整備の必要性は、特に米国同時多発テロ事件以降、世界各国において改めて認識されている。わが国においても、地震、台風等の自然災害が多いことに加え、最近では金融機関等におけるコンピュータ・トラブルが目立っていることなどから、同様の傾向にある。
こうした中、わが国金融機関の業務継続体制をみると、多くの先が既に何等かの対応計画を策定している。もっとも、その内容については、個別の業務システムや拠点単位の被災に焦点を当てたものが多い。このため、上記テロ事件を契機に、大規模災害にも対応できるよう計画を見直そうとする気運が高まっている。
本稿は、このような状況を踏まえ、金融機関が業務継続体制の整備を進めていく上での「サウンド・プラクティス」(健全な実務)を取り纏め、参考に供するものである。もとより、個々の金融機関では、立地条件や業務特性によって、被り得る災害が異なり、対応にも多様なアプローチがあり得る。また、本分野に関しては、国内外で日々議論が重ねられており、ノウハウの蓄積が進行している。このため、金融機関においては、本稿の考え方を参考としつつ、自らのリスク・プロファイル(想定される被害の特性)に応じた体制を整備するとともに、継続的に見直しを行っていくことが望まれる。日本銀行としても、業務継続体制のあり方について、金融機関との間で、議論を深めていきたいと考えている。
以下では、第1部で金融機関の業務継続体制の整備にかかる日本銀行の基本的な考え方を示すとともに、第2部で体制整備を進めていくための実務的な内容を、より具体的に記述することとしたい。
本件に関する照会先
日本銀行考査局リスクアセスメントグループ
深瀬鋭一郎(eiichirou.fukase@boj.or.jp TEL03-3277-2513)
荒井 隆 (takashi.arai@boj.or.jp TEL03-3277-2005)
長江 敬 (takashi.nagae@boj.or.jp TEL03-3277-1251)