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2025年3月 1日 (土)
文科省の「新着情報」 情報公開への意識が希薄だ
前回社説で、中央教育審議会教員養成部会(1月24日)の開催案内が文部科学省ホームページ(HP)の「新着情報」に載らなかったことを付け加えた。次の2月25日も改まらないどころか、同21日の中教審総会まで載らなかった。
総会が開催されると気付いたのは、当日の早朝だった。もちろん傍聴登録は、前日に締め切られている。慌てて複数の教育誌編集者にメールしたところ、やはり知らなかったという。養成部会の方は委員に日程を聞いていたから、ギリギリ登録できた。
文科官僚の考えは、手に取るように分かる。意図的では決してないだろう。しかし彼らにとって、記者クラブ(文部科学記者会)に告知するのが最優先事項である。各会合のページから直接、申し込みができるようになっていれば何の問題もない。新着情報に転載されたかどうかを確認することなど、眼中にないだろう。国民への情報公開は後日、議事録か議事要旨を掲載すればいいだけだからだ。
教育人材政策課に養成部会の傍聴登録人数をメールで照会したところ「対外的に示しておりませんので、 回答は差し控えさせていただきます」とのことだった。本社は教育課程課の回答に基づき、教育課程企画特別部会(企特部会)の傍聴登録人数を1月30日1073人、2月17日993人と報じる記事を配信している。学校現場にも積極的な傍聴を呼び掛けている同課が例外なのだと言われれば、それまでである。
確かに昔なら、報道機関を通して国民の知る権利に応えるのが基本だという理屈も通用したろう。しかも当時はクラブ加盟資格のなかった業界紙や専門誌は、自分の足で関係局課を回って情報を取るしかなかった。省庁再編後は審議会等も広く公開され、本社記者も含め身元の怪しい者だろうと平等に傍聴できるようになった。
コロナ禍が明けた現在も、オンラインに限定した公開方式が続いている。対面傍聴は中教審総会など一部が、それも報道関係者に認められているだけだ。その総会すら新着情報に載せないということは、フリーランスはおろか教育誌までをも排除しているに等しい。何より国民を無視している。
だいたい報道関係者は、会合の内容を聞きたいだけではない。終了前後の「平場」で委員や担当課に接触するのも、重要な取材だ。ただでさえ文科省は現在、入構しても局課間の移動さえ職員の付き添いがないとできなくなっている。
おそらく取材制限しているという自覚さえ、役人にはないだろう。クラブに対応しておけば済むという意識は、今も変わっていない。
次期学習指導要領は、現場の「共感と納得」(貞広斎子・企特部会主査)による改訂を目指しているという。しかし文科行政全般に関しては国民の共感と納得を得ようとする努力が見られないと言ったら、言いすぎだろうか。「学校の働き方改革」に、共感も納得も得られないのは当然である。
2本の諮問があった昨年末の中教審総会は、ユーチューブの視聴カウンターが一時1200人に達していた。初等中等教育関係者はもちろん、「知の総和」答申案が掛かったから大学関係者も詰め掛けたのだろう。正式答申のあった1月は、どうだったか。本社は総会事務局の政策課にメールで各回の傍聴登録人数を尋ねたが、返信すらない。
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2025年3月 1日 (土) 社説 | 固定リンク
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