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2021年7月 9日 (金)
大学入試の「あり方」〈上〉 問われなかった政治責任
文部科学省の「大学入試のあり方に関する検討会議」が正式に提言をまとめ、三島良直座長が萩生田光一文部科学相に手渡した。大学入学共通テストの実施直前になって頓挫した記述式問題と民間英語資格・検定試験活用という二つの目玉に関し、単に新課程入試(2025年度以降)でも断念を求めただけでなく経緯を検証した点でも高く評価されることだろう。
へそ曲がりの本社は、まずその点に疑義を差し挟みたい。
確かに今般の「高大接続改革」について、意思決定の在り方に問題があったことは疑いがない。検討の場が中央教育審議会→高大接続システム改革会議→文部科学省改革推進本部「高大接続改革チーム」へと移るにつれ、ますます不透明さが増したのも事実だ。
問題の第一は中教審答申を、単なる会議提言が「上書き」したことだ。省庁再編前の旧中教審は文部省設置法に基づき、建議権さえ有した。少なくとも法令上は地方自治体における執行機関としての教育委員会と同様、教育の中立性を国レベルで担保するにふさわしかった。それに比べれば省庁再編後の新中教審は、政令を根拠としている。その分、大学審議会を前身とする大学分科会までも文科省事務局のコントロールが強まったように思えるのは気のせいだろうか。
一方、検討会議は文科相決定により設置されたもので、いわゆる私的会議である。有識者と団体代表による構成は一見、幅広く公正な議論を担保しようとしたもののように見える。しかし中教審の「軽視」は極まったと言わざるを得ない。
経緯の検証にしても、二つの目玉の見送りまでの話である。検討会議を設置した、萩生田文科相自身の判断が問われたわけではなかった。文科相の政治判断であるならば、その妥当性も検証されてしかるべきだった。
もっと問われるべきは、下村博文・元文科相の政治責任だ。
第2次安倍晋政権になって文教行政は、下村文科相兼教育再生相の恐怖政治にも似た剛腕によって主導された。それは本人が交通遺児から奨学金で大学を出て代議士にまでなり、発達障害の子息が海外留学で才能を開花させたという自身の個人的体験と信念に基づく側面も大きい。それを全否定するつもりは毛頭ない。むしろ高等教育の無償化など、下村氏だからこそ実現した政策や光が当たった分野があることは高く評価していい。
しかし民主党政権から引き継いだ高大接続改革も、その剛腕が捻じ曲げた側面が否定できないのではないか。中教審やシステム会議の議事運営にしばしば首をかしげざるを得なかったのも、事務局の問題というより大臣という陰の存在に今風に言えば忖度(そんたく)したからだろう。
その下村氏の思惑で進められた政策を、萩生田氏がひっくり返した。同じ自民党東京都連で、安倍政権の「お友達」内の対立が背景にあるとすれば興が覚める。
「文部科学省においては、今回の事態が受験者等に与えた影響を真摯に受け止め、提言に盛り込んだ大学入学者選抜に係る意思決定のあり方に示された諸観点については、今後、広く他の施策においても生かされることを強く求める」――。提言の冒頭にうたわれた要請は、もっともである。しかし「文部科学省」とは、文科官僚のことなのか。政務三役の政治責任が問われない限り、同じ過ちを繰り返しかねない。もちろん文科官僚としての矜持(きょうじ)や能力も別途、問われるべきではあるが。
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2021年7月 9日 (金) 社説 | 固定リンク
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