以上、滋賀県における淀川水系琵琶湖支川とその河川に建設されてきたダムについていくつか述べてきた。周囲の山々を源として、琵琶湖に注ぐ河川の特徴は、急峻であり、流路延長は短く、最大は野洲川で65.3?qであり、また天井川と尻無川を形成している川が大半を占めており、水害が起こりやすい河川である。このような河川状況とそこに生活する人たちを守り、産業発展のために、水害を減災する治水ダムが、戦後多く造られてきたといえる。そのダムの規模は、
総貯水容量600万m3前後の小規模のダムである。利水としての水道用水と農業用水を目的としたダムはいくつか見られるが、顕著な工業用水及び発電用ダムは無いことも滋賀県のダムの特徴といえる。
現在、滋賀県は水害に強い地域づくりとして、河道掘削、堤防整備、治水ダム建設における川の中の対策(
堤外地対策)に加えて、?@流域貯留対策として、ため池、調整池、グラウンドの雨水貯留で、水をためて河川への流入量を減らす。?A氾濫原減災対策として、輪中堤、二線堤、霞堤、水害防備林、土地利用規制、耐水化建築等を行い、水をとどめる氾濫流を制御、誘導する。?B地域防災力向上対策として、水害履歴の調査・公表、防災教育、防災訓練、防災情報発信で、水害に備えるという、流域治水対策の推進を図っている。