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おもちゃ売り場と文具売り場を行き来して... 〜『王様の仕立て屋24』〜

その世界のことを理解していないのに、なぜかおもしろくて読んでいるマンガがいくつかあります。
(たとえば、運転もできないのに『頭文字D』を読んでいるとか)
そのうちの一つ、『王様の仕立て屋 〜サルト・フィニート〜』(大河原遁/集英社 ジャンプコミックスデラックス)は、紳士服仕立てものがテーマで、まったく自分とは無縁。
読んでもたぶん蘊蓄やら用語やらは頭に入っていないだろうに、主人公の凄腕特急仕立て屋 織部悠 の、手先は素晴らしく器用なのに、生き方が思い切り不器用なところにたぶんはまって、ついに24巻まできてしまいました。
物語の基本は、仕立て服による装いの変化で、周りに与える印象や人生までもが変わるというもの。
これに、親子やブランド同士の確執や、美形の女性陣やら居候の少年やらが絡み、毎回楽しみな内容になっています。

24巻は、珍しく文房具売り場の出てくる話です。
第143話「灼熱の血潮」(←しかし、この題でこの内容を想像するのは相当難しいかと...私がわからないだけで裏の意味があるのかな? オペラや映画の名前が使われていたりするので)

イタリアの高級文具店「ピナイデル」に40年勤め、定年退職後、デパートの文具売り場で高級志向の文房具を扱う一画をまかされているコロンナ氏は、忙しいフロアを手伝ってくれと言われて、時々おもちゃ売り場にも出向かなくてはならない。
やっと手に入れた自分の至福の空間を守るためならと、慣れないおもちゃ売り場にも立つコロンナ氏だが、高給文具売り場の雰囲気の知性的なスーツ姿は子どもにもなつかれず、若いお母さんたちはコロンナ氏に目も合わせない。
趣味人相手に人生のほとんどを費やしてきた彼には、この境遇はストレスもたまる。
かといって、おもちゃ売り場に合った格好をすれば、急に呼ばれて文具売り場に行くときに支障がある。
(さらに、おもちゃ売り場にいるときには、メーカーの販促用のバッジやマスコットを服につけなくてはならない)
この二つの売り場両方に馴染んで、新しい客層である若いお母さん方にも好かれる服装とは? というのが、今回のお題。

今回は、女性ばかりのブランド「ジラソーレ」が服の原案を考え、織部が助言する形で問題を解決します。
どちらの売り場にも馴染む服装、さらにそこに施された秘策とは? ......

注意: ピナイデルの蘊蓄は一コマだけです♪

ようやくコミックス化されましたが、この話の内容を連載中に教えてくれたのは、松本麗香さんです。(「スーパージャンプ」7号 2009年3月25日 掲載)
ありがとうございました。
(→ 麗香さんのブログ Leica a la carte へ)
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2009年11月12日 (木) アニメ・コミック, 文具 | 固定リンク
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コメント

お久しぶりです。
「王様の仕立て屋」ですが、文具ということであれば万年筆の回もありましたね。悠はたしか日本製でパイロットだったと思うのですが、万年筆はコレクターもいるとんでもない世界で「目からうろこ」どころではない内容でした。コレクターの存在は「なんでも鑑定団」などで知っておりましたが、私の知識は有名な蒔絵万年筆で終わっておりましたので。

このお話自体、洋服を着る側だけではなく、周りがそれを理解できなきゃ成立しない「とんでも世界」だと思います。
いえ、それが楽しいのですけどね・・・

投稿: K出 | 2009年11月13日 (金) 08時54分

こんばんは

そういえばこのエピソード、お話しましたね
言った本人すっかり忘れていました(爆)

文具から玩具売り場への配置転換とはどこかで聞いたような
お話ですが(笑)、玩具と文具といったお客の年齢層などが
違う事よりも、そこの売り場を立ち回る店員の意識の変革が
大きな意味を持つことにこの時のエピソードが強く印象付けられました

趣味人といっても、対象となる趣味の事ばかりに傾倒していては、
趣味人として 「 粋 」 ではないということですね(^-^)

投稿: 松本麗香 | 2009年11月13日 (金) 21時42分

K出さん こんばんは
「王様の仕立て屋」ご存じでうれしいです。
今回のお話には、ボタンホールの「ブートニエール」が出ていて、
そういえば、メンズカネコイサオでは、コサージュを「ブートニア」と呼んでいたなあ、と懐かしく思っていました。

実際問題「金色メタルボタンのネイビーブレザー、ブルーワイドカラーシャツにレジメンタルタイ、中柄ハウンドトゥースパンツに、スエードのフルブローグスですか。」なんてのは、会話として普通あり得ません^^;
蘊蓄もののパターンとして楽しむべきものでしょうね。

万年筆のお話は忘れていたので探しました。
11巻の63話「吾輩の万年筆」でした。
メインになっていたのはオノト、悠の万年筆はセーラーの竹の「いっちゃん安いやつ」でした。

麗香さん こんばんは
ようやくコミックスに入ったので紹介しました。
情報提供をありがとうございます。

自分もですが、歳をとると一層保守的になって、新しい仕事とか立場とかに慣れず、「何で自分がこんなことを」となりがちですが、コロンナ氏は、不満はありながらも、両方に順応しようとしているのがいいなあと思いました。
私も「何で自分が」はしょっちゅうで、結局専門外でご飯を食べてるようなこのごろですけど、得意分野が増えてよかったのかも。

投稿: けふこ | 2009年11月14日 (土) 21時49分

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