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この世の全てはこともなし


了巷説百物語 (角川書店単行本)

博士-デフォルト500px「さて今回は『了巷説百物語(おわりのこうせつひゃくものがたり)』を取り上げたいと思います」

助手-デフォルト反転500px「著者は京極夏彦氏。巷説百物語シリーズにして完結篇?になりますね」

・巷説百物語(1999年)
・続巷説百物語(2001年)
・後巷説百物語(2003年)
・前巷説百物語(2007年)
・西巷説百物語(2010年)
・遠巷説百物語(2021年)

博士-デフォルト500px「タイトルに『おわりの』と着いているけど時系列的には『続巷説百物語』の『死神』と『老人火』の間にだいたい入っているエピソードになっている」

助手-デフォルト反転500px「『続巷説百物語』の『死神』の終わりで又市が『千代田のお城にもう一匹、でけぇ鼠が巣食っているいやがるようだから』と言って続編で江戸幕府の大物とのバトルが勃発するのか!?と読者の期待を煽っておいて、『後巷説百物語』で明治に時代がくだってしまい、かなりの肩透かしを喰らった記憶があります」
博士-デフォルト500px「その『でけぇ鼠』とのバトルが2024年になって読めるとは正直思わんかった」

助手-デフォルト反転500px「まあ、あれですよね。待たせすぎです」

博士-デフォルト500px「話の下敷きには2000年のドラマ『京極夏彦「怪」』のドラマシリーズ第4話「福神ながし」があるのよ、観たはずなんだけど昔すぎて記憶が朧げ」

助手-デフォルト反転500px「割とオカルトぽかったような記憶があるんですよね、奪い合った『箱』の中身は荒俣宏の福助が入ってたんでしたっけ?(※(注記)もうホント朧げな記憶で不確かなんで信用しないでください)」

博士-デフォルト500px「京極堂の曽祖父・中禅寺洲齋も登場するのは見どころ。というかこのキャラは2000年のドラマの時点でいたのよ(※(注記)近藤正臣氏が演じていました)。でも著者の小説で登場するのはこの作品が初。どんだけキャラ寝かせてんのよ」

助手-デフォルト反転500px「この作品がでるとほぼ同時期に歌舞伎で中禅寺洲齋をメインに据えた『狐花』が発表されてたりするんで、この作品で初めてキャラが解禁された感はあります」

博士-デフォルト500px「欲を言えば2000年代前半に読みたかった作品かなあ」

助手-デフォルト反転500px「別に『後巷説百物語』とこの『了巷説百物語』の順番が逆でもいいような気がしますよね」

博士-デフォルト500px「ストーリーは水野忠邦の天保の改革の時代を背景に、新キャラである洞観屋・藤兵衛を主人公に巨大な敵と戦っていく感じ」

助手-デフォルト反転500px「巷説シリーズは『必殺シリーズ』へのオマージュにあふれている作品なんですけど、今作はシリアスでどこかトンチキな(それこそが必殺シリーズの魅力でもあるんですが)作風が過去最大級だった気もします」

博士-デフォルト500px「今回、敵方が七福神のコスプレをした連中で、凄惨な殺し合いのシーンで『でも、毘沙門天のコスプレをしたポルトガル人と侍が戦ってんだよな...』と想像すると割とイメージが混乱した」

助手-デフォルト反転500px「あと元々の原型であるテレビドラマ版が最終話だったんで京極夏彦氏本人はもとより、水木しげる氏・宮部みゆき氏・荒俣宏氏が出演する当時の妖怪界隈内輪のお祭り感があったですけど、その感じを再現してますよね」

博士-デフォルト500px「そうそう、今までの巷説シリーズのキャラが次々と登場し(さすがに『後巷説百物語』の明治時代キャラクターはいなかったが)、遠山の金さん、鳥居耀蔵、水野忠邦と時代を彩るキャラクターも登場」

助手-デフォルト反転500px「これで又市がほとんど登場しないが、面白いところです」

博士-デフォルト500px「又市と山岡百介の関係性はなんなんだろうね、今作で『死ぬまで会わなかったけどガチで人生を見守っていた』というほっこりなんだか激重なんだかよくわからんエピソードが追加された」

助手-デフォルト反転500px「京極作品は普通っぽい人ほど激ヤバ重感情を抱いている人って多いですよね」

博士-デフォルト500px「1354ページの大作ですが、シリーズのファンにはたまらない作品でした。特に『続巷説百物語』まで読んでいる人や、大昔のドラマ版を観ていた人オススメしときます」


助手-挨拶100px「では今回はこんなところで」


博士-挨拶500px「それじゃあ」




博士-デフォルト500px「あと本題とは関係ないですが、ブログをしばらく放置してたらアマゾンアフィの画像が表示されなくなったので困ってます」

助手-デフォルト反転500px「ちょっと調べたけどわかんないですよね、知ってる有識者の方いたらおしえてください」
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(追記) (追記ここまで)

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