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桂雀々さん急死 早すぎる64歳 波瀾万丈の生きざまを笑いに 「上方落語の爆笑王」TVやドラマでも活躍

[ 2024年11月22日 01:00 ]

桂雀々さん
Photo By スポニチ

「上方落語の爆笑王」として人気を博した落語家の桂雀々(かつら・じゃくじゃく、本名・松本貢一=まつもと・こういち)さんが、20日に死去した。64歳。大阪市出身。葬儀は22日に近親者のみで執り行われる。

関係者によると、10月下旬、茨城県内でのゴルフに行く途中に倒れ、救急搬送され入院した。いったん回復しリハビリをしていたが、今月に入り再び体調を崩していた。今月15日には所属事務所が「持病の糖尿病により、現在入院加療中です」とファンに報告。年内出演予定の落語会を全て休演していた。

1977年に上方落語の故桂枝雀さんに入門、同10月に初舞台。枝雀さんの爆笑落語を受け継ぎ、派手なオーバーリアクションとマシンガントークで観客を笑わせてきた。芸歴35周年を迎えた2011年には東京に拠点を移し、役者としても活動した。17年に開いた芸歴40周年記念公演には、親交の深い明石家さんま(69)、サザンオールスターズの桑田佳祐(68)がゲスト出演し、大きな話題になった。

抱腹絶倒の語り口とは裏腹に、壮絶な少年時代を送った。小6の時に、ギャンブル好きな父に愛想を尽かした母が蒸発。中1時には手に包丁を持った父に無理心中を迫られ、そのまま父も家を飛び出した。電気もガスも止められ、1人で過ごす自宅を借金取りが何度も荒らした。

その少年の心の支えが落語だった。ラジオで聴いた「狸の賽」が転機に。助けられたタヌキがばくち打ちに恩返しをする噺(はなし)で、自らの境遇と重ねて聞き入った。カセットに録音し、何度も聞いてノートに書いて覚えた。学校の教室で披露し、友人や先生たちが爆笑。落語を武器に、懸命に明るく振る舞った。「笑われるのではなく、笑わせる人になろう」と決意した。

徐々に頭角を現し、関西で人気を不動のものにし、情報番組でも活躍。50歳になると「地獄八景」全国50カ所巡りを敢行。上京を勧める周囲の声を受け、妻と息子が住む大阪の自宅を売り払って東京に出た。2018年には、東京・明治座、大阪・新歌舞伎座など1000人を超える大舞台で独演会を開催。芝居さながらの照明や回り舞台を駆使した「スーパー歌舞伎」ならぬ、「スーパー落語」をつくり上げ好評を博した。

笑いに全力投球してきた雀々さん。過去のインタビューでは「生きざまそのものが落語になりたい」と語っていた。波瀾(はらん)万丈の歩みは多くの人の心に刻まれた。


桂 雀々(かつら・じゃくじゃく=本名・松本貢一)1960年(昭35)8月9日生まれ、大阪市出身。中3の頃にTBSの人気バラエティー「ぎんざNOW!」のコーナー「しろうとコメディアン道場」に「花より団子」の名で出演し、6代目チャンピオンに。上方お笑い大賞最優秀技能賞をはじめ受賞歴多数。役者としては2020年にNHK・BSプレミアムのドラマ「贋作男はつらいよ」で初めて主役を務めた。義兄弟は桂ざこばさん。著書は「必死のパッチ」(幻冬舎)。

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