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高病原性鳥インフルエンザウイルスA(H5N1)感染事例に関するリスクアセスメントと対応

2023年4月13日
2024年12月12日最終更新
国立感染症研究所

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更新点

2024年12月12日 疫学的所見、ウイルス学的所見、日本国内の対応、リスクアセスメント

目次

  • 背景
  • 疫学的所見
    1.事例の概要
    国外の状況
    国内の状況
    2.治療薬、ワクチン、検査について
  • ウイルス学的所見
  • 日本国内の対応
  • リスクアセスメント

背景

高病原性鳥インフルエンザウイルスA(H5N1) (Highly pathogenic avian influenza virus: 以下、HPAIV(H5N1))は1997年に初めて、香港で生鳥市場を介したヒト感染例の報告があり、2003年、2004年には東アジア、東南アジアでもヒト感染例が報告された。これ以降、世界各地の家きんや野鳥に感染が拡がり、流行域を拡大したH5亜型のHPAIVは、A/goose/Guangdong/1/1996(H5N1)に由来するユーラシア型のHA遺伝子を保持しており、HA遺伝子の塩基配列により当初は0〜9のCladeに分類され、その後HA遺伝子の変異が蓄積し、Cladeごとにさらに細かな亜系統に分類されるようになった。さらに他のA型インフルエンザウイルスとの遺伝子再集合を起こすなど、遺伝的にも多様化している。特に2005年以降はClade 2の亜系統が鳥類で流行したことに伴い鳥類からヒトへの感染例も増加し、2006年には欧州、アフリカ大陸でもヒト感染例が報告された。HPAIV(H5N1)のヒト感染例は2003年から2024年8月9日までで少なくとも906例が世界保健機関(WHO)に報告されているが、ほとんどは2017年以前の報告である。
2021年以降はClade 2.3.4.4bに属するHPAIV(H5N1)の世界的な感染拡大に伴い、2023年には南極地域で初めて鳥類での感染例の発生が報告され、オセアニアを除く全世界から報告があったほか、水生動物を含む野生の哺乳類や農場のミンクなどの感染例、散発的なヒト感染例が世界各所で継続的に報告されている。加えて2024年3月には、米国からヤギおよび乳牛でのClade2.3.4.4bに属するHPAIV(H5N1)感染例、および未殺菌乳(生乳)からの同CladeのHPAIV検出が報告され、接触者の調査中にヒトの感染例が確認された。 また、Clade 2.3.2.1cに属するHPAIV(H5N1)の局地的なヒト感染例も報告されている。
近年のHPAIV(H5N1)のヒト感染例の報告は限られるが、鳥類や哺乳類で流行が拡大していることから、2020年以降の状況について、HPAIV(H5N1)感染事例の疫学情報の更新およびリスクアセスメントを行った。

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ポーランド共和国および大韓民国におけるネコの高病原性鳥インフルエンザウイルスA(H5N1)感染事例について

2023年9月15日
国立感染症研究所

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目次

  • 背景
  • 事例の概要
    1. ポーランドにおける事例
    2. 韓国における事例
    3. ウイルス学的所見
    4. 欧州におけるHPAIV(H5N1)の報告状況
    5. 東アジアにおけるHPAIV(H5N1)の報告状況
  • 過去の哺乳類における鳥インフルエンザウイルス感染事例
    1. 近年のネコ科動物の鳥インフルエンザウイルス感染事例
    2. 過去の鳥インフルエンザの哺乳類からのヒト感染事例
  • 日本国内における家きん肉を用いたペットフードの状況
  • リスクアセスメント
  • 今後の対応

背景

高病原性鳥インフルエンザウイルスA(H5N1) (Highly pathogenic avian influenza virus: 以下、HPAIV(H5N1))は1997年に初めて香港で生鳥市場を介したヒト感染例の報告があり、2003年、2004年には東アジア、東南アジアでもヒト感染例が報告された。これ以降、世界各地の家きんや野鳥に感染が拡がり流行域を拡大したH5亜型のHPAIVは、A/goose/Guandong/1/1996(H5N1)に由来するユーラシア型のHA遺伝子を保持している。HA遺伝子の塩基配列により当初は0〜9のCladeに分類され、その後HA遺伝子の変異が蓄積し、Cladeごとにさらに細かな亜系統に分類されるようになった。さらに他のA型インフルエンザウイルスとの遺伝子再集合を起こすなど、遺伝的にも多様化している
2021年以降はClade2.3.4.4bに属するHPAIV(H5N1)の世界的な感染拡大が起こり、2021年に北米で報告され、2022年には中南米へと拡大した。2022年には南極大陸及びオーストラリア大陸以外の全ての大陸の野鳥、家きんでのHPAIV(H5N1)感染事例が報告された。トリでの感染事例の地理的な拡大と報告数の増加に伴い、トリを捕食するもしくはトリの死骸を餌とする動物での感染事例が増加し、イルカ、アザラシなど海棲哺乳類を含む野生の哺乳類や毛皮農場で飼育されているミンクなどでの感染例の報告があった
哺乳類の感染事例として、2023年6月から7月にかけて、ポーランド共和国(以下、ポーランド)及び大韓民国(以下、韓国)において、飼い猫や動物保護施設で飼育されていたネコでのHPAIV(H5N1)感染事例が報告されたことから、これら事例に関する情報の更新及びリスクアセスメントを行った

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H5亜型の高病原性鳥インフルエンザの発生状況およびヒト感染例について

国立感染症研究所
2018年6月22日現在

H5亜型の高病原性鳥インフルエンザについて、2017年4月以降のトリとヒトの事例の国内外の発生状況を中心に、以下に更新情報をまとめる。

H5亜型の高病原性鳥インフルエンザの発生状況およびヒト感染例について(2018年6月22日現在) (PDF)

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高病原性鳥インフルエンザの発生状況

2017年5月10日現在

PDF版

高病原性鳥インフルエンザA(H5N6)

世界のトリでの発生状況

(FAO: http://empres-i.fao.org/eipws3g/ および農林水産省HP: http://www.maff.go.jp/j/syouan/douei/tori/に基づく):
低病原性鳥インフルエンザA(H5N6)ウイルスは1975年以降,広い地域で検出されていたが,高病原性鳥インフルエンザA(H5N6)ウイルスの家禽での最初の発生は2014年であり,中国から報告された.2016年1月から2017年4月12日までの期間にFAOに報告されたトリでのアウトブレイクは,6か国と2つの地域から166件(内訳は,上記URL参照)である.哺乳類への感染として、中国(1)と韓国(2)でネコへの感染が報告されている.しかし現在のところ,高病原性鳥インフルエンザA(H5N6)ウイルスはヒトに感受性を持つような変異やタミフル耐性になるような変異は見られず,また,哺乳動物に対して病原性が強くなる性質を持つような変異も見られていない.

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高病原性鳥インフルエンザの発生状況

2016年12月21日現在

PDF版

高病原性鳥インフルエンザA(H5N6)

世界のトリでの発生状況(FAO: http://empres-i.fao.org/eipws3g/ に基づく):

低病原性鳥インフルエンザA(H5N6)ウイルスは1975年以降,広い地域で検出されていたが,高病原性鳥インフルエンザA(H5N6)ウイルスの家禽での最初の発生は2014年であり,中国から報告された.20161月から同年1220日までの期間に報告されたトリでのアウトブレイクは,5か国から50件である(韓国25件,ベトナム8件,中国7件,日本8件,香港2件).現在のところ,高病原性鳥インフルエンザA(H5N6)ウイルスはヒトに感受性を持つような変異やタミフル耐性になるような変異は見られず,また,哺乳動物に対して病原性が強くなる性質を持つような変異も見られていない.

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鳥インフルエンザA(H5N6)ウイルス発生状況

2016年12月5日現在

PDF版

世界のトリでの発生状況(OIE: http://empres-i.fao.org/eipws3g/ に基づく):

低病原性鳥インフルエンザA(H5N6)ウイルスは1975年以降、広い地域で検出されていたが、高病原性鳥インフルエンザA(H5N6)ウイルスの家禽での最初の発生は2014年であり、中国から報告された。20161月から同年122日までの期間に報告されたトリでのアウトブレイクは、4か国から39件である(韓国19件、ベトナム8件、中国7件、日本4件、香港1件)。現在のところ、高病原性鳥インフルエンザA(H5N6)ウイルスはヒトに親和性を持つような変異やタミフル耐性になるような変異は見られず、また、哺乳動物に対して病原性が強くなる性質を持つような変異も見られていない。

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国立感染症研究所
平成25年5月6日版

中国において発生が認められているヒトの鳥インフルエンザ A(H7N9)ウイルス感染症は、現時点では接触者調査の結果からは持続的な人―人感染は認められておらず、また感染源・感染経路は不明である。国内で探知されたヒトの鳥インフルエンザ A(H7N9)ウイルス感染症の症例(疑似症、患者等)に対しては、適切な感染拡大防止策、事例を通じた感染リスクの評価、適切な情報提供等を目的とし、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(感染症法)第 15 条による積極的疫学調査を迅速に実施するよう努めることが必要であることから本稿が準備された。なお、疫学状況の変化に伴い積極的 疫学調査の実施要領の見直しを行う。

続きは下記のPDF版からご覧ください。

excel鳥インフルエンザ A(H7N9)ウイルス感染事例に対する積極的疫学調査実施要領(暫定版)
excel調査票(エクセルファイル)のダウンロード
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2012年以前に掲載された鳥インフルエンザ関連の記事は、下記の旧感染症情報センター(現感染症疫学センター)のサイトからご覧ください。

https://idsc.niid.go.jp/disease/avian_influenza/index.html

Copyright 1998 National Institute of Infectious Diseases, Japan

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