LOVE in Letter

【体験談】さい帯血移植経験者 一馬くんのお母さんから

さい帯血移植を受けた一馬くんのお母さんからのメッセージです。
広報誌「BANK!BANK!_Vol.05」

息子の「今」をくれた方々に感謝する毎日です

4歳の時、突然歩けなくなり「神経芽腫(しんけいがしゅ=神経組織の中にがん腫瘍ができる疾患)」と診断され、さい帯血移植を受けた一馬くんのお母さんから広報誌「BANK!BANK!_Vol.05」(PDF:4.4MB)にメッセージをいただきましたので紹介します。

突然の発症、一馬は歩けなくなりました

一馬は4歳の時、突然歩けなくなり、神経芽腫(しんけいがしゅ=神経組織の中にがん腫瘍ができる疾患)と診断されました。
この時、腫瘍はかなり進行しており、発覚した2日後には抗がん剤治療を開始。数日前まで元気に遊んでいた息子が、ベッドで人工呼吸器をつけ、抗がん剤治療を受けている姿を見て、泣くしかありませんでした。
治療は、化学療法、放射線療法、外科的治療をしましたが腫瘍は消えず、当時の神経芽腫の最新治療法「さい帯血移植」と出会いました。

移植というとHLAが一致するものを移植しますが、今回の治療はあえてHLAが一致している中でも一部が不一致のさい帯血を移植し、NK(ナチュラルキラー)細胞を活性化させるというもの。
しかし、この治療は5年後の治療成績がまだないという事実も同時に知りました。
移植後に苦しむ子を同病棟内で見てきたこと、先生から前処置(放射線全身照射や抗がん剤)のさまざまな副作用の話を聞いたことから、一馬にとって今以上に苦しむ日が来るかもしれないと思い、怖くて簡単には決断できませんでした。
しかし、初めてセカンドオピニオンを利用し、移植実施件数の多い病院を選んで話を聞いた結果、その病院の先生に背中を押してもらい治療に挑むことにしました。
この時、移植はHLAの一部が不一致のさい帯血を使用する為、簡単には見つからず治療が受けたくても受けられない患者さんも多いことを知りました・・・

息子の「今」をくれた方々に感謝する毎日です

その後、幸運にも一馬に合うHLAのさい帯血が見つかり、迎えた移植当日。先生たちがさい帯血を持って無菌室に入り、ゆっくりとさい帯血を注入し始めました。
私は、その光景を見て、胸がドキドキしながら「どうか一馬の力になりますように」と祈り続けていたことを、今でも鮮明に覚えています。
生着(造血機能が回復)するまでに1カ月かかったため、苦しむ姿を見ながらただ祈る日々は、本当に長かったと記憶しています。
しばらくは免疫抑制剤を使用しながらの生活が続きましたが、拒絶反応はなく、腫瘍細胞の再発は抑えられ、移植後169日目に退院することができました。
この移植から4年が過ぎた現在。一馬は、神経芽腫の後遺症で車椅子生活ですが、毎日大好きな学校(普通校)に通っています。
たくさんの友達と笑顔いっぱいで遊んでいる姿を見るといつも涙がこぼれそうになります。
また、色々心配する私に「移植の時の苦しみに比べたら今の日常で辛いことなんてない」と話し、安心させてくれます。
さい帯血をバンクに提供してくれた方をはじめ、たくさんの方々のおかげで、「一馬の今」があることに日々感謝をしています。
今年は、大好きな野球観戦に行くことができるほど元気になりました。
これからもいただいた命が続くよう、免疫細胞が低下しないように注意し、家族で色々な所に出かけたり、美味しいものを食べたりしながら、毎日を過ごしていきたいと思います。

いま、あなたにできること

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