ホーム > 研究グループ > 活断層評価研究グループ
活断層評価研究グループ | メンバー紹介
将来起こる内陸地震に備えるため,全国の陸上および沿岸海域の活断層を対象に,活断層の位置や形状を詳細に把握し,過去の活動履歴を明らかにするための調査を実施しています.また,隣接する活断層が同時に活動して地震規模が大きくなる可能性や,通常の調査では認定しにくい活断層についての新たな調査・評価手法も研究しています.
調査で得られたデータは,政府の地震調査研究推進本部に提出し,国としての活断層評価に活用されています.また,活断層の位置がひと目で分かる地図や,最新の研究成果を網羅した「活断層データベース」を整備・公開しています.さらに,大地震が発生した際には,速やかに震源域周辺の地質情報の解説を公表したり,地表に現れた断層のずれなどの地殻変動を把握するため,緊急調査を実施するなどの活動を行っています.
この地点では,平成28年熊本地震の際に,中央部に向かって落ち込む溝状の地表地震断層が出現しました.溝状地震断層の両肩を横断する方向にトレンチを掘削したところ,直下に明瞭な断層が認められ,過去の複数回の地震活動を知ることができました.
グループメンバー紹介
グループ長 宮下 由香里 Yukari Miyashita
近い将来,いつ,どこで,どれくらいの地震が起こるのかを予測するため,地形地質調査によって活断層の過去の地震履歴を明らかにする研究を行っています.近年は,熊本県,山口県,福岡県の活断層を中心に調査を行ってきました.また,「現在は地表にあるが,過去には地下深くの震源域にあった地質体」,すなわち,「変成岩や深成岩とそれらが上昇してくる際に変形してできた断層岩」の地質調査と形成過程の解析も行っています.これらの研究を通じて,活断層を地表から地下深部まで理解できる地質学者を目指しています.
主任研究員 吾妻 崇 Takashi Azuma
地形学および第四紀学を専門分野として,段丘地形を指標とした平野・盆地の地形発達および最近地質時代における地殻変動の研究を主に行っています.国内では日本海東縁地域に代表される褶曲・衝上断層帯における逆断層の活動様式に特に関心があります.空中写真を用いた地形判読やDEMデータを用いた地形解析によって活断層を探し出し,現地調査によってそれらの活動史を明らかにすることが主な仕事です.
上級主任研究員 丸山 正 Tadashi Maruyama
全国に分布する主要活断層帯について,主として地形・地質に残された情報から,過去に動いた(地震を引き起こした)歴史を読み解く調査・研究を行っています.現地での調査と高解像度の地形情報を組み合わせて,活断層の挙動をより詳細に解明することが目標です.これまで主に逆断層を対象に調査を担当してきましたが,最近では正断層の調査・研究も行っています.
主任研究員 近藤 久雄 Hisao Kondo
地形・地質学的な手法を用いて,活断層から発生した大地震の繰り返しを具体的に明らかにする研究を行っています.特に,大地震の発生時期とずれの量を同時に復元し,断層活動がどのように繰り返され,どのような大地震が発生してきたかをモデル化することを目標としています.これまでは,主にトルコの北アナトリア断層系,糸魚川-静岡構造線活断層系,上町断層帯などで調査研究を行っています.
研究員 白濱吉起 Yoshiki Shirahama
段丘,扇状地を対象とした変動地形のマッピングと宇宙線生成核種を用いた表面照射年代から変動速度推定を行い,主にチベット高原の発達過程の 解明を目的に研究してきました.本グループでは,国内の主要活断層を中心に,野外調査に基づいた活断層調査を行うとともに,適用例の乏しい表 面照射年代測定手法の国内への応用についても検討していきます.
産総研特別研究員 シュレヤ・アローラ Shreya Arora
My work involved detailed mapping of the active faults and trenching survey along the Himalayan fault lines to establish the past earthquake chronologies to better assess the imminent seismic hazard to the Himalaya. I have extensively used high resolution satellite data and Optically Stimulated Luminescence (OSL) Dating techniques to support my work. Currently, I am working in the meizoseismal zone of Mw 7.2 1896 Rikuu earthquake, northeast Japan, to determine the slip rates and reconstruct the past earthquake chronologies integrating aerial photo interpretation, LiDAR, borehole data, seismic reflection survey and trenching techniques.
リサーチアシスタント タン・エバン Evan Tam
海岸段丘を分析することを通して,地域のテクトニクス隆起,活動,地球内部の評価,及び古海面レベルを検討出来ます.Glacio-Isostatic Adjustment (GIA) Modeling,放射性炭素年代測定,テフラ層の解析を用いて,古海面レベルを過去の気候やテクトニクスの状態を繋げ,現在の状態と比較することを目標としています.特に,MIS5e(全日本)とMIS 1(九州地域)からの古海面レベルプロキシの資料を使用することを予定しています.
リサーチアシスタント レゲット佳 Leggett Kai
オーストラリア国立大学を卒業後,今年から東京大学大気海洋研究所にて修士課程を始めました,日本の海岸地形にて,宇宙線生成核種を使用した表面照射年代測定による海成段丘の離水年代の評価をすることを目標としています.リサーチアシスタントとしての業務に加えて,野外調査なども精力的に行っていきたいです.
テクニカルスタッフ 宮本 富士香 Fujika Miyamoto
活断層データベースの作成・保持に携わっています.Googleマップや地理院地図を利用し,地質図や震源位置と活断層を重ねて表示出来るようにするなど,分かり易く興味深い表示を試みています.
テクニカルスタッフ 高野 祐子 Yuko Kono