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「本好きの子どもの学力は明らかに高い」調査が明らかにした読書の効果

川島隆太(東北大学教授・医学博士)

2025年10月02日 公開 2025年10月02日 更新

宮城県仙台市教育委員会と学術協定を結ぶ東北大学加齢医学研究所では、子どもたちの学ぶ意欲を高める方法を探るため、長年にわたり大規模なデータ解析を行ってきました。対象となったのは、仙台市の公立小中学校に通う全児童・生徒の学力や生活習慣に関するデータで、その蓄積は14年分に及びます。

研究チームは平成28年度の小学校5年生から中学校3年生までを対象に、毎年4月に実施される一斉学力テスト(4教科)の平均点と読書習慣の有無との関係を詳しく調査しました。本稿では、その結果から見えた「子どもの学力と読書との密接なつながり」について書籍『本を読むだけで脳は若返る』より解説します。

(注記)本稿は、川島隆太著『本を読むだけで脳は若返る』(PHP研究所)より、内容を一部抜粋・編集したものです。

本好きの子どもの学力は明らかに高い

この研究では、子どもたちを細かく群で分けて解析をしました。単純に読書の有無や学力(平均偏差値)で分けるのではなく、家庭での読書時間や勉強時間、睡眠時間という項目も加えて細かく分けていったのです。

なぜかと言うと、子どもたちの学力を見るときは生活習慣や家庭学習の時間が学力に影響すると知られているからです。例えば、家庭学習の時間についても、やはり家庭でしっかり勉強している子どものほうが成績が良い傾向があります。

生活習慣の中でも、特に睡眠の習慣と学力に深い関係があることは、教育の世界では以前から指摘されています。データを解析しても、睡眠時間の短い子どもたちは学力が総じて低い傾向が明らかに見られます。ただ、興味深いことに、睡眠時間が長すぎる子どもたちは、適切な睡眠時間の子どもと比べると学力は少し下がる傾向があります。

このときの解析では、まず読書習慣の時間量で子どもたちを3群に分けました。ヘビーな読書習慣をもっている「読書1時間以上」の群、ライトな読書習慣をもっている「読書1時間未満」の群、そして読書習慣のない「読書を全くしない」の群です。

この3群の子どもたちについて、それぞれさらに勉強時間(6分類)と睡眠時間(6分類)の組み合わせで計36群に分けました。具体的には、勉強時間は「全くしない」「30分未満」「30分〜1時間」「1〜2時間」「2〜3時間」「3時間以上」に分け、睡眠時間は「5時間未満」「5〜6時間」「6〜7時間」「7〜8時間」「8〜9時間」「9時間以上」に分けました。

[画像:読書習慣、勉強時間、睡眠時間と学力の関係]

図1─5〜図1─7の棒グラフをご覧ください。棒グラフの長さは4教科の平均点を偏差値に換算した数値の高低を表しています。偏差値というのは実際の平均点が50になるように調整したものです。簡単に言うと、基準化した点数で、実際の点数と同様に偏差値が高ければテストの成績も良いということになります。グラフの中で色がついている棒が偏差値50、つまり平均点を超えた群です。

まず、「読書を全くしない」と答えた子どもたち(1万1410名)のデータを見ると、平均点を超えてくるのは、主に6時間以上寝ていて、かつ家庭で2時間以上勉強している子どもたちです。その平均点の超え方も、決して大きいわけではなく、わずかという程度です。

[画像:読書習慣、勉強時間、睡眠時間と学力の関係]

一方、「読書1時間未満」と答えた子どもたち(2万3085名)のデータを見ていくと、主に6時間以上寝ていて、かつ家庭で30分以上勉強している子どもたちは、平均点を超えやすいということがわかりました。

[画像:読書習慣、勉強時間、睡眠時間と学力の関係]

さらに、「読書1時間以上」と答えた子どもたち(6728名)のデータを見ていくと、勉強を全くしない子どもたちと、明らかな睡眠不足の子どもたちを除くと、ほとんどの子どもたちが平均点を大きく超えています。

この結果の違いはどこから生じたのでしょうか。私たちは、読書で脳が発達したことによる変化だと捉えています。読書習慣を強くもっている子どもたちは、言語を主に扱う脳がより発達し、言葉の理解力が高まり、情報処理がきちんとできるようになって、どの教科のテストであっても良い点を取りやすくなった、と私たちは解釈しています。

逆に、読書習慣のない子どもたちは、おしなべてテストで良い点が取れない傾向があります。これが標準の状態なのかもしれませんが、読書をしている子どもたちと比べれば、脳の発達がそれほど進んでいないと解釈することもできます。

この一連の研究から言えることを整理します。まず、子どもたちが読書を習慣化すると、子どもたちの脳、特に左半球の白質の発達を促すことができるということです。また、その結果として、少なくとも認知力の一部である学力を押し上げることにつながるということです。教育関係者が昔から子どもたちに読書を推奨してきたのは、まさにここに理由があったのです。

読書に関する研究は、すでに世界中でさまざまなものがあります。例えば、私たちは自らの研究で示しましたが、読書時間が長いほど学業成績が向上するというデータや研究結果は世界中に多数あります。決して、仙台市の子どものデータが特殊というわけではありません。

また、先に示した私たちの研究に対しても、多くの研究者や研究機関が追試をしていて、その確かさを確認しています。読書習慣は、子どもの脳発達を促進し、言語性発達も促進することを、世界中の研究者が認めています。この事実は、ぜひ多くの方に知っていただきたいと思います。

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