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衝撃の発表から20年、謎多き「ホビット」フローレス原人とは

なぜ小さいのか、祖先は? なぜ絶滅した?

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2013年の研究 によると、ホモ・フロレシエンシスの脳の大きさは、ホモ・サピエンスの3分の1程度だった。(Photograph By Ira Block, Nat Geo Image Collection)

はるか昔、インドネシアのフローレス島では、巨大なコウノトリや小型化したゾウに混じって、小さな体を持つ奇妙な人類が暮らしていた。今から20年前、ホモ・フロレシエンシス(フローレス原人)が初めて世に紹介されたとき、この古代の人類の親戚は人々に、まるでファンタジー小説に登場するキャラクターのような印象を与えた。ピーター・ジャクソン監督の映画『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズで当時人気を博していた小さなヒーローにちなんで、彼らはすぐに「ホビット」の愛称で呼ばれるようになった。

しかし、20年間にわたる研究と少なからぬ議論の末、ホモ・フロレシエンシスは、ホビットとは似ても似つかぬ存在だったことが明らかになっている。フローレス島に住んでいた彼らは、複数の人類種が地球のさまざまな地域に広がっていた時代に存在していた独自の系統であり、この謎めいた"親戚"は今もなお科学者たちを悩ませ続けている。(参考記事:「フローレス原人の絶滅時期に新説、人類と共存?」 )

だれが「ホビット」の化石を発見したのか

ホモ・フロレシエンシスの科学的究明の物語が始まったのは1999年のことだ。考古学者たちは、古代の人々がどのようにアジアからオーストラリアに渡ったのか、また、人類が太平洋を渡る際、フローレス島が中継地として使われた可能性があるのかどうかに関心を抱いていた。

フローレス島の森林に覆われた高地にあるリアンブア洞窟は、いかにも人類の痕跡が見つかりそうな場所に思われた。この洞窟のそばには2本の川が流れており、道具作りに適した石もあったからだ。(参考記事:「フローレス原人は現代の島民の祖先か? 最新研究」 )

1999年にリアンブア洞窟で発掘を開始した研究者らは、太平洋を渡った現生人類の証拠が見つかることを期待していた。(Photograph By Kenneth Garret, Nat Geo Image collection)

発掘調査はそれから2年後に開始された。絶滅したゾウの仲間ステゴドンや、巨大なコウノトリ、げっ歯類、さらにはコモドドラゴン(コモドオオトカゲ)の骨などが、次々と見つかった。そして2003年、研究者らは興味深いものを見つけた。

発見時の様子を伝える逸話によると、更新世に堆積した洞窟の土壌を発掘している最中、地元の現場作業員がヒトのものらしき頭蓋骨を見つけたのだという。その日現場を監督していたインドネシア国立考古学研究センター(ARKENAS)の考古学者ワユー・サプトモ氏は、2018年、香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポストに対し、「これが何であれ、重要なものだと直感しました」と語っている。

このニュースを伝えるため、サプトモ氏は大急ぎでトマス・スティクナ氏の元に向かった。発掘の責任者であった考古学者のスティクナ氏は、骨が見つかったとき、発熱のためホテルで寝込んでいた。スティクナ氏は2014年、学術誌「ネイチャー」に対し、熱などあっという間に吹き飛んでしまったと語っている

ギャラリー:謎多き「ホビット」フローレス原人、どんな人々だったのか 写真8点(写真クリックでギャラリーページへ)
リアンブア洞窟で発掘された石器を調べる考古学者のワユー・サプトモ氏とマイク・モーウッド氏。(Photograph By Kenneth Garrett, Nat Geo Image Collection)

翌日、スティクナ氏が再合流したところで、チームは壊れやすい骨を傷つけずに掘り出すための計画を立てた。

骨格から、この個体の身長は90センチ強、体重は約16キロだったと推定された。科学者らはこの化石を標本「LB1」と定め、さらに「フロー」という愛称も付けた。骨が小さいことから、科学者は当初、これは子どもの骨だと考えていた。しかしじきに、彼らが見つけたのはそれほど単純なものではないことがわかってきた。

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