会計を知れば
資本主義社会の仕組みが見えてくる

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石田の説明は続いた。

「そして、このROEは事業のプロセスに従ってさらに3つのフェーズに分解できるんだ。金額が視覚化できるように図を書き換えよう」

石田はそう言って、ホワイトボードの図を消して、新しい図に書き換えた。

「同じBSとPLの図だけど、それぞれの部分の金額がわかるように書き換えてみた。売上高を100%として、各部分の金額の大きさがわかるように図にしたと思ってくれ」

「ということは、総資本の額は売上高の約60%程度ということですか?」

「そういうことだ。この図を使って、財務分析の考え方を説明しよう」

石田の説明を聞きもらすまいと、高橋の目がさらに真剣になった。

「事業はまず株主の資本金である自己資本からスタートする。これに他人から集めてきた他人資本が加わる。この自己資本と他人資本を合わせたものを総資本という。この自己資本に対して総資本がどれくらいあるかを示すのがレバレッジ比率だ」

そう言って、石田は計算式をホワイトボードに書いた。

「レバレッジとは梃子という意味だが、自己資本に対して他人資本をどれくらい活用しているかを表しているのがレバレッジ比率だ」

「レバレッジ比率は高い方がいいんですか?」

「レバレッジ比率は高いから良くて低いから悪いという種類のものではないんだ。レバレッジ比率が高いということは、たくさんの借金をして、リスクをとって積極的な事業経営をしているといえる。逆に、レバレッジが低いということは、あまり借金をせず、安定的に経営しているといえる。良い悪いというより経営の方向性を表していると思っておいた方がいい」

高橋は自分が幼稚な質問をしてしまったような気がした。
石田は説明を続けた。

「次は、この投下した総資本、言葉を換えれば、この投下した総資本で調達した工場や機械装置などの総資産をいかに効率よく使って売上高を作っているかを計算するのが、総資本回転率だ」

「総資本回転率はやっぱり高い方がいいんですよね〜?」

高橋はおそるおそる聞いた。

「総資本回転率は高い方がいいといえる。総資本回転率が高いということは、同じ資本や資産を使って、高い売上高を作り出していることを表しているからな」

「図の(2)の矢印が右肩上がりに急勾配の方がいいということですね」

「そうだ」

石田は簡単に答えて説明を続けた。

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