【第2回】
意思決定できない組織は、
なぜ、3つの「直感の罠」にハマってしまうのか?

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年間5000人を変える現場コンサルタントとして、日々現場でさまざまなキャリアの人と出会う横山信弘氏は、研修中に数々のトラップ――「罠」を仕掛ける。決断できない人の思い込みの「罠」を取り外すために、別の罠、つまり「決断の罠」を設置。罠には罠を、というわけだ。
このたび、『絶対達成する決断力のつけ方』を発刊したばかりの横山氏が、3つの「直感の罠」を初公開。なかなか決断できない組織が「直感の罠」にハマらずに決断できるようになるには、どうしたらいいのだろうか?

"決定しないことを決定する"「決定回避の法則」

何度議論を重ねても意思決定することなく、議論を先送りする組織がある。
「決定しないことを決定する」――このことを「決定回避の法則」と呼ぶのだが、この悪癖が抜けない組織は少なくない。

現状を現状のまま維持したいという心理欲求「現状維持バイアス」がかかっているため、現状のままでいい、焦る必要はないと考え、やらない理由やできない理由をついつい探してしまう。
しかしながら、現状維持のほうが得策だとする論拠がない限り、変化を遠ざける理由はない。

拙著『絶対達成する決断力のつけ方』では、「思考系」「感情系」というフレーズを多用する。
「思考系」とは、断片的な情報を連想し、繋ぎ合わせ、合理的な判断をしようとする脳の機能だ。正しく「決断」をするときには「思考系」が働かなければならない。

「感情系」とは、脳の原始的な欲求に関する機能のこと。お腹が空いたら何かを食べたくなるし、疲れてきたら休みたくなる。こういった人間の生理的な欲求全般に関する機能だから、この「感情系」を制御したほうが、正しく「決断」できるときが多いと言える。

つまり決断力のない人は、「感情系」優位の状態になっていて、前述のような「決定しないことを決定」してばかりの組織は、正しく感情をコントロールできず、不満や愚痴をこぼす人が多くて、組織の雰囲気がとても悪い可能性が高い。
組織風土が悪化すれば、ますます意思決定スピードが遅くなり、何も決められないまま、まるで川面に浮かぶ「朽ちた流木」のように、ただ流されていくだけの存在に成り下がってしまうだろう。

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