北朝鮮が考えるウルトラC、政治局面が劇的に変わる可能性【佐藤優】

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北朝鮮が考えるウルトラC、政治局面が劇的に変わる可能性【佐藤優】2023年9月17日、北朝鮮の金正恩・朝鮮労働党総書記が妹の金与正副部長(写真)と共にロシアの極東連邦大学(FEFU)を視察した Photo:TASS/AFLO

北朝鮮は、国際的な孤立からの脱出に成功した――。北朝鮮が始めた、国力をはるかに超える外交ゲームとは?作家で元外務省主任分析官の佐藤優氏が読み解く。(作家・元外務省主任分析官 佐藤 優、構成/石井謙一郎)

順調に進む北朝鮮の兵器開発

北朝鮮は、国際的な孤立からの脱出に成功した――。これは、筆者の元へ4月30日に届いた、ロシア大統領筋の見解です。

理由の第一に挙げられているのは、ロシアと中国が協調して北朝鮮への新たな制裁を阻止し、過去の制裁実行を監視する国連の専門家パネルを「サボタージュ(廃止)」したこと。

理由の第二は、兵器の近代化と開発が、確実に成果を上げていること。最近のミサイル実験は全て成功し、極超音速ミサイル、新型弾頭などの開発が進んでいるとしています。「年内に全ての種類のミサイルを完成せよ」とする金正恩・朝鮮労働党総書記の命令は、実現する可能性が高いという分析です。5月に三つのミサイル実験、6月にも二つ以上の実験が計画されているほか、偵察用や攻撃用のドローン開発も順調に進んでいるとされます。

金正恩氏は1月15日の最高人民会議における演説で、韓国との統一はもはや不可能であり、憲法を改正して韓国を「第一の敵国、不変の主敵」と定めるべきだと述べました。南北間の連絡を全て絶ち、統一を所管する機関を全て閉鎖するとも語りました。

3月初めの軍トップとの会議では、こう述べています。

「平和の時は終わった。われわれは戦争の準備を完全に整えるべきだ。戦争開始命令の準備はできており、米韓日の強まる脅威の中、軍は迅速な行動の準備が必要である」

その後、軍から提出された「攻撃作戦計画案」を承認しました。敵国だと明確に位置付けた以上、韓国に対して戦術核を使う可能性さえ考えられます。

理由の第三は、韓国で4月に行われた総選挙で、尹錫悦大統領の与党が大敗したこと。韓国の政治システムが弱体化し、内向きになる証しだからです。

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