日本製鉄「USスチール2兆円買収」の成否が、日本企業の成長志向の鍵を握るワケ
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2024年は日本企業による大型買収がトレンドになるのだろうか? 23年末、日本製鉄が米USスチールを2兆円規模で買収するというビッグニュースが舞い込んだ。台頭する中国勢への対抗策として、米国企業と手をつなぐ意義は非常に大きい。先行きの不透明さはあるものの、買収が実を結び日本製鉄とUSスチールの事業運営の効率性が向上すれば、わが国企業の成長志向にも大きな変化をもたらすはずだ。(多摩大学特別招聘教授 真壁昭夫)
買収の成果が日本の成長志向に影響する
2023年12月18日、粗鋼生産量で世界第4位の日本製鉄は、米国の鉄鋼メーカー、ユナイテッド・ステイツ・スチール・コーポレーション(USスチール、世界第27位)の買収を発表した。買収総額は約2兆円、同社にとって最大級の買収案件だ。
日本製鉄の狙いは、粗鋼生産世界トップの中国宝武鋼鉄集団など圧倒的に世界シェアを握る中国鉄鋼メーカーに対抗し、有力鉄鋼メーカーとして生き残ることだろう。買収が実現すれば、日本製鉄の粗鋼生産能力は世界第3位に浮上する。今回の買収は、日本製鉄が鉄鋼メーカーの日米連合を形成し、高付加価値の鋼材分野で世界トップの地位を目指すためにも重要だ。
米当局の承認を得た上で、日本製鉄は24年第2または第3四半期までの買収成立を目指している。成立すれば、新しい鋼材生産のための研究開発などを強化することになるだろう。併せて、国内の高炉休止など事業運営体制の改革を加速することも想定される。
USスチール買収によって日本製鉄は、生き残りを懸け新しい製造技術の確立にチャレンジする決意を内外の利害関係者に明示したともいえる。その成果がどうなるかは、同社の中長期的な事業運営のみならず、わが国産業全体の成長志向にも影響を与えそうだ。
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