大樹生命社長が"低発展"挽回策を力説、「営業活動の量や質で日本生命との差はない」
吉村俊哉・大樹生命保険社長インタビュー
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親会社である日本生命保険から「低位な発展」と評された大樹生命保険。足元では顧客数の減少が続いており、日本生命からも営業面での課題を強く指摘されている。特集『選別される 生保・損保・代理店』(全28回)の#10では、大樹生命の吉村俊哉社長に、日本生命からの評価をどう捉えているのか、また業績回復への施策をどのように考えているのかを聞いた。(ダイヤモンド編集部 片田江康男)
低位な発展と断じられた大樹生命保険
吉村俊哉社長はどう受け止めているのか
日本生命保険の清水博社長による大樹生命保険への「低位な発展にとどまっている」という評価は、日本生命グループ内だけではなく、業界内でも話題となった。
大樹にとっては、全くの寝耳に水だったようだ。現役の大樹社員も社内で聞いたことがない、厳しい評価だったという。
大樹は旧三井生命保険で、2019年に社名を変更した。個人保険と個人年金保険を合算した保有契約件数は20年度末で254万件。業界王者である親会社の日本生命は同3385万件で、規模は10分の1にも満たない中小生保だ。旧三井財閥系列の生保らしく、他生保と比べるとのんびりした社風だといわれることが多い。
その大樹は22年度から、大きな変化に直面する。親会社である日本生命の清水社長に、冒頭の厳しい評価を下され、役員人事から組織運営まで、"日本生命流"を大胆に注入されることになったのだ。
(本特集#3『日本生命が突然の強権発動!子会社・大樹生命の「自主独立」が終焉を迎えた理由』、#7『日本生命社長が語る大樹生命"低発展"発言の真意「大樹生命との"距離を詰めた"のは事実」』参照)
大樹のかじ取りを任されている吉村俊哉社長は、日本生命による評価をどう受け止めているのか。また、挽回策をどう考えているのか。
次ページで余すところなくお届けする。
経営統合直後は効果得られた
今は拠点・体制整備が課題
――日本生命からの「低位な発展にとどまっている」という評価について、どう受け止めていますか。
もともと当社の営業活動は、営業職員チャネルが約9割、銀行窓口販売と代理店が計約1割で、大半を営業職員チャネルに頼ってきました。それが日本生命と経営統合したことによって、日本生命の巨大な営業職員チャネル、銀行窓販と代理店のネットワークを使わせてもらい、販路が劇的に広がりました。
それによって新契約の獲得が一時、飛躍的に伸びました。寄与したのは、当社の外貨建て保険。営業職員チャネル9割、銀行窓販と代理店計1割という割合だったのが、おおむね半々になりました。
ところが2019年後半から海外の金利が下がり、商品の魅力が徐々になくなってきてしまったのです。
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