ウクライナ危機でアジア・中東と欧米の「分断」深まる、日本への影響は?
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4月7日、ロシアを国連人権理事会から追放する決議では、日米欧など93カ国の賛成に対して、中国など24カ国が反対し、インドやブラジル、メキシコなど58カ国が棄権した。グローバル化によってヒト・モノ・カネの移動は活発化したが、ウクライナ危機をきっかけに、今度は「分断」が進んでいる。背景に、欧米流の自由主義に対する「反発」がある。特に、アジアや中東には、欧米各国の植民地にされた影響が強く残っている。(多摩大学特別招聘教授 真壁昭夫)
中国やインド
「欧米流の自由主義を押し付けるな」
ロシアによるウクライナ侵攻が始まって以降、米国とEU(欧州連合)加盟国など主要先進国の結束が急速に強まっている。特に、キーウ(キエフ)近郊などでの民間人殺害疑惑が浮上してから、ドイツは本気になってロシアとの関係を断とうとしているようだ。そのために、エネルギー資源の融通など欧米の連携が強化されている。
その一方で、中国やインドなどの新興国は、欧米が重視してきた自由主義とは異なる考えを志向しているように見える。4月7日の国連緊急特別会合は、それを確認する一つの機会だった。ロシアを国連人権理事会から追放する決議に賛成した国の数は93だった。
3月に実施された2回の対ロ決議案では、約140の国が賛成した。ロシアからの圧力があったにせよ、賛成国の減少は見逃せない変化だ。
一つの見方として、中国やインドなど新興国各国は、「欧米流の自由主義に基づく経済運営などの発想を自分たちに押し付けないでくれ」との考えを強めている可能性がある。
ウクライナ危機をきっかけに第2次世界大戦後の世界の秩序を支えてきた米国の覇権は弱まり、国際社会の分断が深まっていると考えられる。国際社会が多極化しているといってもよい。
そうした状況下、資源がなく、国際社会での発言力も十分ではないわが国の社会と経済への逆風は強まるだろう。
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