田原総一朗「ロシアの軍事侵攻が成功するとは思えない」、迫るデフォルトの危機

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田原総一朗「ロシア側のもくろみは大きく外れた」 Photo by Teppei Hori

ロシア軍によるウクライナ侵攻がやむ気配が見えない。ウクライナの民間人の死傷者は 2000人を超え、犠牲者が出るほどウクライナの抵抗は強固なものとなっている。21世紀の現代において、サイバー攻撃や経済戦争ではなく、武力によって他国の主権を侵すというロシアの暴挙はなぜ行われたのか? 理由は複雑に絡み合っており、ひとつひとつを解きほぐす必要があるが、今回は双方の「意識のズレ」について、ジャーナリストの田原総一朗氏に話を聞いた。(聞き手/ダイヤモンド社編集委員 長谷川幸光)

「1週間もあればキエフを陥落できる」
プーチンの誤算

――2月24日にロシア軍がウクライナへ軍事侵攻を開始し、1カ月が経とうとしています。

ウクライナのゼレンスキー大統領の支持率は昨年、20%と低迷しており、ロシアのプーチン大統領としては、このタイミングでウクライナを攻めれば、ウクライナの国民はゼレンスキー氏を見限り、割と簡単にウクライナに親ロ政権を樹立させることができると考えていた。

田原総一朗田原総一朗(たはら・そういちろう)
1934年、滋賀県生まれ。1960年に早稲田大学卒業後、岩波映画製作所に入社。1964年、東京12チャンネル(現・テレビ東京)に開局とともに入社。1977年にフリーに。テレビ朝日系「朝まで生テレビ!」等でテレビジャーナリズムの新しい地平を拓く。1998年、戦後の放送ジャーナリスト1人を選ぶ「城戸又一賞」受賞。早稲田大学特命教授を歴任(2017年3月まで)、現在は「大隈塾」塾頭を務める。「朝まで生テレビ!」「激論!クロスファイア」の司会をはじめ、テレビ・ラジオの出演多数。近著に『コミュニケーションは正直が9割』(クロスメディア・パブリッシング)、『新L型経済 コロナ後の日本を立て直す』(冨山和彦氏との共著、KADOKAWA)など。 Photo by Teppei Hori

それが侵攻後、一気に支持率91%まで跳ね上がった。プーチン氏としてはまったくの誤算だ。

――ウクライナの世論調査機関によると、ウクライナ全土を対象とした調査で92%が「ロシア軍を撃退できる」と答えたといいます。

ウクライナ軍は非常に強固に抵抗しているため、ロシア軍は思うように侵攻できず、作戦の見直しを強いられている。当初、1週間もあればロシア軍が首都キエフを陥落できると思っていたのに、1カ月近くたっても落とせていない。

誤算はロシアだけではない。そもそもNATO(北大西洋条約機構)側にもある。

ウクライナは2019年に自国の憲法を改正し、NATOへの加盟を明記した。ソ連時代、ゴルバチョフ政権が行った改革「ペレストロイカ」を発端に、ソ連は解体し、エストニア、ラトビア、リトアニアといった旧ソ連国は次々とNATOへ加盟した。これをロシア側は裏切られたと思っている。

これ以上、旧ソ連国、特にロシアに接する国がアメリカが主導するNATOに加盟することは我慢ならず、ロシアは2021年12月に、旧ソ連国のNATO加盟を排除するよう要求。しかしアメリカをはじめ西側諸国はこれを拒否した。

ロシアはこれまで旧ソ連国の離反を止めることができなかったため、西側諸国はロシアを軽く見るようになったのだろう。拒否したとしても、まさかロシアが軍事行動に移すとは思わなかった。

――ウクライナにはもともと親ロシアの人々も多くいましたが、なぜウクライナはロシアを見限ったのでしょうか。

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