ロシアを食い荒らす「オリガルヒ」が、ウクライナ侵攻後もプーチンを支え続ける理由
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ロシア軍のウクライナ侵攻に対する制裁措置として、日本政府は8日にロシアとベラルーシの政府関係者32名と12の団体に対する資産凍結の実施を発表した。欧米ではすでに新たな制裁対象をオリガルヒと呼ばれる新興財閥の有力者らにも拡大しており、アメリカのバイデン大統領は1日に行った一般教書演説の中でオリガルヒについても言及。「あなたたちが不正な手段によって得た利益を、われわれは取りに行くつもりだ」と厳しい言葉で語り、司法省傘下にオリガルヒ追及チームを設置することを発表した。オリガルヒ追及をめぐる動きは欧州連合(EU)でも活発化しており、議長国のフランスは9日にオリガルヒとロシアの高官に対する新たな制裁で合意に達したことを発表している。なぜビジネスパーソンであるはずのオリガルヒが一連の制裁で対象となっているのか。ロシアの社会や政治におけるオリガルヒの影響力とはどのようなものなのか。「少数による支配」を意味するギリシャ語が語源とされるオリガルヒについて、本稿では考えてみたい。(ジャーナリスト 仲野博文)
ソ連崩壊後を牛耳ったオリガルヒの
プーチン大統領就任後の明暗
国際通貨基金(IMF)の調べによると、ロシアの2021年の国内総生産(GDP)は約1兆4600億ドルで(世界11位)、ブラジルやオーストラリアと近い額になっている。アメリカや中国、日本はもちろんだが、ドイツやイタリア、韓国といった国も、GDPではロシアを超えている。一方、ロシア国内のビリオネア(10億ドル以上の資産を持つ者)は現在117人いるとされ、これだけを見ると世界第5位になる。
人口では日本より約2000万人多いが、GDPでは日本の3分の1以下となるロシアで、ビリオネアの数が日本の倍以上という現状から、ロシア国内の深刻な経済格差が垣間見える。だが、それ以上に興味深いのはロシアのビリオネアの大半が「オリガルヒ」に分類されている面々という点だ。
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