「原発」が菅政権のエネルギー政策で再浮上する二つの理由

ダイヤモンド編集部
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菅義偉首相はエネルギー政策の最大の焦点である原子力のあり方に正面から向き合うだろうか菅義偉首相はエネルギー政策の最大の焦点である原子力のあり方に正面から向き合うだろうか Photo:Bloomberg/gettyimages

政府のエネルギー政策の土台となる「エネルギー基本計画(エネ基)」の見直し議論が13日、経済産業省の有識者会議で始まった。最大の焦点は、原子力発電所の在り方だ。菅義偉首相が誕生したことによって、原発が再浮上する可能性が出ている。その背景を探った。(ダイヤモンド編集部 堀内 亮)

日本製鉄社長も、NTT社長も
原発重視の意見が相次いだ

「前回の見直し議論は、結論ありきだった。大臣が方向性を明確に示したことに感謝申し上げたい」

第5次エネルギー基本計画(エネ基)の見直し議論を担う経済産業省の有識者会議が13日に開催され、エネルギー業界の重鎮の一人、橘川武郎・国際大学大学院教授は、珍しく経産省の姿勢を持ち上げた。3年前に行われた前回の見直し議論とは、様相が大きく異なっていたからだ。

2018年に閣議決定した第5次エネ基は、17年夏から見直し議論が行われている。橘川氏はこのときも有識者会議の委員を務めていた。

当時の世耕弘成経産相は有識者会議の冒頭で「計画の骨格を変える時期ではない」といきなりくぎを刺して、すぐさま会場を後にした。これに対し、橘川氏は「初めから結論を与えられて、会合を開くのは本末転倒だ」とかみ付いた。

世耕氏とは対照的に、梶山弘志経産相は今回の有識者会議に最初から最後まで約2時間にわたって出席し、委員の主張に耳を傾けた。

今回は原子力発電所の在り方に関する議論において、原発推進派の有識者以外にも産業界側から原発を重視する声が相次いだ。

委員を務める橋本英二・日本製鉄社長は「長期的な視点で原発政策を進めてほしい」と主張し、同じく委員を務める澤田純・NTT社長は「国は原発の長期的な研究開発を推進する旗を振ってほしい」などとして、原発の早期再稼働を求めた。

11年の東日本大震災による東京電力福島第1原発事故以来、原発に対して反対、あるいは慎重な意見を求める声は根強い。世論から批判を浴びる可能性が高いため、「原発賛成」と主張することすらはばかられるようになった。

しかし今回の議論では、原発を重視する意見が相次いだ。そこには、大きな理由が二つあった。

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