大和証券グループ社長が明かす「逆バリ店舗拡大路線」の勝算
中田誠司・大和証券グループ本社社長インタビュー
詳細はこちら
対面証券の両雄、野村と大和の戦略の違いが鮮明になっている。店舗の統廃合を進める野村に対し、大和は店舗拡大路線だ。特集『乱戦!証券サバイバル』(全13回)の#2では、大和証券グループを率いる中田誠司社長にデジタル時代の戦術を聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部 重石岳史)
「若年層を今取り込む必要はない」
大和証券社長が言い切れる理由
――大和証券は対面証券の中では比較的早くデジタルトランスフォーメーション(DX)に着手した。2018年度に策定した中期経営計画でもDXを基本戦略に掲げているが、なぜ当時デジタル化を進めようと考えたのでしょう。
われわれは昨年末、全営業員にタブレット型の2in1端末を配り終えた。この端末は、パブリッククラウドを通じた基幹システムそのもの。つまりこの端末さえあれば、口座開設や受発注といった基幹システムを使う業務が、出社せずとも自宅でできる。
元々は働き方改革やシステムの更新に合わせてリモートへの切り替えを行う予定だったが、年が明けて新型コロナウイルスの感染が拡大した。そこで予定を早めて本社の社員にも端末を配り、3月からテレワーク体制に移行した。
当初は混乱もあったが、社員も端末に慣れ、緊急事態宣言下の5月には大和証券グループ本社で発行した社債750億円を、実際にリモートシステムでしっかり販売することができた。今後はリモートと対面での営業をうまく組み合わせて生産効率を上げられるベストミックスを見つけ出すステージに入っていく。
あとは店舗戦略。証券会社の全ての支店にはミドルオフィス機能とバックオフィス機能がある。この機能もリモートで一元化できる。そこも視野に入れながらミドル・バックがない営業所を増やしている。
――DXであればリアル店舗を減らすのが一般的だが、大和の場合は逆に店舗を増やしている。
記事一覧
証券業界に迫る淘汰の嵐、リアル「半沢直樹」の世界は乱世に突入
2020年8月24日
#1証券各社が「やられたらやり返す!」手数料値下げ消耗戦の末路
2020年8月24日
#2大和証券グループ社長が明かす「逆バリ店舗拡大路線」の勝算
2020年8月25日
#3SBI北尾社長が吠える新王者の覇道、「野村を抜き、そして引き離す」
2020年8月25日
#4銀行vs証券、「半沢直樹」でも描かれた顧客情報の壁を巡る攻防戦の内幕
2020年8月26日
#5野村HD新社長が明かす「変革」の本気度、サブスクや成功報酬型の新手数料体系も
2020年8月26日
#6みずほ証券社長が力説、「銀行と証券の壁を低くすべき」理由
2020年8月26日
#7証券マンが続々転身「独立系金融アドバイザー」の理想と現実
2020年8月27日
#8証券業界で「楽天経済圏」急拡大!次の一手を楽天証券社長が明かす
2020年8月27日
#9証券ムラの「裏」を牛耳る野村総研、高額システム費に離反の動きも
2020年8月28日
#10「ネット証券はもうやめる」auカブコム証券社長、衝撃発言の真意
2020年8月28日
#11苦境のマネックス証券と松井証券で命運託された「40代新社長」の手腕
2020年8月29日
#12松井証券102年の歴史上初の「非創業家」社長が胸中の危機感を激白
2020年8月30日
#13マネックス証券「業界初の女性&最年少」社長のベンチャー魂は通用するか
2020年8月30日
番外編メガ銀での出世「証券出向が社長の条件」に激変?三菱UFJモルスタ証券社長が大胆予言
2020年10月24日
あなたにおすすめ