イオンとセブンのPB商品供給「断れない、儲からない」食品メーカーのアリ地獄
詳細はこちら
不健康な食事の代名詞だった「コンビニ弁当」も今は昔。食品スーパーや外食企業の商品と比べても遜色ない、新鮮でおいしいオリジナルの総菜や菓子、調味料がコンビニエンスストアの棚を埋め尽くす。もはやメーカーの独自商品を探す方が難しいほどだ。特集『コンビニ搾取の連鎖』(全12回)の#2では、コンビニなどの小売業界がいかにして食品メーカーを"使い倒し"、商品開発の主導権を握るに至ったのかについて、詳しく解説する。(ダイヤモンド編集部 山本興陽)
原価は同じ。売価は安く、取り分も少ないPB
「反抗できない」とため息をつく食品メーカー
「セブン-イレブン向けのPBは渋々作っている。作らないとNBの取引を減らすと脅してくるんだから」――。
ある大手食品メーカー首脳は、コンビニエンスストア最大手のセブン-イレブン・ジャパンに振り回される苦悩を、こんなふうに周囲に漏らしている。
コンビニや大手スーパーの店頭には、小売り側が企画・開発したPB(プライベートブランド)商品が大量に置かれている。手頃な値段で、食品ならば味も良い。菓子やつまみにとどまらず、ビールや清涼飲料水、ハムや缶詰と種類も豊富だ。これなら食品メーカーの独自商品を買わなくても、特定のコンビニチェーンのPBだけで生活していくことができそうなほどだ。
だがその裏には、再編によって巨大化し、バイイングパワーを増していった小売業界の要求を、食品メーカーがひたすらのまされてきた歴史がある。
PBに対し、メーカーの独自商品はNB(ナショナルブランド)商品と呼ばれる。これらは今、岐路に立たされていると言わざるを得ない。あるパンメーカー幹部は、「コンビニ向けでは、われわれの売り上げのうち9割がPB。NBはわずか1割程度しかない。コンビニ本部の方針なので、反抗することもできない」と肩を落とす。
もっとも、メーカーにとってPBを手掛けることはデメリットばかりではない。営業部隊が個別に売り込みをしなくても、PBならば確実に商品を並べる棚を確保できる。メーカー独自の広告宣伝費も不要だ。とはいえNBに比べれば、商品1個当たりのメーカーの取り分はPBの方が少ない。
記事一覧
コンビニ搾取の連鎖、メーカーと加盟店の犠牲で商社が潤う実態【予告編】
2020年2月17日
#1ファミマの中高年リストラで渦巻く伊藤忠商事への不信と絶望
2020年2月17日
#2イオンとセブンのPB商品供給「断れない、儲からない」食品メーカーのアリ地獄
2020年2月17日
#3三菱商事がローソンを、伊藤忠がファミマを「食い物」にする商社支配のリアル
2020年2月18日
#4セブンの劣化が止まらない!経営中枢は麻痺、現場社員は暴走の悲惨な実態
2020年2月18日
#5コンビニの「社会保険廃業」続出か、業界を崩壊させる最強の時限爆弾
2020年2月19日
#6社会保険未加入事業者のための「対応マニュアル」、コンビニオーナー必見!
2020年2月19日
#7セブンオーナーが「脱24時間営業」で増益達成!コンビニ経営の定説崩壊
2020年2月20日
#8コンビニ搾取構造に甘い公取委、本部の言い逃れを専門家が一刀両断
2020年2月20日
#9ファミマ無断発注被害のオーナー激怒、本部は損害額も処分も伝えてこない
2020年2月21日
#10セブン永松社長に聞く、「時短結果は公表しない」と公言する真意
2020年2月22日
#11ローソン竹増社長に聞く、「売り上げ至上主義」から脱却する秘策
2020年2月22日
#12セブン鈴木敏文の元"右腕"が語る、コンビニ地獄への処方箋
2020年2月23日
あなたにおすすめ