ウクライナで戒厳令、同国海軍船を拿捕したロシアの狙い
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ウクライナとロシアとの間の緊張関係が再び高まっている。ウクライナ海軍は先月25日、ロシア連邦保安局の監視船がクリミア半島に近いアゾフ海で、ウクライナ海軍の小型船3隻に向かって発砲したと発表した。発砲を受けたウクライナ海軍の小型船はロシア側に拿捕され、23人の乗組員は現在も拘束中だ。アゾフ海での衝突はウクライナの社会や経済にどのような影響を与えるのか。西側諸国はウクライナを守るために何らかのアクションを起こすのか。来年3月に大統領選挙が行われるウクライナで、今回の衝突とその後発令された戒厳令は何を意味するのか。ウクライナ国内外で活動する、3人のウクライナ人有識者に話を聞いた。(ジャーナリスト 仲野博文)
ウクライナ国民の愛国心が高まる11月に
アゾフ海で発生したロシアとの衝突
11月はウクライナ人にとっては特別な意味を持つ月だ。過去に発生した歴史的な事件を追悼する集会などが行われ、ウクライナ人としての愛国主義と、ソ連時代から続く反ロシア感情が顔を覗かせる。
親ロシア派のヤヌコヴィッチ大統領を退陣に追い込んだ市民デモは「マイダン」と呼ばれているが、自然発生的にマイダンの参加者が増え始めたのが2013年11月であった。また、ソ連時代の1932年にはソ連の中央政府によって、多くのウクライナ人が農業生産の向上などを名目に、ウラル地方などに強制移住させられ、1年の間に少なくとも500万人近くが餓死したとされる。これは「ホロドモール(飢餓による殺害)」と呼ばれており、ウクライナ国内の各地では11月にホロドモールで命を落としたウクライナ人の追悼集会が行われていた。
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