大塚家具が業績悪化で窮地、久美子体制2つの過ち
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父と娘で経営権を争ってから1年半。大塚家具が苦境に陥っている。2016年12月期は最終赤字が確定的で、内紛の傷が癒えるどころか、早急な止血に追われている。(「週刊ダイヤモンド」編集部 泉 秀一)
家具販売大手の大塚家具が、創業地である埼玉県春日部市で土地売買契約を進めようとしている。
この契約は、ショッピングセンター「イオンモール春日部」の向かいに同社が所有する約5000坪の空き地を不動産投資ファンドに売却するというもの。広大な土地には20億円を超す値が付けられ、関係者によると「年内にも譲渡される予定」だという。
大塚家具はこの土地を「物流を効率化するための拠点として、2014年に12億〜13億円で取得した」(大塚家具OB)。売却が完了すれば、およそ10億円規模の特別利益が発生することになる。
一見、何の変哲もない取引だが、同社にとっては重要な案件だ。
大塚家具は16年12月期の第3四半期までの9カ月(1〜9月)累計で41億円の純損失を計上した。10月以降も業績は伸びず、11月の店舗売上高は対前年同月比59%。前年同時期に実施したセールの影響を考慮しても落ち込みは大きく、赤字を止血できずにいる。
土地売却は赤字を補填することだけが目的ではない。現預金は期初の110億円から、第3四半期には20億円に減少。業績が悪化する中で、株主に支払う配当金の原資を用意するためにも早急に現金を手当てしなければならないのである。
15年3月の株主総会で大塚久美子社長と大塚勝久前会長の委任状争奪戦が繰り広げられた際、同社は株主に対して15年12月期〜17年12月期の3年間の期末配当を1株当たり80円にすると約束した。
業績が悪化している現在も「配当金は80円で変えない方針」(同社)で、来年3月の株主総会で承認されれば、15億円の配当金の支払いが生じる。
勝久前会長の時代から無借金経営を続けているため負債はない。自己資本比率は73%と高いので、銀行が資金を借す可能性はある。ただし、財務改善に向けたリストラは求められよう。今のところ、そうした案は対外的には示されていない。
借り入れができなければ、手元資金が底を突くのは時間の問題だが、春日部の土地を売却すれば、20億円程度の現金が手元に入ってくるため、当面を乗り切れる。だからこそ、「年内の売却を目指して、急ピッチで契約を進めている」(前出の関係者)という。
もっとも、同社は「現時点では土地は物流センターとしての活用を計画しながら、あらゆる選択肢を検討している」と説明する。
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