出光、クックパッド...創業家はなぜ狂気に走るのか

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昭和シェルとの経営統合をめぐり創業家が反対の姿勢を見せている出光。なぜ上場企業で「創業家の乱」が起きてしまうのか
Photo by Yasuo Katatae

出光、クックパッド、大塚家具、セブン&アイ。この4社の共通点というと、「創業家」の経営への介入が世間を賑わせたことだ。

創業家が昭和シェルとの合併に反対をしている出光。有能な社長を創業者が追い出したクックパッド。後継者と創業者の確執が表面化した大塚家具。この3社は世論的に言えば「創業家の乱」として捉えられている。

一方でセブン&アイは、それまで有能だった実力者をめぐり社内に不調和が生じ、思わしくない方向に進んでいると知るや、創業家がブレーキをかけた例として肯定的に捉えられているようだ。

これら個別の事例についての判断はさておいて、お家騒動が起きればどちらにしても外部株主と従業員に迷惑がかかるのが、事件としての共通項である。上場企業という公器において、なぜ、そしてどのような権利から創業家が会社に介入することができるのか。まずはそのメカニズムを整理してみよう。

オーナーの株式比率で読み解く「創業家の乱」

そもそもオーナー企業が上場するというのは、オーナーが持つ権利の一部を手放すことを指す。この手放し方には三段階ある。

最初が、3分の1未満のマイナーな株を手放す段階だ。オーナーが3分の2以上の株式を維持していれば、基本的には100%オーナーだったときとほとんど変わらずに、実質的に「やりたい放題」の経営を続けることができる。

というのは3分の2の株式を持っていれば特別決議を行うことができるからで、この状態を維持すれば、定款を変えてまったく別の事業を始めることも自由にできるし、会社を解散することすら可能だ。

その際のマイナーな株主の権利は弱く、いくつかの権利が法律上は存在するが、私見を言うと、実質的に有効なのは3%以上の株主が持つ「帳簿の閲覧権」ぐらいだろう。とにかく3分の2以上の株式を保有しながら、残りを外部株主に売却するのが第一段階の手放し方で、オーナーがほぼ万能の影響力を社内に対して維持することができる。

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