神戸大学大学院国際文化学研究科|神戸大学大学院国際文化学研究科 国際文化学部 神戸大学大学院国際文化学研究科
Graduate School of Intercultural Studies, Kobe University
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外国語教育コンテンツ論

最終更新日: 2025年06月17日

グローバル文化専攻・外国語教育系 外国語教育コンテンツ論コース

外国語教育コンテンツ論コースでは、 新時代の外国語教育の創造に主体的に参画できる人材育成を目指し、外国語教育の内容・方法・展開に関わる研究を総合的に行っています。 本コースでは、 言語学(コーパス言語学・認知言語学・語用論・史的言語学)と教育学(授業論・指導法・教育工学) の学問的基盤をふまえつつ、特に、 教育現場での実践的展開を見据えた研究に精力的に取り組んでいます。 本コースにおいて、 外国語教育を取り巻く諸問題に多面的にアプローチする能力を付けた修了生は、 国内外の教育機関等で活躍しています。 本コースでは、学部時代の専門にかかわらず、外国語教育を通して社会のグローバル化に貢献しようとする意気込みにあふれた学生の受験を歓迎します。
当コースでは、日々の研究指導の様子や、所属する院生・教員の活動状況をコースブログで発信しています。ぜひ一度、ご覧ください。

進路実績

(前期課程) 小学校教諭、中学校教諭(尼崎市・神戸市)、高校教諭(兵庫県・滋賀県・岡山県・鳥取県・沖縄県)、東京大学附属中等教育学校教諭、神戸大学附属中等教育学校教諭(2)、神戸女学院中高等部教諭、西大和学園中高講師、金沢大学非常勤講師、Sony Global Manufacturing Operations、(株)矢崎産業、(株)SONY Computer Entertainment, Taiwan、三菱電機、(株)白鳩(インターネット通販)、(株)日立ソリューション、富士通、野村総合研究所ほか

(後期課程) 外国人特別研究員(神戸大学)、近畿大学准教授、環太平洋大学教授、大阪大学准教授、広島国際大学専任講師、福井大学助教、筑波大学助教、神戸大学特任助教、大阪工業大学特任講師、関西外国語大学(非)、関西大学(非)、流通科学大学(非)、中南財経政法大学講師、山東科技大学講師、西安理工大学講師、中国東北大学講師、四川外国語大学講師、華南農業大学講師、豊田工業大学特別任用講師ほか

在籍学生数

(前期課程) 6名
(後期課程) 4名

研究科の中でも学生数の多いコースの1つです。助け合い、競い合って学べる環境が用意されています。

論文テーマ例

(前期課程)
小学生のための基本名詞コロケーションリスト
日本語書き言葉における「形容詞+条件節」の使用
日本人英語学習者のライティングにおける英語習熟度とパラグラフライティングに対する知識・理解及びアウトラインの関連性について
英語確信度副詞のコーパス研究
日本語発話におけるオノマトペ調査

(後期課程)
Some Interactional Practices Teachers Use to Pursue a Response from Students in EFL Classrooms
作文に見る学習者のヘッジ使用
学習段階の変化が日本語学習者の外来語使用に及ぼす影響:「日本語学習者書き言葉コーパス」を用いた縦断調査

所属教員の紹介

石川 慎一郎 教授 外国語教育内容論特殊講義 II ほか
応用言語学の観点から、コーパス(大規模テキストデータベース)を使った英語・日本語の言語分析・教材分析・教材開発・語彙習得などを主として研究しています。あわせて、語彙処理の心理的機制や、小中高大での言語教育のカリキュラム設計、教授法・インストラクショナルデザインにも関心を持っています。科学的な視点から言語や教育の問題を考えてみたい学生を歓迎します。

柏木 治美 教授 外国語教育工学論特殊講義ほか
情報通信技術の学習環境への応用に関する研究を行っています。最近は、音声認識や生成AIを取り入れ、外国語や日本語で緊張せずに自身の意見や考えを話せるようになることを支援するためのコミュニケーション活動環境について検討しています。新しい技術を取り入れた学習環境の開発研究に興味を持つ学生を歓迎します。

木原 恵美子 准教授 外国語教授学習論特殊講義ほか
英語話者は構文をどのように選択しているのか、その背後にはどのような仕組みがあるのかを研究しています。英語母語話者だけではなく、英語学習者の話し言葉や書き言葉も分析しながら、英語の文法学習や教授法の研究を行っています。英文法の分析や記述に興味がある学生を歓迎します。

Tim Greer 教授 第二言語運用論特殊講義ほか
言語表現とそれを用いる人との関係に関心を持っています。会話分析を始めとし、質的調査方法を使用し、第二言語語用論(L2 Pragmatics)を専門にしています。二ヶ国語で行う会話、オーラル英語能力試験での会話、日常会話など様々な場面で「言葉を使った社会的行為」を研究しています。また、言語教育、教材分析、アイデンティティ構成、バイリンガリズム、などの研究も行っています。

佐藤 健 教授 外国語教育内容論特殊講義 I ほか
外国語習得における認知的プロセスについて研究しています。特に、多義的語彙・表現の理解と学習に焦点を当て、教材や教授法(特にICT学習環境)への応用を目指しています。研究アプローチは、認知言語学の枠組みを基本に据えつつ、近年では社会文化的な視点を取り入れた研究も展開しています。

芹澤 円 助教 言語対照応用論特殊講義 I ほか
歴史語用論の観点から、近世ドイツの印刷メディアにおける口語性・文語性、構文や語彙の分析をしています。また最近では、テクストと図像の関係性(ビジュアル・リテラシー)の分野にも関心を持っています。

陳 暁 講師 言語対照応用論特殊講義 II ほか
中国の近世、特に清代中後期(18世紀)から民国(20世紀中葉)までの北京語について、様々な言語資料を用いて北京語の特徴に関する研究を行っています。例えば満漢合璧文献、諸外国の中国語教科書(明治時代の中国語教科書および西洋人が編んだ中国語教科書など)等における北京語の語彙、文法、音声及び歴史的変化についての研究を行っています。

[画像:所属学生からのメッセージ]


飯島 真之さん(
博士課程後期課程2年)
神戸大学大学院国際文化学研究科博士課程前期課程修了
研究テーマ:「英語母語話者、日本人英語学習者によるスタンス表出実態の解明と英語教育への応用」

私たちが言語を使用する際、その内容に対して自分自身の立場を提示したり、主張の強弱の調整をしたりするといったスタンス表出がごく自然に行われます。現在私は英語のスタンス表出に着目し、英語母語話者や日本人をはじめとしたL2英語学習者によるスタンス表現使用に関して調査・研究を行っています。しかしながら、言語の使用実態を調査する際には、実際の言語使用例を量的・質的に分析する必要があります。そこで役立つのが「コーパス」と呼ばれる、書籍や作文、発話などにおいて実際に使用された言語を収集したデータセットです。私は、コーパスを活用し、「英語母語話者はどのようなスタンス表現を高頻度に使用し、どのような文脈で使用しているのだろうか?」、「日本人英語学習者の英語スタンス使用にはどのような特徴があり、どのような教育的課題が存在するのだろうか?」といった様々な問いにアプローチを試みています。そして研究の過程で明らかとなった知見を英語教育に応用できないものかと模索しております。
日々の学生生活、特にゼミでは、指導教員の先生による熱心なご指導により、自身の研究に課題を見出すことができ、また、同じゼミに所属する学生と意見を出し合うことで互いの研究の質を高め合うことができます。また、私が所属するゼミには、日本語教育の研究を行っている留学生も所属しており、英語教育のみならず、日本語教育に関して留学生と意見を出し合うこともあります。加えて、定期的に実施される集団指導では、同コースに所属する先生方との議論を通じてより視野を広げることが可能です。このように外国語教育コンテンツ論コースでは、研究を進める上で最適な環境が準備されており、私自身充実した学生生活を送っております。


李 思帆さん(博士前期課程 2 年)
武漢バイオエンジニアリング大学学部卒業
研究テーマ:「Interactional Application of TRPG as method in L2 Learning」

私は大学四年間にわたり、「英語」という言語学の専門を学び、その後、修士課程に進学いたしました。そして、修士課程では、言語学の中でも会話分析に研究の焦点を移し、現在は「TRPG」というソーシャルゲームを研究の題材とし、会話分析をレンズとして活用することで、このゲームが言語教育、特に英語教育において持つ可能性を探究しております。
修士課程では、これまで自分が十分に習得していない新しい知識を学ぶ機会が多くありました。その上で、週に一度開催されるゼミにおいて、指導教員の先生方から貴重なご意見やフィードバックを頂くことができ、それにより自身の理解を深めることが可能となりました。さらに、毎月一度、全指導教員と学生が一堂に会する集団指導が実施されており、そこではコーパス言語学、教育工学、音声学、会話分析、歴史語用論など、多岐にわたる分野の先生方と学生が集まり、それぞれの研究の進捗を発表する機会が設けられております。この場では、自分の専門分野だけでなく、他分野の先生方から新たな視点を得ることができ、異なるアプローチからの示唆を受けることで、研究の可能性をさらに広げることができます。
また、修士課程の環境は、研究活動だけでなく、学問的な視野を広げる点においても極めて有意義なものでございます。特に、異なるバックグラウンドを持つ学生同士の交流を通じて、各自の研究に対する多様な意見を聞くことができ、それが自身の研究の深化に大いに役立っております。このような恵まれた環境の中で、私は自身の研究を進めております。今後も引き続き、研究を通じて学術的な貢献ができるよう、一層精進してまいりたいと考えております。

[画像:修了学生からのメッセージ]


齋藤 景子さん
(2021 年度博士前期課程修了)
研究テーマ:「日本人英語学習者の論証文における熟達要因に関する質的調査」
現在、 東京大学教育学部附属中等教育学校英語科教諭

私は中高一貫校で英語の教員をしています。授業中、複数の生徒が同じ箇所で同じようなエラーを起こしていたり、習熟度によってつまずきに傾向の違いがあると感じたりします。また、授業がうまく生徒の英語習得につながったと思うときもあれば、失敗したと思うこともあります。
そのようなときに必ず思い出すのが、大学院での学びです。本コースでは、外国語教育分野を満遍なく学ぶことができます。研究に対して具体的なイメージを持っていなかった私も、講義や演習を通じてこの分野の地図を思い浮かべられるようになりました。また、年5回の集団指導によってコースの先生方から頻繁にご助言をいただき、自身の研究テーマである日本人英語学習者の論証文における熟達要因について、多くの先生方に支えていただきながら論文を完成させ、教員としての学術的なアイデンティティを確立することができました。
2年間の学びにより、生徒の困難感の解消や授業改善を試みる際に、外国語教育分野の地図を頭のなかで開き、どこに根を張っているのかを考えることができています。また、自身の専門分野となった作文をはじめ、根拠のある自信に基づいて指導することができています。これは生徒との信頼関係にも影響していると感じます。大学院に行かなくても教員になることはできますが、教員としての生き方をさらに充実させたい方には本コースをお勧めしたいです。

Zachary Nanbuさん(2022 年度博士後期課程修了)
神戸大学国際文化学研究科博士課程前期課程修了
研究テーマ:「Second Language Pedagogy and Use in an English Village: Interactional Practices and Sequential Structure」
現在、 同志社大学特任助教

During my time as an undergraduate at the University of Hawaii at Hilo, I began working as an ESL tutor and discovered that I enjoyed teaching and learning about language. After graduating with a bachelor’s degree in linguistics, I moved to Japan to further my education and learn more about second language pedagogy. Following a series of serendipitous events, I found myself in Kobe University’s master’s program under the guidance of Tim Greer where I began using Conversation Analysis (CA) to examine the interactional practices of language learners.
After completing the master’s program, I opted to continue furthering my research by entering Kobe University’s Ph.D. course where I used CA to examine naturally occurring interaction among language learners and teachers at an English village.
Kobe University’s master’s and Ph.D. courses provided me with an excellent environment for developing as a language scholar. The Shudan Shidou (group guidance) process was invaluable to my research, providing exposure to concepts and ideas from a wide variety of theoretical perspectives. Regularly presenting my own work helped me to hone my presentation skills, and the expert feedback I received from the professors and my peers was immensely useful for refining my study. Although completing a dissertation may seem daunting, the clear structure and milestones that this course provides made it easy to stay on track.

[画像:qa]


英語以外の外国語教育を学ぶことはできますか?

本コースでは、英語・日本語・中国語・ドイツ語の研究指導も行っており、所属学生もこれらの言語を専攻し、分析しています。多言語の視点から外国語教育を考えられるのも本コースの特徴の1つです。

英語教員免許を取得できますか?

学部時代に一種免許状を取得している場合は、博士前期課程で指定された科目の単位を取得することによって専修免許状を取得することができます。また、一種免許状を取得していない場合は、大学院に在籍しながら学部科目を並行履修して、教員免許(一種免許状)取得に必要な不足単位を補うことが可能です。

学部時代の専門が語学や教育学ではないのですが、本コースで研究していけるでしょうか?

これまでに在籍していた院生の学部時代の専門は、言語学・言語教育学のみならず、文学・法学・経済学・理工学などさまざまです。語学力と語学教育への熱意があれば、大学院において新たに外国語教育の研究を始めることも十分に可能です。本コースでは、導入的な講義を体系的に開講しているので、2年間で修士レベルの知識や分析スキルを身につけ、さらに、博士後期課程で研究を深めることができます。

留学経験者は多いのでしょうか?

在籍中に、 米国、ドイツ、 豪州などで留学を経験した学生も多くいます。また、 韓国で実地調査を行った学生もいました。 院生が留学しても、 指導教員はメールなどで頻繁に連絡をとり、きめ細やかな指導とサポートを提供しています。過去の在籍者には留学生も多く(中国、 米国、モーリタニア等)、 国際色豊かなコースです。

修了後の進路状況はどうですか?

教育職への就職が非常に多くなっています。前期課程修了者は、 全国の公私立の高校・中学校の英語教諭として活躍しており、 後期課程修了者は国公私立大学や海外の大学の教員に就職しています。この他にも、 民間企業の海外部門で活躍する修了生もいます。また、 小中高や大学で教員として勤務しながら本コースで研究活動に取り組んでいる学生もいます。

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