今日は土曜日。慶應SDMの春学期の講義で、わたくしが担当する「社会システムのシステムズアプローチ」の一コマをご紹介します。
この講義は、隔週土曜日ふたコマ続きで行われます。一コマ目がわたくしの社会システムに関する座学。社会システムに関する様々なディシプリンと領域に関する先進的な学術的動向を紹介していきます。ふたコマ目は、慶應SDM内のさまざまな研究を行っている先生方や外部の講師の先生方を招き、社会システムに対する多様な視点を履修者に涵養していただきます。
20140426p1 慶應の伝統である「半学半教」。先生・学生の別なく、先に半歩行っている者が半歩後ろの者に学んだことを教えるということを相互にし合うということです。この講義では、社会システムのフロンティアを教えあうことを目的にしているので、「半学半教」タイムを設け、一コマ目の講義の冒頭5分間、志願していただいた学生から、自由にシェアしたいことを発表してもらいます。上の写真は、半学半教タイムで発表する学生で、社会科学をシステムズアプローチで分析するにあたって大事なことを発表しています。
20140426p2 この日の一コマ目は、社会システムのイノベーションについて。古典的なイノベーション理論から、さまざまなイノベーション理論を「戦略サファリ」ならぬ「イノベーションサファリ」し、ソーシャルイノベーションとソーシャルデザインについても最近の理論動向を俯瞰しました。
20140426p3 ふたコマ目は、慶應SDMの西山敏樹先生による社会技術システムの講義。西山先生のコアの研究領域のひとつである公共交通とモビリティのシステムを例に、技術と社会と制度のシステムインターフェイスをわかりやすく講義していかれます。
20140426p4 テクノロジーと制度の統合の大切さ、生活の質を上げるシステムのふるまい、そしてバスを社会技術システムの視点で分析することの大切さ。学生たちの熱心な質問が相次ぎます。今年の講義の履修者の多くは修士2年生です。修士論文のテーマにも深くつながる可能性もあるので、質問も真剣です。
20140426p5 この科目では、社会システムのさまざまなディシプリンと領域について、時にはワークショップを交えながら、7月まで講義を進めていく予定です。また、折に触れて、慶應SDMの講義のおもしろいところを、ご紹介していきたいと思います。
- 2014年04月26日(土) 11:43:10|
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チームで進めるスパゲティ20本のタワーづくりに笑顔がはじけ、朗らかな気分が湧き出ていました。
2014年4月19日(土)の午後、福岡県立小倉高校の
明陵同窓会と父母教師会に招かれ、ボランティアとして、「イノベーションを起こす力: 社会をポジティブに変革するには」のタイトルで講演し、マシュマロチャレンジのワークショップをファシリテーションさせていただきました。
20140419p1 小倉高校は創立百周年をゆうに超える伝統を持ち、地域の名門校として知られています。「文武両道」「質実剛健」がモットーで、有名人も多く出ています。たとえば、
この方とか、とか、
この方とか、
この方とか。
20140419p2 いわゆる「霜降りの小倉」の制服制帽は、旧制中学時代以来、広く知られた小倉高生のトレードマークなのだとか。かわいい博多人形が着こなしています。そういえばこの制服、北九州といえば思い出す名画「無法松の一生」で、主人公・無法松がかわいがっていた、大尉の遺児「ぼんぼん」も着ていましたね。
20140419p3 この日は、オープンイノベーションが地域や組織の活性化にどのような効果をもたらすのか、協創とは何か、そして近年注目を集めている、社会を前向きに変えていく会話型リーダーシップのあり方とソーシャルイノベーションについて、ざっくばらんにお話させていただきました。
20140419p4 次に、世界で数万人の方々が実践中といわれる、
マシュマロチャレンジに挑戦。スパゲティ20本、マシュマロ1個、紙ひもとテープ1ヤードを使い、だきるだけ高いタワーを18分間以内で建てることをチームで協創し、チーム間で競争するのです。
地元とあって、宇宙工学の大家で、九州工業大学産学連携センター長・教授の
赤星先生も駆けつけてくださり、ロケットもかくや、と思わせる構造体を組み立てるべく奮闘中です。赤星先生とは大学時代、同じオンボロ学生寮に住み、文字通り苦楽を4年間ともにしたのでした。ここで、20数年ぶりに再会。感激でした。
20140419p5 この講演とワークショップは、同校の明陵同窓会とPTAが開催している「保護者のための土曜サポート講座」の今年度、名誉ある第一回の講義としてさせていただきました。同校の先生方や保護者の方々も協創のイノベーションのおもしろさに、笑顔でスリリングなワークを和気あいあいと進めておられます。
20140419p6 無給ボランティアとして、土曜日に羽田と北九州とんぼ帰りのあわただしい行程でしたが、参加者のみなさまにシステムズエンジニアリングとデザイン思考のスタートアップを楽しんでいただけたようで、とてもうれしい一日でした。小倉高校のみなさん、このようにイノベーティブな先生方とお父さまお母さまに熱心にサポートいただいて、とても幸せですね。
思えば、2013年8月に福島県立福島高校・安積高校の1年生有志のみなさんとこのマシュマロチャレンジをしたのが、今回のご縁に結びついたのでした。まさにソーシャルネットワークのありがたさを実感しました。
今回の小倉でのワークショップにご参加いただいたみなさま、そして準備にご尽力いただきました関係者のみなさま、本当にありがとうございました。とりわけ、明陵同窓会事務局とPTAのみなさまの献身的なご努力に感じ入っております。本当にありがとうございました。
- 2014年04月20日(日) 15:51:09|
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×ばつデザイン思考」のエッセンスを学び、企業や公的機関のプロポーザーから頂いた社会課題の「お題」について、社会実装めざしてソリューションをデザインしていくことになります。下の写真は宇宙システムなどシステムズエンジニアリングの大家
五百木誠先生が、ブレインストーミング中の学生たちを指導しているところです。
20140405p2 この科目は講義と演習の組み合わせで、Project-Based Learningの最適形。授業は隔週土曜日の午後から夕方ですが、学生たちは実際にプロジェクトを回していくために、一週間のかなりの時間をこの科目に費やすことになります。でも、手ごたえ十分とばかりに、学生たちの笑顔が印象的です。
20140405p1 4/5土の初日は、デザインプロジェクトの概要の説明、ブレインストーミングから親和図法、そしてフィールドワーク、とまずは基礎固め。
20140405p3 本日の演習の後半は、社会デザイナー
坂倉先生による「引き算」。坂倉先生は、三田の家や芝の家の主宰で知られており、最近では、地域活性化の関連で、「地域の居場所」や「ご近所イノベーション」のコンセプト提案も行っています。
20140405p4 「引き算」は目隠しをするなど、人間の五感のうち一感を引くことで感性を鋭敏にし、自分自身をエスノグラフするデザイン技法です。学生たちは、まず目隠しをして、歩いてみることで、自らの体内に起こった「かすかな変化」を感じとります。
p5 ×ばつデザイン思考に必須のオブザベーションへの鋭敏さを養っていきます。学生たちには、その後、「引き算」を自分のテーマで引き続ける1週間を過ごし、自分自身をエスノグラフする宿題が出されました。さて、どんなエスノグラフィが次のDproで学生たちから報告されるのか、少しわくわくしながら待っています。
- 2014年04月13日(日) 10:33:24|
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今日は、慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科(慶應SDM)の講義のうち、秋学期の「公共政策のイノベーティブデザイン」の最終発表の模様を、やや旧聞に属しますが、ご紹介します。
×ばつデザイン思考」の基礎をしっかり学んだ学生たちが、公共政策づくりの方法論を学び、自分でも創ってみるという科目です。
早田先生とわたくしが共同担当した社会システムの講義です。
20140125photo5 履修した学生たちは、半年間学んだ政策づくりの方法論を、自らのテーマで思いっきりプレゼンしたのでした。
捨て猫・捨て犬対策、サッカー場を利用した発電システムの提案、子供の虐待防止SOSのポータル化、地域活性化、待機児童の解消と保育ママの一層の拡充策など、みなの思いがこもったパッションあふれるプレゼンが続きました。
2014年1月の土曜日、システム思考とデザイン思考でみなが創った、思い思いの公共政策を発表するプレゼンテーション大会でした。当科目の成績評価にも直結する大事なプレゼンです。
20140125photo3 審査員は、エッジが立っているといま注目の先生方が手弁当で駆けつけてくださいました。起業のコ・パイロットとして活躍する
定金先生。そして、福島で目覚ましい起業を行い、地域づくりの政策にも造詣が深い、
石山先生。石山先生は、全国商工会議所連合会の女性起業家大賞を受賞されています。定金先生、石山先生、献身的かつ熱のこもったアドバイスと審査、本当にありがとうございました。
20140125photo2 この日プレゼンした政策は、中にはつたないものもあったかもしれません。しかし、デザイン思考の要諦のひとつ、"fail fast"原則(速く失敗して何度もイノベーションのループを回そう)にのっとって、政策のプロトタイプ(試作品)を創ってみた経験は、今後の慶應SDMの学生たちにとって、決して小さくないはず。
公共政策づくりは、官民のイノベーティブな対話で創り上げていく時代。その方法論を手に、慶應SDMの学生たちたちが旅立った瞬間。そんな気がした日吉キャンパスの土曜日の一日でした。審査員の先生方、共同担当していただいた早田先生、そして何よりも政策づくりプレゼンに参加していただいた履修生のみなさま、本当にありがとうございました。
- 2014年04月13日(日) 09:04:23|
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