×ばつ 【誇り高き国家フランスで最高峰のフェミナ賞受賞作品を邦訳。テロなどで国内が荒れ続けるフランスにおいて、発売と同時に各誌・メディアで絶賛されベストセラーとなった本書は、21世紀の世界が瀕する危機をあぶりだす文明論であり、国際政治分析の書でもある。 2度の世界大戦、植民地主義、ナチの強制収容所、ソビエトの列島収容所、原爆といった忌まわしき過去を戦死者の数字だけでなく、無残な体験を味わうことになった人間、その個人の苦悩に焦点をあて、著者自身の卓越した知見により、さまざまなエピソードを引き出し、積み重ねている。そして、21世紀が20世紀を超えてさらなる野蛮(バーバリズム)の世紀になろうとしていること、..." /> ×ばつ 【誇り高き国家フランスで最高峰のフェミナ賞受賞作品を邦訳。テロなどで国内が荒れ続けるフランスにおいて、発売と同時に各誌・メディアで絶賛されベストセラーとなった本書は、21世紀の世界が瀕する危機をあぶりだす..." />

« 雨の降る日曜は幸福について考えよう | トップページ | 絶えぬ住民とのトラブル〜【地上最凶の生物】 »

2011年5月27日 (金)

野蛮の世紀

861

テレーズ・デルペシュ/野蛮の世紀
販売元:HMVジャパン
HMVジャパンで詳細を確認する

テレーズ デルペシュ:著,

PHP研究所 (2006/06)

×ばつ

【誇り高き国家フランスで最高峰のフェミナ賞受賞作品を邦訳。テロなどで国内が荒れ続けるフランスにおいて、発売と同時に各誌・メディアで絶賛されベストセラーとなった本書は、21世紀の世界が瀕する危機をあぶりだす文明論であり、国際政治分析の書でもある。

2度の世界大戦、植民地主義、ナチの強制収容所、ソビエトの列島収容所、原爆といった忌まわしき過去を戦死者の数字だけでなく、無残な体験を味わうことになった人間、その個人の苦悩に焦点をあて、著者自身の卓越した知見により、さまざまなエピソードを引き出し、積み重ねている。そして、21世紀が20世紀を超えてさらなる野蛮(バーバリズム)の世紀になろうとしていること、またその歴史に人々が無関心を装い、逃げだしていることへの警鐘を鳴らす。

テロリズムの先進国拡大、核兵器の拡散、軍事大国化を続ける中国、保守化し波乱の様相をみせるロシア。世界のゆくえを直視する書。】

本書は20世がいかなる時代であったかを再確認し、そして今世紀がどう展開していくかを見通す為の一助となるだろう。気位高き国家おフランス的知性による、格調高さを感じる文章も好い。回りくどい表現に苦しめられるのではないか、という予想を善い意味で裏切ってくれた。

自己中心的な傾向は、白人の例に漏れずおフランス人も強いと思うのだが、この著者は均衡の取れた視点から世界を見ている

外人の書くこの手の本では、日本はたいした位置を占めていないことが多いがこれは結構日本にも言及している。ただし、「野蛮の世紀」という表題からして分かるように好い意味で振れているわけではなく、東アジアの情勢が現在の世界において最も不穏な面を持っているという意味でである。

アジアではまだ、第二次大戦が終わっていないと著者は見ているが、その理由として、いまだに朝鮮半島の統一は達成されておらず、また、ことある事に日本に対して"歴史認識"という外交カードを利用してくる特亜(シナ・朝鮮)の存在を上げている。

そして、世界を混乱に陥れる可能性を持った、シナという最凶の難問についてもかなりの言及があるが、特に台湾問題の扱い方の難しさとその分析を読むと、沖縄から米軍を撤退させようなどという動きにオレは賛同できなくなるのだ。

沖縄の人には申し訳ないが、これは地政学的な宿命と捉えてもらうほかないと思う。仮に日米が沖縄から引いて独立できたとしよう、間違いなくシナが盗りに来る。中共の軍事戦略からいって自明であろう。

日米同盟不要論者は、覇権を塗り替えようというシナの執念を甘く見ているか、むしろシナの覇権を望んでいるかだろう。

日本にとっても他人事ではない台湾問題であるが、著者はこう指摘する。

一九一四年前のドイツとフランスの場合のように、両派を極端まで追いつめないようにすることが、まずなによりも配慮すべきことである。国際的に国家として承認されていないことから、台湾は危険な行動に走る可能性がある。これによって中国側は独立を求める運動とみなし、二〇〇五年で全人代で採択された反国家分裂法によって、台湾を攻撃する機が熟したと判断した場合には、中国がどういう行動にでるか予断を許さない。

これとは逆に外交的に各国から承認された場合には、台湾にとっては独立宣言に等しいものとなるが、これが戦闘勃発の理由とはならない。これによって中国とは外交面での危機が生じるかもしれないが、武力紛争の形にはならないだろう。現在の袋小路を脱するためには、形としては一見過激だが現実としては平和的な、この方策は検討に値する。(p251,第二章 ふたつの中国)

外交的に承認せよ、まずはそこからだというわけである。

この著者はシナの歴史捏造に騙されていない稀有な人物である(孫文を評価しすぎだが)。シナの主張する台湾の領有権は、法的根拠が希薄であることを指摘し、故に台湾を外交的に国家として承認することだというのである。

ひとつの中国なる、シナの国家的謀略を既成事実として承認してはならないのだということ。これは道義上の問題だ。

これらの他にも、 terrorismや第三世界がもたらす影響等にも深い見識が示されていて読み応え十分であった。ただ、世界のさらなる野蛮化を予測しているものだけに、気分が暗くなってしまうのは否めない。

1905年は世界が野蛮化するきっかけとなった劇的な年であるという視点も興味深い。この年は日露戦争が起き、有色人が白人を破るという衝撃を与えた。

この1905年の象徴的な出来事としてEinsteinが特殊相対性理論を発表し、物理学の奇跡の年と呼ばれる。日本にとっては白人を粉砕した劇的な年に、40年後の悲劇の芽が出ていた事になる。

Newtype 2011年5月27日 (金) 12時56分 ×ばつ | 固定リンク

« 雨の降る日曜は幸福について考えよう | トップページ | 絶えぬ住民とのトラブル〜【地上最凶の生物】 »

×ばつ」カテゴリの記事

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 野蛮の世紀:

« 雨の降る日曜は幸福について考えよう | トップページ | 絶えぬ住民とのトラブル〜【地上最凶の生物】 »

2021年11月
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30

最近のトラックバック

携帯URL

ケータイ用アドレス
携帯にURLを送る

ウェブページ

AltStyle によって変換されたページ (->オリジナル) /