アイテム番号: SCP-894-JP-J
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-894-JP-Jはサイト-81██の標準収容ロッカーに収容されます。SCP-894-JP-Jは監視カメラによる録画を24時間体制で受けなければなりません。また、収容担当者は毎日SCP-894-JP-Jの枚数を確認して下さい。枚数に変動があった際は録画映像を確認し、変動の起こった時間を確認して下さい。その後、財団所属の全オブジェクト探索エージェントに、変動した事実とその時間を報告してください。オブジェクト探索エージェントはその情報をもとに、再発見に備えなければなりません。
説明: SCP-894-JP-Jは複数枚の白い紙片です。サイズはA6版となっています。
これらの紙片は財団が行える限りのあらゆる耐久試験においても、劣化、破損する事がありませんでした。サンプルを採取する事も不可能なため、その組成は不明であり、実際に紙であるのかも確証はありません。また、紙片のような見た目ではありますが、インクなどを用いて何がしかを書き込む事も不可能でした。
SCP-894-JP-Jは、不定期にその枚数を1枚減らします。消滅は瞬間的に起こり、財団の保有するハイスピードカメラによっても、その瞬間を捉えることは出来ていません。
消滅した紙片は、新たに発見されるSCPオブジェクトと共に再発見される場合があります。船舶の甲板や宇宙空間など過酷な環境下で再発見された紙片もありますが、消失前と同様の特性を保持しており、劣化はしていませんでした。
ただし、再発見の際には不定な筆記具によって、その表面に文章が書き込まれた状態となっています。その内容は、おおむね、同時に発見されたSCPアイテムに関するものであり、時にはその起源や、筆記者の氏名など、重大な情報が記されている場合があります。
記載されていた文章の例
以下にSCP-894-JP-Jが再出現した際、記載されていた文章の代表的な例を示します。
SCP-268
今までどうも。そろそろわたしの帽子を返してもらいます。 〜 L.S.
SCP-1522
彼らは最期のときまで幸せだった。すべての船が夜の海を行き違うわけじゃない。
-パングロス
SCP-1827
私達は元気です 鷺の問題はもう解決してます ヒンドラーは本当にあっt
SCP-2430
我々は総統閣下を救出し、安全な場へと避難させることができた。だが、彼は最早、精神的には事実上の廃人である。私はアカ共が総統閣下に成した非人道的処置を呪おう。総統閣下はアカ共が有する超兵器(wunderwaffe)の実験台にされたのかもしれない。せめてもの慈悲と閣下を殺すつもりだったが、もはや万策尽き果てた。閣下は不死となったのだ。閣下を放棄してはならない。余りにも目立ちすぎる。
SCP-2900
人々を幸せにするために全力を尽くしたことをここに表彰します。
文章記録894-JP-J-1 日付20██/█/█
- SCP-013
- SCP-039
- SCP-043
- SCP-065
- SCP-100
- SCP-111
- SCP-268
- SCP-449
- SCP-513
- SCP-631
- SCP-813
- SCP-903
- SCP-947
- SCP-962
- SCP-1080
- SCP-1081
- SCP-1168
- SCP-1279
- SCP-1335
- SCP-1353
- SCP-1365
- SCP-1463
- SCP-1490
- SCP-1497
- SCP-1522
- SCP-1612
- SCP-1629
- SCP-1685
- SCP-1712
- SCP-1827
- SCP-1871
- SCP-2099
- SCP-2196
- SCP-2294
- SCP-2304
- SCP-2341
- SCP-2369
- SCP-2395
- SCP-2398
- SCP-2430
- SCP-2458
- SCP-2516
- SCP-2520
- SCP-2536
- SCP-2814
- SCP-2830
- SCP-2865
- SCP-2900
- SCP-2952
- SCP-2991
- SCP-032-JP
- SCP-146-JP
- SCP-301-JP
- SCP-336-JP
- SCP-348-JP
- SCP-443-JP
- SCP-449-JP
- SCP-518-JP
- SCP-581-JP
- SCP-593-JP
- SCP-595-JP
- SCP-724-JP
- SCP-859-JP
- SCP-1219-JP
- SCP-067-KO
- SCP-166-KO
- SCP-274-KO
上記の通り、相当数のSCPオブジェクトがSCP-894-JP-Jとの関連を持っています。今後もSCP-894-JP-Jとともに発見されるSCPオブジェクトが増加すると考えられ、探索の努力が必要です。
現在、残された無記載のSCP-894-JP-Jの枚数は███枚となっています。これらすべてが消失した際に、SCPオブジェクトの出現数にどのような変化が起こるかは不明であり、不測の事態に備えなければなりません。
追記(20██/█/██)
インシデント記録894-JP-J-1: 20██/█/██に本ドキュメントの初版がSCiP-NETにおいて公開された直後、SCP-894-JP-Jの紙片1枚が消失しました。それから56秒後、コメントと署名が記された状態で紙片が収容ロッカー内に再出現しました。以下がその内容です。
要らぬ心配はせずともよろしい。
-パングロス
内部保安局報告 - 第2052A214号
O5評議会の指示により、当報告書の複製を関連するSCPドキュメントSCP-894-JP-Jに添付する。
以下はSCP-894-JP-J研究室内の保安記録装置に記録された、主任研究員である███博士と、その助手である██研究員との間に交わされた会話である。
██研究員: 博士、ご依頼のデータをまとめました。
███博士: ご苦労。
(██研究員が文章記録894-JP-J-1を███博士に手渡す)
███博士: ふむ......約80件というところか。予想通りの結果ではあるが、『手記オチ』のSCPドキュメントはこれほど大量にあったのだな。
██研究員: いえ、そのリストには、オチとしてメモが使われていないもの、つまり、単にメモがドキュメント中に登場したものも含まれています。それも含めて、約80件ほどですね。
███博士: しかし、そのような誤差を含めても、大量にあることには違いなかろう。
██研究員: そうでしょうか? SCiP-NETに登録されたSCPドキュメントの総数は約4000。そのうちの約80ですから、割合から見れば2パーセントです。これは、殊更多いと言える数でしょうか?
███博士: だが、『手記オチ』にはメモだけでなく、日記や金属の銘板、写真の裏や、時には胃壁に書かれた文章などもあっただろう。それらを含めれば......。
██研究員: ええ、それも確認しました。そういう物も含めた『総合的な手記オチ』の総数は、約200ドキュメントです。全体の約5パーセントに当たります。
███博士: 5パーセントは十分に多いといえるのではないかね?
██研究員: うーん......どうでしょう。実はもう一つ興味深いデータがありまして。
███博士: なにかね?
██研究員: 『財団関係者によるコメントオチ』についてなんですが。
███博士: なんだねそれは?
██研究員: SCPドキュメントの最後に、研究者やO5が、愚痴を言ったり、危機感を盛り上げたり、オブジェクトの正体を看破したりする、よく斜体でつけられてるあのコメントですよ。
███博士: ああ、あれか。あれがどうかしたかね?
██研究員: あのオチは全体の██パーセント以上で使われています。
███博士: なんだと!?
██研究員: しかし、こちらの方は、あまり騒がれませんよね?
███博士: うむ......。
██研究員: はっきり言って『手記オチが多い』というのは、単なる認知バイアスでは......?
内部保安局は███博士と██研究員に記憶処理を行い、この『オチ』については厳重な秘匿体制をとるように。
『財団関係者によるコメントオチ』の実数が公表されることは、SCPドキュメントを記述する研究者に対し、その形式に対する過度の萎縮をもたらしかねない。『手記オチ』にせよ『コメントオチ』にせよ、重要なのは形式ではなく、その中身であるとするのがO5評議会の総意である。
それに、SCPドキュメントの最後にコメントを書き込むのは、O5の秘かな楽しみでもあるのだよ――O5-█