SCP-1219-JP
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アイテム番号: SCP-1219-JP

1219

SCP-1219-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-1219-JPは自立系小型オブジェクト収容セルに収容します。天井の1角に監視カメラを設置し、常に1名の職員が監視します。異常が発生した場合は速やかにエージェント数名とレベル3以上の職員を向かわせてください。

室内は最低限必要な家具の配置をします。SCP-1219-JPは数ヶ月に1度新しい本やノートを希望することがあるため、その都度レベル3以上の職員の許可を得て、検閲が済んだ本やその他物品を支給してください。

説明:SCP-1219-JPは熊のぬいぐるみの姿をしています。SCP-1219-JPの最大の特徴は自立し動くこと、そして触れた玩具を任意で動くように変化させたり、それらの無効化ができることです。

SCP-1219-JPは岡山県岡山市██区の民家で発見されました。██区の██小学校で蔓延していた「動くぬいぐるみ」の噂が財団職員の耳に入り、その後の調査によって女子児童が所持していたSCP-1219-JPが発見されました。発見後、SCP-1219-JPの関係者には記憶処理を施したため、噂は沈静化しています。また後のインタビューで判明したSCP-1219-JPの存在を認知していると思われる人物については今現在調査中であり、発見し次第記憶処理を施します。

SCP-1219-JPはインタビューでの発言から、製造からおよそ16年経過しているにも拘らず体毛を模倣した毛皮には殆ど汚れや傷がなく、完全な状態を保っています。しかし目に使用されているパーツに傷が複数見られ、そのためかSCP-1219-JPの視力(視力検査は通常のものを実行しました)が低下しています。新しいパーツに取り付けるようにというオブジェクトからの要望は、目のパーツを交換するまでの解体で特異性が失われてしまうことを考慮し現在まで行われていません。低下した視力によりインタビューでの筆記に影響が及ぼされるため、度のあった眼鏡を与えます。

インタビューログ - 日付20██/██/██

インタビュアー: ████博士

付記:インタビューを行う前に知能レベルを測定するため、オブジェクトの生年月日を制作年月日からとし、IQテストを行いました。IQは65です。オブジェクトの知能レベルを記録に残すため、当インタビューログではSCP-1219-JPの書いた文章を原文のまま記載します。

<記録開始>

████博士: あなたのことについて教えてください、SCP-1219-JP。

SCP-1219-JP: [頷く]

████博士: あなたの名前は?

SCP-1219-JP: [オブジェクトは12分かけてノートに文章を書き、職員に見せる]『MEI DOO おもいで とゆー いみ』

████博士: いい名前ですね。

SCP-1219-JP: 『ありがとお』

████博士: それではあなたの出生について教えてください。

SCP-1219-JP: 『おんなの人がつくた 2000ねん,5がつ,5にち,ぼくわうまれた』

████博士: その女性のことで、知っていることがあれば教えてください。

SCP-1219-JP: 『たかいたかいたてものが とてもたくさんあるところに,居た, 大きいイエをもつていて ひとりで くらしていた その人はとくべつじやない ぼくわ うごくけれども その人わ ぼくとくらべて とくべつでわない』

████博士: あなたが動けるようになったのは全くの偶然ということですか?

SCP-1219-JP: 『たぶんそお』

████博士: その人が今どこに居るのか知っていますか。

SCP-1219-JP: 『もおいない,むかしにしんでしまつた 2003ねんに,おとこのひとにさされた ぼくわみた おなかから,ち,がでていたところお おとこのひと たぶん,まだつかまてない』

████博士: そうですか。女性のお名前など女性に関することを詳しく教えてください。

SCP-1219-JP: 『なまえわ [削除済] みょおじわ [削除済] 2005ねん,3がつ,25にちにしんだ 25さい りよおしんわ もういなかた ひとりくらしだつた ████で』

████博士: はい、ありがとうございます。あなたが動くこと以外に特別なことができるそうですが、それについて説明をお願いします。

SCP-1219-JP: 『ぼくにわ いのち がある,ほかのオモチャにわない, ぼくわ オモチャにいのちおあげる,そしたらいのちお,もてる』

████博士: 今までどんなものに命をあげましたか。

SCP-1219-JP: 『いろいろなもの,人のかたちの 車の ふねの でんわの いっぱいに』

████博士: それはどうなりましたか?

SCP-1219-JP: 『あそんだあとわ かたつけなければいけない』

████博士: 命をもったまま?

SCP-1219-JP: 『いのちも かたづける,[削除済]に そおおしえられている,そおしなければ みんなこまる ぼくわ 言いつけお まもる』

████博士: わかりました。ありがとうございます、SCP-1219-JP。最後になにかありますか?

SCP-1219-JP: 『つかりた』

<記録終了>

SCP-1219-JP-αはSCP-1219-JPの手により動くようになった玩具です。数々の実験から、人形を始め車や、電話の形を模したもの、ジオラマ、恐竜の化石までが動くことを確認しています。児童向けの玩具であるかどうかに拘らず人間や道具、風景、生物を模倣したものであれば、その物質の性質を無視し本物のそれと同じように動きます。詳しくは実験記録を参照してください。

対象: ホンダ S600のペーパークラフト。

結果: 対象及びSCP-1219-JP-αはエンジン音を鳴らして実際に走り回るようになる。SCP-1219-JP-αは人の言語を理解している様子を見せ、走り方を指示するとそれにクラクションで応答し指示通り走った。

対象: ボイス機能内蔵の玩具の電話。

結果: SCP財団日本支部特別諜報部の内線番号をプッシュすると実際に繋がるようになる。SCP-1219-JP-αである内は、実在の電話番号をプッシュすると繋がり、会話が可能となる。

対象: エージェント████の所持品である1体のテディベア。自分が小学生であった頃からずっと寝床を共にしていると語る。

目的: 対象の玩具が持ち主との様々な行為を記憶している、もしくは記憶しているように振る舞うか否かの検証。

結果: SCP-1219-JP-αにノートで文章を書かせるといった試みは、SCP-1219-JP-αが文字を書けないと判明し実行に移せず。その後SCP-1219-JP-αがエージェント████に抱き着く、纏わり付く、眺める等の行動を繰り返す。およそ30分同様の行為を続けた後、実験終了の指示を受けてSCP-1219-JP-αが特異性を失う。

対象: ██博士の所持品である、制服を着た少女の球体関節人形。対象は既成の部品を組み合わせて作成尾された██博士の作成物であり、一般的なアニメーション作品の登場人物に似せられている。██博士は対象を宝物だと語る。

目的: 対象の玩具が持ち主との様々な行為を記憶している、もしくは記憶しているように振る舞うか否かの検証。

結果: 女性らしい素振りをし始める。日本語を話し、体は通常の人間の可動域と同じ範囲で動かすことが可能。持ち主である██博士に対し、自分を大事にしてくれていることについての感謝を述べる。

対象: ヴェロキラプトルの骨格のレプリカ1体。

結果: SCP-1219-JP-αは固定に使用されていた金属棒から離れ独立し歩行を行う。記録のため室内で観察していた職員1名には関与しようとせず、しばらく室内を歩き回る。30分程徘徊した後で職員に近づき、職員が触ろうとすると拒む様子が見られるが危害を加えようとはしない。実験終了の指示を受けると、自ら展示台に戻り元々とっていたポーズに戻ってから特異性を失う。

メモ: もし本物の化石であればもっと行動も違ったものになるかもしれない。—██博士

対象: 木々と湖を再現されたジオラマ。

結果: 湖が波打ち、木々があたかも風に当たっているかのようにざわめき始める。湖付近に立っていた2センチ程の人形は湖で遊び始める。職員が湖に触ると、実際の水のように波紋を作ったり波を作り出している。

メモ: 本物のように動くのかもしれない。もっと色々なもので実験をしてみる必要がある。— ██博士

対象: ████博士の所持品である、顔の黒焦げたフランス人形。幼い頃の自身の火遊びで少し燃えてしまったと語る。

結果: SCP-1219-JPが対象に触れることを拒む。説得の末SCP-1219-JPが対象に触れるが対象が動くことはなく、1時間経過した後も特異性を見せなかった。対象の状態によりSCP-1219-JP-αに変化できない場合もあることが示されている。


SCP-1219-JP-αに危害を加えた場合の結果の検証のため2016年07月28日にDクラス職員を被検者とした実験が行われました。以下実験記録1219-αとし、詳細を記述します。

実験記録1219-α

対象: Dクラス職員に持たせた新たに購入した日本製フランス人形と金槌。Dクラス職員には人形をSCP-1219-JP-αに変化させた後破壊するよう指示。

目的: SCP-1219-JP-αに危害を加え特異性を消失させた場合の検証。

結果: SCP-1219-JP-αは金槌で顔面を陥没させられた後特異性を失った。SCP-1219-JPは被験者がSCP-1219-JP-αを攻撃中でも行動することなく、被験者とSCP-1219-JP-αを凝視しているのみだった。破壊後、SCP-1219-JPが20分程かけてノートにメッセージを書き、Dクラス職員に手渡している。

以下は実験記録1219-αの後Dクラス職員がSCP-1219-JPから渡された紙片に書かれた文章です。

ぼくわ みんなの思いで
こわくないよ
ぼくたちお 思いだして

実験記録1219-αの後、予定通りSCP-1219-JPに対するインタビューが行われました。以下に記載します。

インタビューログ - 日付20██/██/██

インタビュアー: ████博士

付記: インタビューの前に行った知能レベルテストでの結果はIQ70でした。

<記録開始>

████博士: こんにちは、SCP-1219-JP。

SCP-1219-JP: 『こんにちわ』

████博士: 早速ですが、ついこの間の実験で、あなたは人形を壊されたのにも拘らず落ち着いていましたね。それはどうしてですか。

SCP-1219-JP: 『みたことある』

████博士: 見たことがあるとはどういうことですか。

SCP-1219-JP: 『[削除済]がしていた 足がうごかなくなてから にんぎよおこわした なんにんもこわした ぼくの目おひつかいた ぼくわ とめられなかた ぼくわ』[ここまで書いてからしばらくの間動きが止まる]

████博士: SCP-1219-JP?

SCP-1219-JP: 『しぬのお, [削除済]が じぶんでしぬのお ぼくわとめられなかた その人わ いろいろと だめだつたのだとおもう あしがこわれて いろいろなものお とられてしまたから ぼくたちお わすれてしまたのだとおもう』

████博士: あなたの製作者は自殺したということですか。

SCP-1219-JP: 『そお, あしがこわれて うごけんくなて おかねもなくなた [削除済]わ ひとり さみしくなたのだとおもう ぼくわみんなおおこして いのちあげて [削除済]と いつしよにいた でも[削除済]わしんだ オフロのなかのみずのなかでしんだ だれもきがつかなかた けいさつ きたの しばらくあと』

████博士: 製作者が死亡した後、あなたはどうされたのですか。製作者の住所と、あなたが発見された場所とはかなり距離があったのですが。

SCP-1219-JP: 『ぼくわ けいさつに もつてかれた ぼくがうごいているのおみたから 男の人と,おかねとこうかんした その男の人わ,ぼくおかざつた ぼくわつまらないからにげた つぎわ子どもにひろわれた その子わぼくにらんぼうした おもちやおこわしてあそんでいた ぼくわにげた つぎわ子どもがたくさんのとこにいつた みんなぼくおだいじにしてくれたけれども おとながこわがつてすてちやた』

████博士: 最終的に、我々が発見した時点の家庭に落ち着いたということですか。

SCP-1219-JP: 『そお, そこわ おもちやがたくさんあつた そこの女の子わおもちやがだいすき パパとママもやさしい 女の子わぼくとおままごとした ぼくとふとんでねた その女の子わ いろんな人にぼくおはなした そんで ここに みつかちやた』

████博士: あなたは製作者の死後、安定している場所を求めて移動を続けたのですね。

SCP-1219-JP: 『ちがう』

████博士: 意図を詳しく教えてもらえますか。

SCP-1219-JP: 『[削除済]わ さいごにいつた あなたわ,わたしの思いで みんなの思いで みんなあなたたちおしつていて あなたたちおだいじにおもつている みんながあなたたちおわすれないよーに あなたわ思いででありつつけて』

████博士: 分かりやすいように書いてもらえますか、SCP-1219-JP。

SCP-1219-JP: 『[削除済]わしんだけれども おもちやがすきな子はたくさんいる ぼくたちわ そんな子が おもちやお思いでにできるよーに そんざいしなければならない ここわ おもちやが だいじですか』

████博士: 大事か、と言うと語弊がありますが、あなたやその他の玩具を悪戯に破壊する場所ではありません。理由がある場合破壊もしますが。

SCP-1219-JP: 『そお』

████博士: 最後に伺いますが、あなたはこの場所で何をしたいと思いますか。

SCP-1219-JP: 『いろんな人とあそびたい だれでもいい ぼくわさみしい ぼくわ思いででありたい』

████博士: 善処しましょう、SCP-1219-JP。これでインタビューは終了します。最後に何か聞きたいことはありますか。

SCP-1219-JP: 『どおしてにんぎよおこわしたの』

████博士: それについてはあなたが知る必要は無いと思いますが、答えるとするなら、あれはあなたがあなた以外の生物に影響を及ぼすかどうかの実験でした。

SCP-1219-JP: 『そお,わかた もおしないで かわいそお ぼくわわすれない ぼくわおこる』

████博士: それではこれでインタビューを終了します。

<記録終了>

インタビュー中にSCP-1219-JPが記した要望については現在倫理委員会が検討しています。なおこの実験記録1219-αより以降の実験の一部ではSCP-1219-JPが実験に非協力的になったため、破壊を目的とした実験についてはレベル4以上の職員の許可を得てから行ってください。

脚注
. 同姓同名の女性が被害者である未解決事件が該当する。
ページリビジョン: 24, 最終更新: 31 Aug 2025 12:25
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