クレジット
アイテム番号: SCP-2878-JP
オブジェクトクラス: Keter Neutralized
特別収容プロトコル: 現在SCP-2878-JPは未収容状態です。
SCP-2878-JP-A-1を用いた収容違反が推測されるため、SCP-2878-JPに対する直接の収容は行われず、目撃者の記憶処理と情報統制に焦点が当てられます。SCP-2878-JPの嗜好からか、出現は撮影機器の存在する地点が大半であり、インシデントの特定はおおよそ容易いと言えます。
また、仮にSCP-2878-JP-Aと装着者の分離が確認された場合、SCP-2878-JP-Aが引き続きSCP-2878-JPとしてナンバリング付けされ、装着者は要注意人物として再登録されます。
SCP-2878-JPはサイト-81██の無力化済みオブジェクト収容ロッカーにて管理されます。
説明: SCP-2878-JPはGoI-8139"超 電 救 助 隊 Hyper Electric Rescue Organization"(以降、超電救助隊HEROと呼称)の活動員である"神出鬼没捜査官ヒーロー・レインボー"を自称する165cmの人型実体です。
SCP-2878-JPはSCP-2878-JP-Aに分類される虹柄の異常な装甲を着用しており、高い耐久性や装備者に対する機動能力の保証の他、特筆すべき異常機能を有しています。以下はその一覧です。
番号 | 説明 |
---|---|
SCP-2878-JP-A-1 | 能力の使用前後で発光するベルトバックル。距離を無視した形での消失と出現を可能とする。SCP-1878-JP-B鎮圧時の出現/撤退にのみ使用され、戦闘への応用は確認されていない。実体は"シャドーリポート"と呼称。 |
SCP-2878-JP-A-2 | ホログラム投影装置。遠距離からのSCP-1878-JP-Bの観察に使われる。実体は"ビッグブラザーアイ"と呼称。 |
SCP-2878-JP-A-3 | 他の超電救助隊HERO実働隊員への変身能力を備えた腕時計型デバイス。文字盤の針を調整して使用する。変身後もSCP-2878-JPの各固有機能は残存する。なお、模倣は不完全であり、使用する度にそれぞれ同じ構成員であっても違った差異がみられる。実体は"R.G.B.ファントム"と呼称。 |
20██年より、出現したSCP-1878-JP-Bに対しての鎮圧行為が確認されています。SCP-2878-JPはその練度からか弱点を熟知しているようで、鎮圧速度は非常に早いと言えます。そのためSCP-2878-JPが出現した場合、SCP-1878-JPを筆頭とした他の超電救助隊HERO構成員が対応するより早くSCP-1878-JP-Bの鎮圧を完了させています。
SCP-1878-JP群。体表や行動に一貫性を示し合わせるものがあり、それらはタイプごとにナンバリング付けされている。画像は左から順に、SCP-1878-JP-B-β、-φ、-α、-δ、-π。
SCP-1878-JP-B概要: 以下に箇条書きで示す。
・不明な方法を用いて市街地に出現する。
・SCP-1878-JPを筆頭とした超電救助隊HERO構成員 / 幼稚園~小学校低学年を中心とした一般人 などに対して非友好的な人型実体群。
・全身を隙間無く多彩な色のタイツ状の衣装で覆っている。
・酩酊状態のヒトのような緩慢な動き。
・雑多な体格を有するが、いずれも成人男性程度の腕力を有する。
・大きな損傷を受けた場合及び捕縛された場合、破裂し内容物を飛散させる。この内容物にはヒト遺伝子が含まれる。
補遺1: 第5次SCP-2878-JP事案において、超電救助隊HEROに所属する別構成員であるSCP-2387-JPとの接触が確認されました。
SCP-2387-JP概要: 以下に箇条書きで示す。
・"悪党撲滅闘士マスクド・クリムゾン"を自称する人型実体。
・以下の異常機能を備えた真紅の装甲を着用している。
・運動能力の助長及び高耐久
・飛行能力 (SCP-2387-JP-A-1)
・痛覚刺激ミーム災害を主とした集束光 (SCP-2387-JP-A-2)
・高感度操作ミーム災害 (SCP-2387-JP-A-3)
・犯罪者に対する私刑行為を中心に活動する。
・上記全般を活動対象とするため活動内容は多岐に渡り、より専門的な他の実動員と共同で活動する場合もある。
以下は音声記録と現地職員による証言を統合した書き起こしです。
日付: 20██/02/██
対象: SCP-2878-JP、SCP-2387-JP
備考: SCP-2387-JPは付近で発生した行方不明事件について加害者がいると断定し、捜索中に偶然SCP-2878-JPに遭遇したものと思われる。
この記録はSCP-2878-JP担当職員では無く、SCP-2387-JP担当職員により取材されたものである。
«記録開始»
[SCP-2878-JPがSCP-1878-JP-Bを鎮圧している]
[飛行中のSCP-2387-JPが現れ、鎮圧作戦に加勢する。SCP-2878-JPと比較して、苦戦しているのが分かる]
SCP-2878-JP: 先輩!
SCP-2387-JP: やあやあ、初めまして。ワタシの名は悪党撲滅闘士マスクド・クリムゾンだ。クリムゾンと呼んでくれ。見ない面めんの"派手男"と即席親睦会でも開きたい所だが、その前に一つ。これらは一体全体なんなんだい?
SCP-2878-JP: 残念ながら捜査中でして...今は彼に代わって退治するのが [SCP-1878-JP-Bに強く攻撃する。] この、神出鬼没捜査官ヒーロー・レインボーの使命です!
SCP-2387-JP: なるほど、君も実に良い正義を持っているな!やはり、手伝わせてくれたまえ!
[SCP-2387-JPが本格的に戦闘に参加する]
[両者は各々の装備を用いて、SCP-1878-JP-Bを鎮圧する。その際、お互いにコメントを残すのが確認される。SCP-2878-JPがSCP-2387-JPを模倣した際のコメントは特に肯定的なものであり、特筆すべきである]
[鎮圧が完了する]
SCP-2878-JP: ふう。ご協力ありがとうございました、先輩!
SCP-2387-JP: いやいや、君もね。こんなに良い新人が来てくれるとは超電救助隊も安泰だ。君のそのスーツは記憶に無く、雲の隙間から見た時はどんな奴かと思ったが......
SCP-2387-JP: 先の道を歩む者として聞かせてもらおう。君の正義のオリジンとは何かね?
SCP-2878-JP: 彼への憧れです。正義のマイヒーロー、巡回捜査官ライダー・モノクローム。私の原初の記憶に写るのは彼でした。あの怪人から戸惑う人々を救う彼に深く、深く感銘を受けたんです。
SCP-2878-JP: 私も彼のようになりたい。今を生きる人々の安全を守りたい。
SCP-2878-JP: 私は彼の正義を追っているんです。捜査官という名も、彼に憧れた結果です。
SCP-2387-JP: なるほど......彼は良い後輩を見つけたらしいな。モノクローム殿は君の話を聞いてどんな風に喜んだかい?
SCP-2878-JP: いやぁ、実は未だに......あの方にはR.G.B.ファントムも応答しなくて。
SCP-2387-JP: ......すまなかった、残念な話をわざわざ聞いてしまったな。だがしかし安心せよ!ワタシの人脈を使ってきっと会わせてあげようじゃぁないか。
SCP-2878-JP: 良いんですか?
SCP-2387-JP: もちろん。ワタシたちが笑顔じゃないで、どうやって笑顔を守ると?ただ、あまり期待はしないでおくれ。実の所、彼とは面識が無くてな......
SCP-2878-JP: そんなそんな、大丈夫ですよ。私は彼に会うためにこのスーツを纏っているわけではありませんので。私の使命を果たし、正義を貫き通す事こそが、私の喜びなのですから。
SCP-2387-JP: いいねぇ。その正義に誠意を見せよう。きっとだ!
«記録終了»
備考: 記録終了後、SCP-2387-JPは飛行、SCP-2878-JPはSCP-2878-JP-A-1を使用し逃走しました。
補遺2: 第30次SCP-2878-JP事案において、SCP-2387-JPとの接触が再度確認されました。以下は音声記録とインタビューによる証言を統合した書き起こしです。
日付: 20██/08/██
対象: SCP-2878-JP、SCP-2387-JP
備考: SCP-2387-JPはSCP-2878-JPとの接触を目的としていた。
この記録は現地警察官より提出された証言と同者が試験的に保持していたボイスレコーダーを元に制作された。なお同者はSCP-2387-JPが使役していた支援ロボットに阻まれ、インシデントへの介入を失敗している。
«記録開始»
[SCP-2878-JPがSCP-1878-JP-Bを鎮圧している。残り個体数は僅かである。]
[鎮圧中のSCP-2878-JPの元へ、SCP-2387-JPが空より飛来する。][支援ロボットも同時に出現し、部外者による前述の各種異常存在への介入を妨害する。]
SCP-2878-JP: [SCP-1878-JP-Bの胸部に拳を貫通させ、最後のSCP-1878-JP-Bを撃破する。] クリムゾンさん?お久しぶりですね!もしや、良い知らせでも?
SCP-2387-JP: そうだな。社会の為にはなるだろうか。ライダー・モノクロームについて上に聞いてきた。
SCP-2878-JP: おお!なんと?
SCP-2387-JP: 我らが超電救助隊にそんな者は居ない。そして、嘘はもう一つあるだろう?神出鬼没よ。お前の正義は嘘には見えなかった。だから今ならワタシからも入隊を頼んでも良い。ラスト・チャンスだ。自分の口で答えるんだ。お前の真実を。
SCP-2878-JP: ちょ、ちょっと。何を言っているんだか......よく呑み込めないです。あの時彼は確かに名乗りを上げて所属を言って......怪物たちをやっつけて......彼はヒーローじゃないんですか?あ、あれ?
SCP-2387-JP: しっかりしろ、神出鬼没。その嘘はもう良い。お前も騙されたんだろう。彼奴が"守った"人々同様にな。だがな、お前もワタシを騙したんだ。君から答えなさい。
SCP-2878-JP: 彼と私が何をどう騙したと?モノクロの彼は絶対の英雄です。彼が掲げた正義に唾を吐き捨てるのですか?悪を穿ち人々を救う事の何が、何が嘘であると?クリムゾンさん。私を信じて下さ
[SCP-2878-JPに対してSCP-2387-JPが収束光を発射する]
SCP-2878-JP: [沈黙]
SCP-2387-JP: ......もう良い。残念だよ、自称ヒーロー。超電救助隊には君すらも登録されてなどいなかった。君は一体何なんだったんだろうな。ただ、それはもう重要じゃない。ワタシは君を裁くために来たのだから。
[SCP-2387-JPは自身の掌を見つめる]
SCP-2878-JP: そんな、からかってるんですか。あの日、赤いスーツの彼は私を歓迎してくれたじゃないですか。
SCP-2387-JP: 赤いスーツの彼?誰だい?あぁ、もはやワタシはあの日のように愚かな男では無いよ。ハハハ。......お前にさえやり直す気があれば、ワタシも後押ししただろうな。だがな、君はもうチャンスを逃したんだ。
SCP-2878-JP: あ、あなたたちは何か勘違いをしてらっしゃるらしい。私は...... [頭を抱える] なんだ、何だっけ。あれ。変だな。何が...... [以下、聞き取り不可]
SCP-2387-JP: ......あぁ、お前たちの正義を正そう。バケモノの正体は平たく言えば感染者だ。数々の失踪事件はあのバケモノの依り代となった者たちの痕跡だったんだ。昔は必死の病だった。だがしかし時代は進み、技術は進歩した。我々「超電救助隊HERO」ならば彼らを救えるのだ。
SCP-2878-JP: そんな。だとすれば私は、私は。そして彼も?イヤ、違う、違いますよね。
SCP-2387-JP: 罪のない人々を、お前は悲劇にも殺してしまった。君だって被害者だったかもな。だが、お前はもう加害者でもある。パラドックスというのはその内側だけでねじれてしまうからパラドックスなんだ。私が君の自己矛盾を壊し、お前の罪を全て引き受けよう。君の正義を貫こう。お前という怪物を、君のやり方で罰そう。
[SCP-2387-JPが拳を握り、SCP-2878-JPに向けて接近する]
SCP-2878-JP: 私は私の信じたいものを信じただけだったんだ!正義を貫かんとしてどうして止められるんだ!あの日あなたも、私たちの正義に賛同してくれたじゃないか!どうしてです!一度頭を冷やしましょう!
[SCP-2878-JPは短い叫声の後、SCP-2878-JP-B-3の文字盤を調整し、SCP-509-JPに変身する。飛行能力を用いて逃亡を図るも模倣の不完全性を原因として失敗する。]
SCP-2387-JP: [SCP-2878-JPの胸部に拳を貫通させ、撃破する。]
«記録終了»
備考: 記録終了後、SCP-2387-JPは飛行し逃亡しました。なお、SCP-2878-JP本体は無力化したと見做されましたがSCP-2878-JP-A-1が起動し消失しました。
補遺3: 第31次SCP-2878-JP事案において、SCP-2878-JPの無力化が確認されました。以下はインタビューによる証言を元に制作された書き起こしです。
日付: 20██/09/██
対象: SCP-2878-JP
備考: この記録は居合わせた民間人による証言を元に制作された。
«記録開始»
[SCP-2878-JP-B-1を使用したSCP-2878-JPと、SCP-1878-JP-B群が出現する]
SCP-2878-JP: [悲鳴] [周囲を見渡し、最後に自身の胸部装甲を見つめる。] ハッ。夢か。
SCP-2878-JP: [SCP-1878-JP-B群を視認する。] ああ、私の出番か。
SCP-2878-JP: [SCP-2878-JP-A-3を操作するために、文字盤の調整を試みる。] あれ。カーキ......さん?どうして。最後に姿を真似たのは貴方じゃなかった筈。どうして針がカーキさんを向いているんだ......。
SCP-2878-JP: そういうことか。
SCP-2878-JP: ...... [笑い声] 私は何を信じていたんだろうな!何が本当の正義なんだろうな!思えば、君が教えてくれなかったのはマイヒーローだけじゃなかったな、R.G.B.ファントム。
SCP-2878-JP: クリムゾンさんは私に聞いた。でも思い出せなくて、いや、正確にはそもそも「記憶が無くて」......君なら知っているのか?
SCP-2878-JP-B-φ
SCP-2878-JP: 彼は、そして私は。一体何なんだ。誰なんだ。答えてくれ、ファントム......
[SCP-2878-JP-B-3の針が高速回転した後に空中放電が発生し、消失する]
[SCP-2878-JPは胸部に穴の開いたSCP-1878-JP-B-φに変身する]
SCP-2878-JP: [破裂]
«記録終了»
備考: SCP-1878-JP-B群は現地機動部隊により鎮圧されました。
当事案以降SCP-2878-JPの出現は観測されておらず、無力化したと判断されました。
SCP-2878-JP無力化地点から、SCP-2878-JP-A-1とメモが回収されました。SCP-2878-JPの無力化のため、SCP-2878-JP-A-1は以降SCP-2878-JPに再ナンバリングされました。また、以下は回収されたメモの書き写しです。内容からGoI-088およびSCP-1860-JPとの関連性が示唆されています。
R.G.B.プランニングから大切なお知らせです。
「神出鬼没捜査官ヒーロー・レインボー」は、俳優の一身上の都合により終了される運びとなりました。
次回からは[汚損]が放映されます。