2021年02月04日
司法書士は若いみなさんの消費者トラブル防止を支援します
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司法書士法教育ネットワーク会長 前 田 道 利
大人って何歳から?
日本では何年か前までは「20歳から大人」というのがあたりまえのことでした。国際的には遅れているという意見もありましたが、日本では20歳より若い人たちを大人として扱うことは不安だという意見が当時はまだまだ大きかったように思います。
ところが選挙で投票できる年齢を18歳にしようという法律が2015年に国会で成立しました。「こんどは民法の成年年齢が18歳に引き下げられるらしい」そのウワサは、私たち司法書士にとってはなかなかに刺激的なウワサでした。そのウワサは2018年の6月に国会で法律が成立して現実のものとなり、「2022年4月1日は成年年齢が18歳に引き下げられる日」になりました。
見えない盾が消えてなくなる?
民法というのは契約などのことを定めたたくさんある法律の中でいちばん基本的な法律です。そのなかには未成年者が契約をするには親権者の同意を得なければならず、そうではない契約は取り消すことができると定められています。未成年者を不当な契約から保護するためのルールです。
このルールのおかげでいろいろな事業者は危険性の高い契約を未成年者とははじめから結ぼうとしません。このルールがあることを知っているからです。見えない盾が未成年者を守っているということなのです。成人になるとこの盾が消えてなくなります。これまでは20歳で消えていたのですが、これからは18歳で消えてなくなることになるということになるわけです。
これまでも20歳になったばかりの若い人が悪質商法のようなさまざまな消費者トラブルに巻き込まれることが多いといわれてきましたが、これからは高校生を含む18歳・19歳の若いみなさんのなかで被害が広がってしまうことになってしまうのではないかと心配されています。私も心配です。
契約と法律のことをしっかり学んでおこう
契約や法律の勉強や仕事をしていると「こんなこと学校で習わなかったけど、きちんと教えてほしかったな」と思うことがたくさんあります。なにしろ社会はたくさんの法律、無数の契約によって運営されているわけですから、契約や法律のことを知らないで社会人として生きるというのはたいへんリスクの高いことだなと思います。だから若いみなさんには契約や法律のことをしっかりと学んでほしいなと思うのです。
若いみなさんの消費者トラブル防止を支援したい
私たち司法書士というのは土地や建物の契約や取引が正しく行われているかどうかをチェックする仕事をたくさんしています。なので契約や法律についてはとても詳しいのです。そんな知識を消費者トラブルの防止のために役立ててもらえないか。そんなことを考えて、私たちは「法教育」という活動に熱心に取り組んでいます。
たとえば近畿司法書士会連合会の法教育推進委員会というところがあって、そこで仲間と協力して学校で使える教材を作ったりしています。そこで作った教材をひとつだけ紹介します。
みなさんが将来ひとり暮らしをはじめたり結婚したりするときには、アパートやマンションを借りる契約をするとひとが多いと思います。アパートやマンションの契約はトラブルの多い契約のひとつです。契約の時にはどんなところに気をつけたらいいのでしょう。契約を結んだ後は、そして契約を終わらせるときにはどうでしょう。そういったことを考えてもらう教材が「教えて!契約のこと」という教材です。この教材は公益財団法人消費者教育支援センターの消費者教育教材資料表彰 2019 優秀賞を受賞しました。気になった方はちょっとこちらをのぞいてみてください。
http://www.kinshiren.com/contents/houkyoiku/tutorial.html
私たち司法書士はいろいろな機会に法教育の活動を通して、若いみなさんの消費者トラブル防止を支援したいと考えています。全国各地の司法書士が学校に出前授業に行ったりしていますが、呼んでいただければどこにでも行きます。ぜひ一度全国にある司法書士会に問い合わせてみてください。私たち司法書士法教育ネットワークに問い合わせてくださってもかまいませんよ。これから18歳で成人になる若いみなさんには司法書士がついています。
(おわり)
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posted by 司法書士法教育ネットワーク at 13:47| 18歳成年への応援メッセージ