2020年11月05日 言語聴覚士, つぶやき | 固定リンク 投稿者: はらだ
Harada_20201102121801 こんにちは!
先日、前任校の卒業生から「執筆をした本が出版されました」と連絡を頂きました。
卒業生なのですが、言語聴覚士ではなく、現在「理学療法士」として働いている〜言ってみれば、他学科の卒業生です。
彼女とは、1年生の選択実習で担当をさせてもらった関係で、4年間、様々な話をよくしました。真面目な話から他愛もない話まで、いろいろなやりとりの中から、随分多くのことを教えてもらいました。
その彼女が執筆したのは、「ヤングケアラー わたしの語り 〜子どもや若者が経験した家族のケア・介護〜」という書籍の元ヤングケアラーとしての体験談の部分です。
そもそも、ヤングケアラーって、知っていますか?
この本によると、ヤングケアラーとは、「ケアが必要な家族の世話をしている18歳未満の子どものことである」そうですので、大学の卒業生は、元ヤングケアラーということになります。
私たち言語聴覚士も、理学療法士も、作業療法士も、仕事として支援するリハビリテーション対象者のことを、「患者さんやご家族」という言い方をしますが、そのご家族の中には、18歳未満のお子さんもおられます。そのお子さんのことは「守られるべき対象」であると捉えていながら、まずは、キーパーソンとなる成人の家族に目が向いてしまいがちであることは否めません。
しかし、その日常生活には、キーパーソンだけではない全ての家族に、少なからぬ影響があります。この書籍は、その当事者であった元ヤングケアラーが、子どもの頃の体験を振り返ることによって、その時の自分の思いや葛藤を整理し、私たちに発信してくれています。
ぜひ、読んでみてください。思わず、その時の子どもたちに声をかけたくなりますが、一時の思いで声をかけても何の役にも立たないことにすぐに気づきます。
本当の意味で「患者さんに寄り添う」ことは大変難しいことですが、患者さんの思いだけでなく、ご家族一人一人の思いを想像できる専門職になりたいものですね。