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企業との協働による報告書「サステナブル分野の統合評価の現状と課題、今後に向けた提言」を公表
(筑波研究学園都市記者会、環境省記者クラブ、環境記者会同時配付)
国立研究開発法人国立環境研究所
この度、勉強会とシンポジウムでの議論の結果をとりまとめた報告書が2024年7月5日に公表されました。環境分野の取組を統合的に評価・実施する上での要点をまとめ、13の提言を提起しています。
1. 背景と経緯
カーボンニュートラル、ネイチャーポジティブ、サーキュラーエコノミーの各環境分野における取組が進んでいます。一方で、企業が取り組むべきサステナビリティに関するテーマはこの3つの分野に留まらず多様化しており、また、各分野は相互に関係し、分野間でのシナジーやトレードオフ関係を有する部分があることなどから、企業は今後のさらなる取組をどのように進めていけばよいのかという難題に直面しています。
そこで国立環境研究所の研究者らは、2023年11月より学識者11名および民間企業18社からの参加者からなる「サステナブル分野の統合的評価に関する勉強会」(主催:みずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社)に参画し、サステナブル分野の統合的評価の重要性や課題が広く社会に認識されるために、企業におけるサステナブル分野の統合的評価とアクションについての議論に貢献してきました。さらに国立環境研究所は、2024年3月5日に「サステナビリティシンポジウム2024-サステナブル分野の経営と政策に求められる統合的評価とアクション-」をみずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社と共同主催し(詳しくは、https://jbpress.ismedia.jp/list/jir/forum/20240305(外部サイトに接続します)を参照。企業担当者を中心に398名が参加。)、議論を深めました。
今回のとりまとめ報告書は、上記の勉強会およびシンポジウムにおける産学連携の議論を基に作成したものです。
2. 報告書の概要
国内の環境政策動向、ESG(環境・社会・ガバナンス)投資および情報開示の動向、国内外の複合環境危機の研究動向などをみると、あらゆる観点から、サステナブル分野の統合的評価と取組は、企業にとって既に必要な状況になってきているといえます。本報告書では、 ・サステナブル分野の統合的評価を行う上でハードルとなる事項を6つ(評価対象の粒度、空間・地域性、時間軸など)に整理しました。 ・サステナブル分野を統合的に考えることの重要性を伝えるため、具体的な事例を示しました。 ・企業の統合的な取組に向けて必要となる3つのステップと、全てのステップで必要となる事項とをまとめました。加えて、特に重要な要素となる「コミュニケーション」「統合的指向の経営」「統合的政策」についての現状と課題を整理しました。 ・国際社会、政府、学(大学や研究機関等)、事業者、投資家、認証機関、市民、マスメディアにむけて、13の提言を行いました。提言には、ポストSDGsへの統合アプローチの組込、優先的に取り組むネクサス(関係性)の特定、マルチステークホルダーによる議論の場の創出、先駆的実施者に対するインセンティブ構造の検討、トレードオフとシナジーの具体事例(問題構造と対応策等)の蓄積、統合的評価手法の提供、認識ギャップを踏まえた建設的な対話などが含まれます。
3. 報告書へのアクセス
【タイトル】「サステナブル分野の統合的評価に関する勉強会」 とりまとめ〜サステナブル分野の統合評価の現状と課題、今後に向けた提言〜
【著者】サステナブル分野の統合的評価に関する勉強会
【URL】本報告書は、下記のリンク先からアクセスください。
https://www.mizuho-rt.co.jp/company/release/2024/r08-sustaina-ases.html(外部サイトに接続します)
4. 問合せ先
【本協働活動に関する問合せ】
国立研究開発法人国立環境研究所 資源循環領域
資源循環社会システム研究室 室長 田崎智宏
【報道に関する問合せ】
国立研究開発法人国立環境研究所 企画部広報室
kouhou0(末尾に"@nies.go.jp"をつけてください)
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