2019年4月19日
新たな試験藻類の国内での分譲開始について
(OECDテストガイドライン201藻類生長阻害試験推奨藻類)
(筑波研究学園都市記者会、環境省記者クラブ、環境記者会同時配布)
平成31年4月19日(金)
国立研究開発法人 国立環境研究所
生物・生態系環境研究センター
室長 河地正伸
主任研究員 山口晴代
環境リスク・健康研究センター
副センター長 山本裕史
主任研究員 山岸隆博
高度技能専門員 松崎加奈恵
国立研究開発法人 国立環境研究所
生物・生態系環境研究センター
室長 河地正伸
主任研究員 山口晴代
環境リスク・健康研究センター
副センター長 山本裕史
主任研究員 山岸隆博
高度技能専門員 松崎加奈恵
概要
わが国をはじめ諸外国の化学物質の生態リスク評価は、「安定的な供試生物の確保」などの観点からモデル生物を用いて行われており、通常は魚類、甲殻類のほかに水生植物が利用されています。水生植物の中では、安定かつ高い増殖率をもち、化学物質への高い感受性を有するという観点から、OECD(経済協力開発機構)やU.S. EPA(アメリカ合衆国環境保護庁)のテストガイドラインならびに国内の化学物質審査規制法や農薬取締法で、推奨種として淡水性緑藻ムレミカヅキモ (Pseudokirchneriella subcapitata=Raphidocelis subcapitata)が広く用いられています。
一方、化学物質の種類によっては、ムレミカヅキモに比べて感受性が高い試験藻類の存在も明らかとなり、農薬登録基準の設定における試験藻類の取扱いについての見直しが行われ、ムレミカヅキモ以外の藻類と水草を加えた新たな評価方法が、令和2年4月1日から導入されることとなります。
新たに農薬登録基準の設定に用いることができる藻類は、OECDテストガイドライン201藻類生長阻害試験(以下、「OECD TG201」という。)に推奨種として掲載されている種になりますが、国内最大の藻類カルチャーコレクションである国立環境研究所微生物系統保存施設(NIESコレクション)では、これまでその一部の藻類株しか保有していませんでした。そこで、NIESコレクションでは、OECD TG201に掲載されている推奨種の国内での安定的供給を担うために、UTEX Culture Collection of Algae(アメリカ合衆国テキサス大学藻類カルチャーコレクション)が保有する株とNIESコレクションが保有する株のエクスチェンジ(交換)を行い、OECD TG201で掲載されているすべての推奨種の藻類株を供給することにしましたので、お知らせいたします。
一方、化学物質の種類によっては、ムレミカヅキモに比べて感受性が高い試験藻類の存在も明らかとなり、農薬登録基準の設定における試験藻類の取扱いについての見直しが行われ、ムレミカヅキモ以外の藻類と水草を加えた新たな評価方法が、令和2年4月1日から導入されることとなります。
新たに農薬登録基準の設定に用いることができる藻類は、OECDテストガイドライン201藻類生長阻害試験(以下、「OECD TG201」という。)に推奨種として掲載されている種になりますが、国内最大の藻類カルチャーコレクションである国立環境研究所微生物系統保存施設(NIESコレクション)では、これまでその一部の藻類株しか保有していませんでした。そこで、NIESコレクションでは、OECD TG201に掲載されている推奨種の国内での安定的供給を担うために、UTEX Culture Collection of Algae(アメリカ合衆国テキサス大学藻類カルチャーコレクション)が保有する株とNIESコレクションが保有する株のエクスチェンジ(交換)を行い、OECD TG201で掲載されているすべての推奨種の藻類株を供給することにしましたので、お知らせいたします。
参考1
生活環境動植物に係る農薬登録基準の設定について(第一次答申)(平成31年2月7日中央環境審議会)
http://www.env.go.jp/press/files/jp/110756.pdf【外部サイトへ接続します】
参考2
OECD TG201藻類生長阻害試験
https://www.oecd-ilibrary.org/environment/test-no-201-alga-growth-inhibition-test_9789264069923-en【外部サイトへ接続します】
1.分譲が可能な藻類
(1)すでに分譲しているOECD TG 201掲載株
・Pseudokirchneriella subcapitata=Raphidocelis subcapitata NIES-35(UTEX 1648のクローン株※(注記)1、緑藻)
http://mcc.nies.go.jp/strainList.do?strainId=26
http://mcc.nies.go.jp/strainList.do?strainId=26
・Synechococcus leopoliensis NIES-3277 (UTEX 625のクローン株、シアノバクテリア)
http://mcc.nies.go.jp/strainList.do?strainId=2725
http://mcc.nies.go.jp/strainList.do?strainId=2725
・Anabaena variabilis NIES-2095 (ATCC 29413※(注記)2のクローン株、シアノバクテリア)
http://mcc.nies.go.jp/strainList.do?strainId=2487
http://mcc.nies.go.jp/strainList.do?strainId=2487
(2)新たに分譲が可能となったOECD TG 201掲載株とその同種株 (注1)
・Desmodesmus subspicatus NIES-4282 (UTEX B 2594のクローン株、緑藻、(注2))
http://mcc.nies.go.jp/strainList.do?strainId=4280
http://mcc.nies.go.jp/strainList.do?strainId=4280
・Navicula pelliculosa NIES-4280 (UTEX 661のクローン株、珪藻、(注3))
http://mcc.nies.go.jp/strainList.do?strainId=4278
http://mcc.nies.go.jp/strainList.do?strainId=4278
・Navicula pelliculosa NIES-4281 (UTEX B 673のクローン株、珪藻、(注3))
http://mcc.nies.go.jp/strainList.do?strainId=4279
http://mcc.nies.go.jp/strainList.do?strainId=4279
(注1) 培地については適宜以下の問い合わせ先にご相談ください。
(注2) OECD TG201掲載株
(注3) OECD TG201掲載同種株
2.注文方法
NIESコレクションのホームページから、株のNIES番号(各々の株に固有に付けられたNIES-で始まる番号)を指定して分譲依頼を行った後、郵送で分譲依頼書を送付ください。株の分譲は有償となります。詳しい注文方法は以下のページをご参照ください。
http://mcc.nies.go.jp/aboutOnlineOrder.do
3.問い合わせ先
【藻類培養株に関すること】
国立環境研究所 微生物系統保存施設
電話:029-850-2256
E-mail:mcc(末尾に@nies.go.jpをつけてください)
【藻類の毒性試験に関わること】
国立環境研究所環境リスク・健康研究センター 副センター長
山本裕史(やまもと ひろし)
電話:029-850-2754
E-mail:yamamoto.hiroshi(末尾に@nies.go.jpをつけてください)
4. 用語解説
※(注記)1 クローン株:オリジナルの培養株(ここでは、UTEX株)から一部の細胞を取って、別の試験管等で増殖させた培養株のこと(ここでは、NIES株)。遺伝的に、オリジナルの培養株と全く同じもの。
※(注記)2 ATCC29413:アメリカン・タイプ・カルチャーコレクションで保有されている培養株の番号。
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