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2025年8月12日 (火)
第1回WASLIアジア会議 報告(4日目:8月3日)
第1回WASLIアジア会議 報告(4日目:8月3日)
第1回WASLIアジア会議の最終日は、2つのセッションがありました。
最初に行われたトークセッション「Crossfire:Ethical Perspectives Across Generations: Comparing Views of the Old and Young(世代を超えた倫理的視点:古い世代と若い世代の比較)」では、中堅どころのモデレーターと若手手話通訳者2名、先輩手話通訳者2名が2つのテーマについて意見交換をしました。
テーマ1は「ソーシャルメディアについて」。デジタルエイジと呼ばれる若者層にとってソーシャルメディアはごく身近なものです。発信はもとより、ソーシャルメディアから情報や知識を得ようとするのはごく当たり前のことで、年配層とは感覚が違います。ソーシャルメディアは情報を拡散したり、手話通訳に関する認知度を上げるのに効果的ではありますが、やはり使い方を間違えると怖いものです。近年、ライブ会場や会見における手話通訳場面の写真が投稿されることも増えました。たしかにそれらは公開されているものではありますが、手話通訳者自身が自己のアカウントで投稿するのはいかがなものでしょうか。また、手話通訳活動とは区別しているつもりでも、個人の私生活を投稿することで、手話通訳利用者からのストーカーに発展するケースもあります。手話通訳をする人がソーシャルメディアと付き合う際は慎重さが求められます。
テーマ2は「バーンアウトについて」。これは今回の会議中よく取り上げられていたテーマです。年配層は経験の中からストレスとうまく付き合う術を身に着けた人が多いですが、若年層はやはり一つ一つの案件が負担になり、一人では処理しきれなくなることも多いようです。ライフレベルが0になる前にスーパービジョンを受けたり、友人と話すなど、早めの手当が大切です。ストレスについて、ろうの手話通訳者が、手話通訳行為自体はもともとストレスフルなものなので、終了後や帰宅後は気持ちを切り替えるようにして乗り切れるが、聴者や音声言語に囲まれたり、デフ・スペースがない空間に身を置かなければならないときが一番ストレスであると語っていました。
人の思考は話し合うことで共有されます。言語の違いが思考に影響するように、年代の違いもまた思考や感覚に影響します。しかし、繰り返し話し合うことでお互いの思考や情報を共有できるはずです。私たちは手話通訳というコミュニケーションを仲介する素晴らしい活動をしています。手話通訳者同士、仲間同士、意見の違いをとことん話し合って相互理解に到達したいものだと強く思いました。
1_20250812170401 トークセッション
次に行われたのはパネルディスカッション「The Business of Interpreting: Strategies for Fair Compensation and Sustainable Management(通訳のビジネス:公正な報酬と持続可能な管理のための戦略)」です。韓国、シンガポール、フィリピン、マレーシアの代表がパネラーとなり、手話通訳の道に入ったきっかけや、活動を始めた頃の体験などを語りました。昔は手話通訳養成がなかったことや、行政からの支援がなかったので、すべてボランティアだったことなどが語られました。どの国も始まりは似ていますね。
ただ、マレーシアやフィリピン、韓国などは、アメリカやカナダを参考にして大学における手話通訳養成を始めました。そのため若い手話通訳者が多いです。さらに、フィリピンや韓国は手話に関する法制度を整備し、手話通訳の保障が拡大しました。それでもまだ報酬が十分ではなかったり、社会的立場が弱いと言います。そのため、手話通訳のほかに仕事を持っていて、手話通訳に行くときは本業を休んでいくことも多いとか。これも日本と似ていますね。
通訳制度が整備されていないために、妊婦検診に男性の手話通訳者が派遣されたり、通訳報酬として魚をもらったりなど、今となっては笑い話のような体験談もこぼれてきました。
また、シンガポールのように民族も宗教も複数あるような国では、通訳者は多岐にわたる知識を備えていなければなりません。知識がなければ通訳できない。それで不利益を被るのは通訳利用者なのだ、という意識は通訳者の鏡だと思えます。
日本でもようやく「手話施策推進法」が可決成立しました。障害者権利条約が謳う「表現及び意見の自由並びに情報の利用の機会(第21条)」の実現のため、法律を味方につけ制度の充実に取り組まなければならないと強く思いました。
2_20250812170401 パネルディスカッション
(文・写真 副会長 宮澤典子)