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特集2 食文化研究家・清 絢(きよしあや)の味わい ふれあい 出会い旅(1)

第11回兵庫県淡路市 母子の健康を願う「ちょぼ汁」の故郷を巡る


食文化研究家のわたくし清 絢が日本各地の郷土食を巡る旅もいよいよ最終回。
四季を感じながら、その地方らしい風土と文化に触れる旅は、貴重な出会いの連続でした。
そんな連載の最後に訪ねたのは、出産祝いの伝統料理として受け継がれた、だんご入りの汁物「ちょぼ汁」です。
そこには、お母さんの体をいたわる工夫が詰まった、名実ともに温かい料理がありました。


[画像:清 絢( きよし・あや)]

清 絢( きよし・あや)
大阪府出身。日本各地の農山漁村を訪ね、伝統的な食文化や暮らしについて、調査研究を行う。
日本の食文化を次世代へ継承するために、執筆、講演など、さまざまな形で活動中。




あわじ花さじき
季節の花が咲き誇る丘で心をリフレッシュ

[画像:季節の花が咲き誇る丘で心をリフレッシュ]

[画像:15haの園内には、いつ訪れても色鮮やかな花畑が広がり、春は菜の花やポピー、夏はヒマワリやクレオメ、秋はサルビアやコスモス、冬はストックが見頃に。近隣の馬術クラブの散歩コースでもあり、馬に出会うことも ]

15haの園内には、いつ訪れても色鮮やかな花畑が広がり、春は菜の花やポピー、夏はヒマワリやクレオメ、秋はサルビアやコスモス、冬はストックが見頃に。近隣の馬術クラブの散歩コースでもあり、馬に出会うことも

[画像:あわじ花さじき]




文/清 絢
写真/川端正吾
イラスト/竜田麻衣

明石海峡大橋を渡ってやってきた兵庫県の淡路島は、古来より朝廷へ食料を献上する“御食国(みけつくに)”と称された「食の島」。ここには、産後の女性をねぎらい、赤ちゃんの健やかな成長を願って食べる「ちょぼ汁」という汁物が伝わっています。

まずは、小高い丘の上にある「あわじ花さじき」へ。広大な敷地に花のじゅうたんが広がり、明石海峡や大阪湾、関西国際空港まで望めます。「淡路島は花の島でもあるんですよ。2000年には国際園芸・造園博“ジャパンフローラ2000”(通称:淡路花博)が開かれ、今年は15周年を記念して“淡路花博2015 花みどりフェア”が開催されます」と広報の細川浩嗣(ひろつぐ)さん。

愛らしい花々と雄大な風景を眺めるのも気持ちいいものですね。

[画像:あわじ花さじき 四季の花々]

パルシェ香りの館
淡路島を食べつくす大満足のビュッフェ

[画像:館内では、お香作りやエッセンシャルオイルの抽出などの体験メニューを実施。その他、新鮮野菜のマルシェ(土日のみ)やフクシア大温室、「香りの宿」には温泉もある。淡路島ビュッフェは大人1,650円(税込)。ディナータイムには腕利きシェフのフランス料理が味わえる(要予約)]

[画像:館内では、お香作りやエッセンシャルオイルの抽出などの体験メニューを実施。その他、新鮮野菜のマルシェ(土日のみ)やフクシア大温室、「香りの宿」には温泉もある。淡路島ビュッフェは大人1,650円(税込)。ディナータイムには腕利きシェフのフランス料理が味わえる(要予約)]

館内では、お香作りやエッセンシャルオイルの抽出などの体験メニューを実施。その他、新鮮野菜のマルシェ(土日のみ)やフクシア大温室、「香りの宿」には温泉もある。淡路島ビュッフェは大人1,650円(税込)。ディナータイムには腕利きシェフのフランス料理が味わえる(要予約)

[画像:オニオンフライと玉ねぎ] 次に訪ねたのは、日本のお線香生産量の70%を占める淡路市一宮地区にある、香りをテーマにした施設「パルシェ 香りの館」。

「館内にある『レストラン ベルレーヌ』のランチタイムには、淡路島産の豊富な食材を使った約50種類の料理をビュッフェ形式で味わえます。淡路特産のタマネギや淡路牛はもちろん、伝統料理も知ってもらいたいので、ちょぼ汁も提供しているんです」と企画リーダーの岩井宣樹さん。

人気のランチには観光客だけでなく地元の人も大勢やってきます。

[画像:パルシェ香りの館]


ちょこっと寄り道
淡路島 フルーツ農園

[画像:淡路出身の中谷 学さんがサラリーマン生活を終え、Uターンして始めた農園。淡路の農業に新しい風をと試行錯誤し、2年前にはカフェもオープン。連日多くの観光客でにぎわう。季節に応じてブドウ、ミカン、サツマイモ掘り体験なども可能 ]

淡路出身の中谷 学さんがサラリーマン生活を終え、Uターンして始めた農園。淡路の農業に新しい風をと試行錯誤し、2年前にはカフェもオープン。連日多くの観光客でにぎわう。季節に応じてブドウ、ミカン、サツマイモ掘り体験なども可能

[画像:いちご] 次に立ち寄ったのは、季節ごとに果物狩りができる「淡路島フルーツ農園」。併設のカフェには、果物を使ったスイーツもあり、旅の途中に一息つけるスポットです。

[画像:真っ赤なイチゴやスイーツが食べられる!]

伊弉諾(いざなぎ)神宮
国生み神話を体感できる神聖な空間

[画像:伊弉諾(いざなぎ)神宮]

[画像:境内にある樹齢900年の夫婦大楠(めおとおおくす)には、夫婦神が宿ると信じられ、多くの絵馬が掛けられている。夫婦円満の御神鳥(ごしんちょう)セキレイの石碑など、子授け、安産にご利益がありそうなモチーフがあちこちに。夫婦神が描かれた大熊手も正月期間限定で授与される]

[画像:境内にある樹齢900年の夫婦大楠(めおとおおくす)には、夫婦神が宿ると信じられ、多くの絵馬が掛けられている。夫婦円満の御神鳥(ごしんちょう)セキレイの石碑など、子授け、安産にご利益がありそうなモチーフがあちこちに。夫婦神が描かれた大熊手も正月期間限定で授与される]

境内にある樹齢900年の夫婦大楠(めおとおおくす)には、夫婦神が宿ると信じられ、多くの絵馬が掛けられている。夫婦円満の御神鳥(ごしんちょう)セキレイの石碑など、子授け、安産にご利益がありそうなモチーフがあちこちに。夫婦神が描かれた大熊手も正月期間限定で授与される

続いて「伊弉諾(いざなぎ)神宮」へ。淡路島がなぜ“御食国”と呼ばれたのか、宮司の本名孝至(ほんみょうたかし)さんに聞きました。

「『万葉集』では“御食向ふ淡路の国”と詠まれているんです。東は大阪湾、西は播磨灘、南は太平洋に囲まれ、海の幸が豊富で、製塩も盛んでした。さらに瀬戸内式気候で暖かく、イノシシやシカ、野菜や果物から、いにしえのチーズといわれる“蘇(そ)”まで献上していたようです。そんな豊かな土地だったからこそ、『日本書紀』の中で国生み神話の舞台に淡路島が選ばれ、御食国にもなれたのでしょう」と本名さん。

伊弉諾大神(いざなぎのおおかみ)と伊弉冉大神(いざなみのおおかみ)の夫婦神を祀る神宮は、夫婦円満や子授けにご利益があると、多くの参拝客が訪れます。そうした出産や赤ちゃんにまつわる郷土料理が、今回ご紹介するちょぼ汁なのです。

[画像:伊弉諾(いざなぎ)神宮]

しづかグループ
お母さんの体を癒やし心も温まる郷土汁

[画像:しづかブループのみなさんとちょぼ汁をつくる]

[画像:ちょぼ汁] 作り方を教えてくれるのは、志筑(しづき)地区で農産物の直売所を運営する「しづかグループ」のみなさん。

「ちょぼ汁は、ササゲとズイキ(芋茎)のたっぷり入っただんご汁でね、産後のお母さんのために作るもの。ズイキは古い血を下ろして血をきれいにして、お乳の出もよくなるって、女性の体をいたわるために食べられたんよ」と、池田美重子さん。

かつては、出産した女性の母親が材料を持って里から訪れ、作ったものでした。だんごの形にも意味があり、女児が産まれたらまんまるに、男児なら先をとがらせて、健やかな成長を願いました。料理名は「おちょぼ口のようにかわいらしく育ってほしい」という意味も込められているのだとか。赤ちゃんをお披露目する日には、親戚や近所にも振る舞う習慣があったそうです。

一見ぜんざいのようですが、食べてみると、いりこだしの味噌汁でごはんによく合い、食べ応えも十分。産後の疲れきった体にも元気が湧いたことでしょう。最近は、島内のイベントでちょぼ汁を振る舞い、多くの人に魅力を伝えているみなさん。「自分がおばあちゃんになるときには娘に作ってあげたい」と言う若い方も増えてきたとか。母子の健康と成長を願う温かい思いとともに、これからも淡路の母の味として、受け継がれてほしいと願っています。

カリウムやカルシウムが豊富なズイキは、産後の女性の体力が早く回復するようにと食されてきた。しづかグループのみなさんは阪神・淡路大震災を乗り越え、20年以上も活動を続けている。郷土料理のたこ飯や若者向けに考案されたズイキとササゲのご飯も作ってくださった

[画像:地図] (1)あわじ花さじき
兵庫県淡路市楠本2865-4
TEL : 0799-74-6426

(2)パルシェ 香りの館
兵庫県淡路市尾崎3025-1
TEL : 0799-85-1162

(3)淡路島フルーツ農園
兵庫県淡路市上河合173
TEL : 0799-85-2696

(4)伊弉諾神宮
兵庫県淡路市多賀740
TEL : 0799-80-5001


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