建築物省エネ法の概要
建築物省エネ法について
平成27年7月8日に「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律」(平成27年法律第53号)が公布されました。本法では、建築物のエネルギー消費性能の向上を図るため、住宅以外の一定規模以上の建築物のエネルギー消費性能基準への適合義務の創設、エネルギー消費性能向上計画の認定制度の創設等の 措置が講じられました。
- 従来の「エネルギーの使用の合理化等に関する法律」(従来の省エネ法)で措置されていた300m2以上の建築物の新築等の「省エネ措置の届出」や住宅事業建築主が新築する一戸建て住宅に対する「住宅トップランナー制度」等の措置が建築物省エネ法に移行されました。
- 新たに「大規模非住宅建築物の適合義務」、「特殊な構造・設備を用いた建築物の大臣認定制度」、「性能向上計画認定・容積率特例」や「基準適合認定・表示制度」が措置されました。
建築物省エネ法の審査対象について
規制措置及び誘導措置に係る審査対象事項と施行時期などの適用を以下の表に示します。
根拠条文等 | 対象 用途 |
対象建築行為等 | 適用基準 | 施行 時期 |
||
---|---|---|---|---|---|---|
規 制 措 置 |
基準適合義務 【建築物省エネ法第11・12条】 |
非住宅のみ | 特定建築行為(特定増改築を除く) | 建築物エネルギー消費性能基準 【建築物省エネ法 第2条第3号】 |
・一次エネルギー消費量基準 | 平成29年4月1日 |
届出等 【建築物省エネ法第19条】 |
住宅 | 300m2以上の新築、増改築 | 建築物エネルギー消費性能基準 【建築物省エネ法 第2条第3号】 |
・外皮基準 ・一次エネルギー消費量基準 |
平成29年4月1日 | |
非住宅 | 300m2以上の新築、増改築(特定建築行為を除く。特定増改築は対象) | ・一次エネルギー消費量基準 | ||||
住宅トップランナー制度 【建築物省エネ法第28条】 |
住宅 | 新築 | 住宅トップランナー基準 【建築物省エネ法 第27条1項】 |
・外皮基準(H32〜) ・一次エネルギー消費量基準 |
平成29年4月1日 | |
誘 導 措 置 |
建築物エネルギー消費性能向上計画の認定 【建築物省エネ法第30条】 |
住宅及び非住宅 | 全ての建築物の新築、増改築、修繕・模様替、設備の設置・改修 | 建築物のエネルギー消費性能の向上の一層の促進のために誘導すべき基準 【建築物省エネ法 第30条1項1号】 |
・外皮基準 ・一次エネルギー消費量基準 |
平成28年4月1日 施行済 |
建築物のエネルギー消費性能に係る認定 【建築物省エネ法第36条】 |
住宅 | 全ての既存建築物 | 建築物エネルギー消費性能基準 【建築物省エネ法 第2条第3号】 |
・外皮基準 ・一次エネルギー消費量基準 |
平成28年4月1日 施行済 |
|
非住宅 | ・一次エネルギー消費量基準 |
- 特定建築物
- 住宅部分(居住のために継続的に使用する室その他の政令で定める建築物の部分)以外の非住宅部分(住宅部分を除く建築物の部分)の床面積が2,000m2以上である建築物をいいます。
- 特定建築行為
- 特定建築物の新築若しくは増築若しくは改築(非住宅部分の増築又は改築の規模が政令で定める規模以上であるものに限る。)又は特定建築物以外の建築物の増築(非住宅部分の増築の規模が政令で定める規模以上であるものであって、当該建築物が増築後において特定建築物となる場合に限る。)をいいます。
- 特定増改築
- 特定建築行為に該当する増築又は改築のうち、当該増築又は改築に係る部分(非住宅部分に限る。)の床面積の合計の増改築後の特定建築物(非住宅部分に限る。)の延べ面積に対する割合が1/2以内であるものをいいます。
非住宅に関する平成28年基準のポイント
省エネ基準適合義務における適合性判定及び届出で用いられる技術的基準「建築物エネルギー消費性能基準(平成28年省エネ規準)」は、基準省令及び関連告示で定められています。
【非住宅用途に係る基準構成の概要】
外皮基準
省エネ適合性判定及び届出で用いる省エネ基準において、非住宅用途部分には、外皮性能基準は適用されません。ただし、一次エネルギー消費量の計算を行う上で、外皮性能に係る事項を入力する必要があるため、設計において建築物の外皮性能を考慮することが必要です。
一次エネルギー消費基準の考え方
- 評価対象となる建物において、地域区分や床面積等の共通条件のもと、実際の建物の設計仕様で算定した設計一次エネルギー消費量が、基準仕様(平成28年基準相当の外皮と標準的な設備)で算定した基準一次エネルギー消費量以下となることを基本とします。
- 一次エネルギー消費量は、「空調設備」、「機械換気設備」、「照明設備」、「給湯設備」、「昇降機」、「OA機器等」のエネルギー消費量を合計して算出します。また、再生可能エネルギー (太陽光発電設備やコージェネレーション設備)による省エネ効果は、エネルギー削減量として差し引くことができます。このうち「OA機器等」のエネルギー消費量については、床面積に応じて決まる標準値を用います。
施行スケジュール
平成27年度 | 平成28年度 | 平成29年度 | 平成30年度 | ||
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建築物省エネ法 | 省エネ基準 | 表示 | 適合義務、届出・指示 | ||
誘導基準 | 容積率特例 | ||||
住宅トップランナー基準 | 報告徴収・勧告 | ||||
従来の省エネ法 | 従来の省エネ基準 | 届出・指示等 | 改正 | 廃止 | |
住宅事業建築主基準 | 報告徴収・勧告 | 廃止 | |||
エコまち法 | 低炭素認定基準 | 容積率特例 | 改正 | ||
品確法 | 評価方法基準(新築) | 表示 | 改正 | ||
評価方法基準(既存) | 表示、改正 |