放射線の人体への影響

外部被ばくと内部被ばく

私たちは、ふだん、知らず知らずのうちに身の回りにあるさまざまな放射線を受けて生活していることは、身の回りの放射線ページで紹介しましたが、人体が放射線を受けたことにより、身体に影響を及ぼすかどうかは、どこに、どれだけ放射線を受けたかによって異なります。

外部被ばく(体の外に放射性物質(放射線源)があり、そこから被ばくすること)

全身に放射線を受けることを「全身被ばく」、部分的に受ける場合を「局所被ばく」と呼びます。

全身被ばくでは、全ての臓器・体の組織で放射線の影響が現れる可能性がありますが、局所被ばくでは、原則として被ばくした臓器・組織のみに影響が現れます。

被ばくした部位に免疫系や内分泌系の器官が含まれる場合には、離れた臓器・組織に間接的に影響が現れることがあり得ますが、基本的には被ばくした臓器・組織の影響が問題となります。

また、臓器によって放射線への感受性が異なります。このため、局所被ばくでは、被ばくした箇所に放射線感受性の高い臓器が含まれているかどうかで、影響の生じ方が大きく異なります。

内部被ばく(放射性物質が体の中に入り、体の中の放射線源から体内で被ばくすること)

内部被ばくの場合、放射性物質が蓄積しやすい臓器・組織では被ばく線量が高くなります。この蓄積しやすい臓器・組織の放射線感受性が高い場合、放射線による影響が出る可能性が高くなります。

放射線を受けると何が起こるの?

細胞は生命の設計図ともいえるDNAを持っています。

このDNAに放射線が当たると、DNAの一部が壊れる事があります。

DNAを傷つける原因は、放射線以外にも、食物の中の発がん物質、たばこ、環境中の化学物質、活性酸素等があり、一日1細胞当たり、1万から100万か所の頻度でDNAは損傷を受けているといわれています。

細胞には、DNA損傷を修復する機能があり、DNAが損傷を受けると、修復酵素が駆けつけて、こうした傷を修復しますが、修復には、完全に修復される場合と一部が不完全に修復される場合があります。

放射線の当たる箇所を細かく見てみると、放射線は細胞に当たり、細胞の中にある遺伝子の本体であるDNAに傷をつけることがあります。

このついた傷は、体の中に備わっているシステムで修復されます。少しの傷であれば修復が成功し、元に戻ります。
傷が多ければ修復できずに細胞自体が死んでしまいます。少しの細胞が死んでも、他の細胞が代わりをすれば、その臓器や組織の機能障害は生じません。

また、遺伝子の修復が完全ではない細胞が生き長らえた場合には、突然変異を起こし、がんや遺伝性の障害等の確率的影響が生じる可能性がありますが、必ずがんが起こるわけではありません。

放射性物質は体内に取り込まれても排出されます

なお、体内に取り込まれた放射性物質は、臓器や組織に取り込まれた後、排泄されます。
排泄によって体内の放射性物質の量が半分になる時間を「生物学的半減期」といいます。

放射性セシウムは、カリウムと似た性質のため、体内に取り込まれやすいのですが、同時に排泄されやすい性質も持っています。

大人の場合、取り込まれた放射性セシウムの量が半分になるのに掛かる日数は約70〜100日だといわれています。
子どもは代謝が早く、放射性セシウムを摂取したとしても、5〜10歳くらいの子どもでは30日ほどで半分になります。

出典:宮崎、日本放射線安全管理学会シンポジウム(平成24年6月29日)発表資料より改変

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